Clementine Designs 自意識とコメディの日々

著者 :
  • 太田出版
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本棚登録 : 683
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 0716715363667

感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    90年代から現在に至るまでの東京お笑い界を駆け抜け続けている放送作家オークラがかつて見てきたもの、そしてこれから目指すものが書かれている本。

    オークラさんはじめこの本に登場するお笑いに携わる人達のおかげで自分を救ってくれたコントや番組があるんだと思うと何一つ関係のない一ファンだけど感謝せざるを得ない。ほんとに。

    コント以外にも映画、音楽、沢山のカルチャーに焦点が当たって書かれていて読んでて楽しい。
    何より内容が面白い。

    「自意識は自分を苦しめるけど、それとちゃんと向き合えば、必ず笑える日々が送れるから。」
    一人で見て楽しもうと思えば一人で楽しめるお笑い、それを見るだけに留まらず、笑いをつくり出す放送作家になった著者。
    色んな才能や文化に触れて自意識が傷ついたり悩んだ事も書かれていた。
    それでも仲間と出会って沢山の面白いを共有して最高のものをつくり上げてきたからこそ言える言葉だと思う。
    泣きそうになっちゃったな。この言葉。

  • お笑い芸人さんのライブやバラエティ番組を手掛ける有名作家のオークラさんが今までの携わったライブなどをメインに書いた本。
    大学の時に芸人をやっていてちょっとライブシーンでは良い感じにもなり、様々な芸人さんとも知り合い徐々に裏方の作業をするようになる。
    バナナマン、ラーメンズ、佐久間さん、東京03、バカリズム、星野源などなど豪華な名前がすごいテンポで出てきて繋がり方がとても興味深かった。今有名で成功している方々はなるようになって芸能界にいるんだなと実感した。
    昔から様々なカルチャーの融合を目指しているのはとても驚き、こないだの東京03 x Creepy Nutsのライブはまさにやりたいことだったんだな、と感じた。これからもそういったライブしてほしいし、参加したいなと思った。

  • 第三のバナナマンとまで言われる、作家・オークラ氏の自伝的エッセイ。

    私はバナナムーンのリスナーであり、昔からバナナマン、東京03、バカリズムなどのライブも観ており、この本は自分の記憶とも重なることがあり非常に楽しめた。

    コントが好きな気持ちと、こだわりを突き詰めるとやはり周りの人間や観客を動かすんだなぁと、数々の好きなエンタメを思い返しながら読んでいた。

    もっともっと、細部を知りたい。

  • 好きなものについて調べてると、好きなものと繋がる感覚はよくわかる。
    この本に出てくる人や番組はまさにその連続だった。
    明確に自分のやりたいことがあって、周りの才能をしっかり認めて、みんな覚悟をもって面白いものを作ることに向かっている。
    関わって尊敬する人たちへのメッセージを強く感じた。
    この爆発しそうな自意識と付き合うのは難しいけれど、自意識がないと良いものは作れないのかもしれない。
    自分の世界を広げて、カルチャーをつなげたい。

  • オークラ著『自意識とコメディの日々』読了。オークラさんが『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に三回ゲストで話をしていた東京芸人青春期をメインとした自伝的なエッセイ。
    オークラさんが組んでいたコンビ「細雪」は彼がバナナマンのコントを手伝ったりユニットライブをするようになって、相方が来なくなって終わった。そこからオークラさんはバナナマンを手伝うようになる。相方の人は「A」とイニシャルのみ記載されており、ライブに何も言わずに来ずにそのまま音信不通になった。「A」は当時大学生だったオークラさんより10歳上の元劇団員だった。オークラさんは彼に自分が知らなかったり、リアルタイムでは見れなかった夢の遊眠社など上の世代の舞台や音楽やカルチャーを教えてもらったという。
    これは高校生の時に大人計画のワークショップに行った際に少し上の男性から細野晴臣や知らなかった音楽を教えてもらった星野源ともちょっと通じる。ある時期までは年上のお兄さんやお姉さんからふいに、未知との遭遇が起こされてその後の運命が変わる、そんな偶然があった。ネットが出てくると少しは変わったのかもしれない。
    「A」が来なくなり、やがてコント作家に放送作家になっていくオークラさんの人生において、「A」がお笑いをやめたこと、なにかを諦めたことはオークラさんの身代わりのようなものだったようにも見える。代わりに誰かが死ぬ(そこから出ていく)ことで人は新しい扉を開く。
    バナナマン、ラーメンズ、おぎやはぎ、劇団ひとり、バカリズム、アンタッチャブルの山崎、東京03というオークラさんの同世代の近い芸人たちがいたこと、彼らが今に至るまでの青春時代とも言える若手時代のことが書かれているが、彼らは大きな波には巻き込まれなかったし、ある意味では間に合わなかったり、自ら飛び込まなかった。ボキャブラ天国ブームがあった時に彼らはコントや舞台をやることを選んだり、選ぶしかない状況にいた。
    大きなムーブメントは時代を作る。しかし、勢いがなくなっていくと一部のものを除いては古いものとなってただ死屍累々の山になって、その上に生き延びた王たちが立つ。
    時代を追いかけると基本的には間に合わない。そこはただのレッドオーシャンだ。どんなジャンルでも雌伏して時を待ちながら、中央ではなく周辺からジワジワと真ん中に動いていき、知らない間に中央、中心になる人がいる。その人たちは自分という時代に左右されない武器を持っているから、ムーブメントが起きて消えてもあまり影響を受けなくなる。
    この本の中でオークラさんは「細野晴臣になりたい」と書いていて、「ラジカル・ガジベリンバ・システム」みたいな才能をもった人間の集合、アベンジャーズ的なものに憧れている。そういう思いでバナナマン・ラーメンズ・おぎやはぎで『君の席』を作ったり、おもしろいカルチャーの融合として『ウレロ☆未確認少女』をやったりしている。
    当然だが、大事なのはその時そこに居れるかどうかであり、居なくても「あいつはさ」と認識されている、声がかかる人なのかがデカい。才能が集まる時期というのはどうしてもあって、だけど、集まらない時期のほうが多いわけでもある。たいていの人はそっち側だ。
    そういう問題というか現実に起きうることについて、「自己啓発本」とかはなにかを肩代わりしてるのかなとふと思った。
    松本人志病を患いまくっていたオークラさんたちの世代、僕らもそこだろう。基本的にその病にかかると皮肉的で冷笑的になる。誰かがやっていることに素直な反応を示すことができなくなる。
    松本人志病にまったくかかっていなかったおぎやはぎの矢作さんが当時の人力舎内でのアンジャッシュの小嶋派と渡部派に分かれていがみ合っていたところにやってきて、普通に「おもしろいね」と笑い、おもしろくないものにはおもしろくないと率直に告げることでその緊張関係を破った話はとても象徴的だ。そこから矢作さんはみんなに信頼されるようになって、人力舎は仲の良い事務所に変革された。
    おそらく、松本人志をある時期からトップにした吉本興業はトップダウン的な先輩後輩のピラミッド的な上下関係になった。NSC以前は芸人になるためには師匠に弟子入りするため、まず師弟関係という強固な関係性があり、そこに所属事務所があった。だから、優先すべきは会社ではなく師匠だった。そして、システムを作りゲームマスターでありプレイヤーとして松本さんが君臨することでシステムはより強固で頑丈なものとなり、下剋上は不可能となった。
    キングコングの西野さんやウーマンラッシュアワーの村本さんやオリエンタルラジオの中田さんが外側に出ていくのは当然でもある。ゲームマスターに自分がなるかシステムを構築しない限りは松本人志と吉本興業から自由にはなれないのだから。
    矢作さんが行った変革は違う言い方をすれば、当時の人力舎にいた芸人たちを松本人志病から解放し、その呪縛を解いた。そのことが、現在の『ゴッドタン』など佐久間さんやオークラさんが関わっている番組に出ている芸人さんたちが生き延びて非吉本としてそれぞれが確固たる存在となったようにも思える。
    「M-1グランプリ」1回目に東京勢として唯一決勝に進出したのがおぎやはぎだった。最低点だったが、彼らがあそこに出たことは反撃の狼煙の始まりだったのかもしれない。

  • やついいちろうの「それこそ青春というやつなのだろうな」に続いて、東京芸人史を詳細に書き留めた重要作。

    自分はラーメンズ「TEXT」からがリアルタイムの世代で、「TOWER」を本多劇場で見てようやく追いついた所でラーメンズは本公演をやめてしまった。自分にとって「ライブ君の席」はまさしく伝説的なバイブルのような感じで、小林賢太郎引退前後でよくバナナマンやエレ片から語られるようになったこの時代の歴史は、今でもかなり興味深く耳を傾ける。

    小林賢太郎のオリンピック退任の話を熱くフォローしているのは感動的であった。チョコレイトハンターに第1回公演があったとは。ライブ君の席は結構揉めたと言われているけど、そこには事情があったんだ。等、目から鱗の内容。オークラさんの語り部としての仕事、まだまだ聞きたい。なんとなく丸くなってきていた気がする自分を、また尖らせてみたくなる。

  • 芸人としての人生
    作家としての第2の人生
    「面白い事がしたい」
    様々な経験と色々な方からの影響を吸収し、自意識を信じて
    続けた事が尊敬。かっこよすぎる...
    それと登場人物が全員かっこいい...

  • オークラ先生が本出したら買っちゃうよね。テレビで活躍中の芸人さんの青春時代が描かれてて、みんな丸くなったんやな〜としみじみする。知ってる名前が多いからエッセイなんやけど、コントドラマの脚本のように顔が浮かぶのが面白い。

  • 東京03のラジオとかでよく名前の出る「作家のオークラ」さんの本。東京03好きとして買ってみたら案外03の話は少ないし褒めてないし…近すぎて恥ずかしくて書けないか。その分バナナマン、ラーメンズ、おぎやはぎ、バカリズム、劇団ひとりと散りばめられたビッグネームとの逸話がおもしろいし、そのあたりに置いていかれながら追いついた03飯塚の熱さはともかく、豊本の適当さ、角田のダサさに対して容赦なくてこれまた良し。

  • ここ数年でオードリーや佐久間さんはじめ深夜ラヂオを聞き、ゴッドタンやあちこちオードリーを見るようになりましたが、今までそれほど熱心にお笑いを観ていたわけでは無かったので、『バナナマンのコントは凄いらしい』て事と『東京03の単独は動員が凄いらしい』ぐらいしか知らず、もはや歴史上の出来事ぐらいの感覚だったけど、名前は聞いた事があるものの実際には観た事がラーメンズとかバナナマンと過ごした青春時代の話など、単純にお話としても面白かった。
    そして今自分が面白いと思ってる番組にはほぼ佐久間さんとオークラが関わっている事に驚きを隠せない。

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