チェコに学ぶ「作る」の魔力

  • かもがわ出版
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本棚登録 : 89
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784780312218

作品紹介・あらすじ

チェコ共和国に恋をして15年
絵はんこ作家の著者が、愛するチェコの文化や人びととの出会いを通して、自らの生業でもある「作る」ことの根源的な魅力と不思議なパワーを探る。
ないから、作った。そんなきっかけから自分の心地いい居場所を作り、揺るぎない技術を身につけた人たちの話。
絵はんこ&マンガ多数収録

感想・レビュー・書評

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  • チェコは訪れてみたい国の一つ!
    お気に入りの雑貨店が買い付けているチェコの商品は、糸ボタンやビーズ等ハンドメイド関連のものが多い。
    手作業が苦手で使い道がなくても汗、それらを眺めているだけで不思議と心がほぐれていく。手作業が苦手だからこそ、「”作る”の魔力」でそれらを生み出した国を訪れてみたいのである。

    一方著者(はんこ作家、チェコ親善アンバサダー)がチェコに惚れたきっかけは、大学時代に見たチェコの人形アニメだった。その後個人旅行を皮切りに自身の作品を売り込みに現地を訪れたりと、積極的アプローチを続けている。

    今回彼女が誘なうチェコのモノづくり旅は、雑貨はもとより更に奥深いところまで踏み込んでいる。訪問コースも現地の村から、日本に住む出身者やゆかりのある方々と、なかなかの広範囲。
    これまた自作のはんこやイラストを使ってチェコの歴史や地図、そして人々のハンドメイド作品を1冊に凝縮している。(さすが「モノづくり」のコンセプトによく合っている^ ^!)


    数ある作品や作り手の共通点を挙げるとしたら、
    ①社会主義時代の影響を受けている
    ②オリジナリティーがある
    だろうか。
    かつてチェコスロバキアは、ソ連型社会主義が導入され独裁状態にあった。物資は常に不足しており、娯楽も非常に限られていた。(アニメなんて、自国以外ではソ連の作品しか放送されていなかったという)
    そのため人々は日用品から建物に至るまで、材料を自分達で調達し製作。自ずとモノづくり精神が磨かれ、オリジナル作品を作り出す楽しみも生まれるようになった。

    「ハタ」と呼ばれるプチ別荘もその一つ。
    やはり社会主義時代の影響から来ており、少しでも発散できるよう多くの人が自身の「ハタ」を設けるようになった。
    遠くても車で2−3時間で移動できる、自然豊かな場所が立地条件。無論建物(コテージのイメージ)も一から手作りだし、そこでの過ごし方も多種多様である。
    日本の「別荘」は贅沢だが、チェコの「ハタ」はいい意味で質素。そんでもってクリエイティブ!自分が「ハタ」を持っても読書だけで一日潰しそうだから、一度お招きいただいてアクティブな見本を拝見したい笑

    ①の時代ではないが第二次世界大戦下の文芸雑誌「VEDEM」も、ある意味オリジナリティー、編集・寄稿者らの意志が強く刻印されていると思う。
    発行したのはチェコのテレジーン強制収容所(かのアウシュヴィッツへの中継地を担っていた)にいた13−15歳のユダヤ人少年達。「VEDEM」とは「僕たちは導く」の意味で、雑誌は極秘裏に発行されていた。知られでもしたら酷い目に遭いかねないのに、それでも彼らは自由に表現することを諦めなかった。
    著者の「作るという行為は強い活力を与えてくれることもある」という言葉が見事に当てはまる。


    ③何より手を動かせば気持ちが紛れるし、あわよくば悩みが吹き飛ぶことだってある。
    もう一つ、共通点を発見した。

  • 国民性という言葉で
    一くくりにするのは 好きじゃないんですが
    このチェコの人々の
    作る力と言うのは やっぱり
    国民性としか言いようがないよ
    別荘「ハタ」や
    チョコの人形アニメーションなど
    作るのが好き というか
    もう 息してるのと同じように
    作っちゃうチェコ気質
    とても魅力的でした

  • 岩手県で地域活性化の第一線で活躍されている絵ハンコ作家、あまのさくやさんによる、チェコの「ものづくり文化」を紹介する本。ゆるいけれどもシンプルで優しさのある絵ハンコ作品が沢山登場し、温かみのある雰囲気の1冊になっている。
    チェコ語の使用が禁止されていた時代は、唯一チェコ語の使用が許されたマリオネット人形劇で何とか母国語を持続させ、海外旅行が禁止されていた時代は、郊外の森林でバラック小屋ならぬ、立派な手作りの別荘を建てて、週末を楽しく過ごしたそうだ。
    ハプスブルグ帝国やナチス、ソ連など、強力な権力と暴力に何百年も翻弄されてきたチェコの人達が、その厳しい環境においても周囲の環境をフルに活用して、何でも手作りでこしらえ、精神面で豊かな生活を営んできた歴史を垣間見ることができた。
    最近流行のテレビ番組「ポツンと一軒家」に出演される方々が、家や道路などを手作業で整備する姿を見て、その苦労と精神力の強さに感動させられるが、チェコの方々にも、同じ雰囲気を感じた。もちろん、チェコの人達全員が、手先が器用で物持ちが良いとは限らないのだが、ものづくりという行為の魅力、作り手たちの魅力を味わうことができる。

  • あまのさくや「チェコに学ぶ『作る』の魔力」 5月刊行 / チェコセンター東京
    https://tokyo.czechcentres.cz/ja/blog/2022/04/kniha-amano

    あまのさくや / はんことことば|note
    https://note.com/sukimajikan/

    かもがわ出版|チェコに学ぶ「作る」の魔力
    http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ta/1221.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <東北の本棚>創造に向かう人と思考 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
      https://kahoku.news/ar...
      <東北の本棚>創造に向かう人と思考 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
      https://kahoku.news/articles/20220925khn000009.html
      2022/10/05
  • デスクワークの人が、指先でペンをクルリ。自分は出来ないけど、人間は何かと手・指を動かさずに居られない生き物なんじゃないかと思う。それが、書き(描き)たい、作りたい、残したい、に繋がって行くのかな。
    国の特色になり強みになると、一国の文化・歴史にまでなる。教育体制や風土・人々の気質になる。
    …といった感想を持つが、じゃあチェコ行きたくなりましたか?って聞かれると、う~ん…… 作者の熱意は伝わって来る。似た気質や感性の方なら強く影響を受けるのかも知れない。生涯の1冊になるのかも。

  • チェコをこよなく愛する著者によるチェコについての本であるが、題名の「作る」の範囲が手芸から建築までとかなり広い。それらの「作る」情熱から見えてくるのは、チェコ文化を築いてきた20世紀の激動の歴史。そしてチェコでの様々な出会いから自らの創作や生き方を振り返る。チェコに限らず、国内外の都市や国にハマる経験があると、ところどころでいろいろ頷けるところも多いし、観光や食べ物ではない面から「未知の国」を紹介して親しみを持たせてもらえるのが面白い。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000059156

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/656175

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著者プロフィール

絵はんこ作家、エッセイスト。チェコ親善アンバサダー。1985 年カリフォルニア州生まれ、東京育ち。青山学院大学卒業後、会社員を経て、絵はんこ作家に。現在は、岩手県・紫波町に移住し、「地域おこし協力隊」を兼務しながら、創作活動を続けている。

「2022年 『チェコに学ぶ「作る」の魔力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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