エヴァンジェリカルズ アメリカ外交を動かすキリスト教福音主義 (ヒストリカル・スタディーズ11)

  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314132

作品紹介・あらすじ

アメリカ国内に推定1億人の信者を持ち、アメリカ最大の宗教勢力とも言われるキリスト教福音派。聖書の教えを絶対視する保守系キリスト教徒である彼らは、宣教活動やロビー活動、そして草の根の政治運動を通じてアメリカ外交に大きな影響を及ぼしている。彼らはなぜ「アメリカは他国より質的に優れている」と信じ、「世界中で善を実現する特別な任務を持つ」と自負しているのか。なぜイスラエルを支持し、核兵器を持ち続ける北朝鮮に対して人道的支援を行うのか。福音派の信仰と政治的信条を歴史的に解き明かし、アメリカ外交において果たしてきた役割を示す。

感想・レビュー・書評

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  • まずは、P310にある解説「アメリカのプロテスタント教会」から読み始めたほうが分り易い。宗教改革までさかのぼり福音派について説明してくれている。

    欧州各地から各々の宗派の人々がアメリカに移民してきていることに驚き、また、「政教分離」とは「教会と国家」の分離であって「政治と宗教」ではない。宗教の自由活動を保障されてたことにも驚く。

    1961年まではキリスト教徒じゃないと公職に就けなかったアメリカ。宗教と政治が密接にかかわっていたわけである。
    「多様性を維持し、同時に統合しなければならない中心に神を置くことがアメリアの宿命なのだ」という説明には頷くばかりである。

    「福音派・エヴァンジェリカルズ」欧米各国の中でアメリカにだけ現れた得意な動き。
    聖書を基盤とした倫理原則・倫理観そのものに国と市民が従い、自らの行いのよし悪しを判断することととして考えられていた。
    政府をエンジンとするならば、道徳はその燃料であり、外交において道徳原則は灯台として機能する。道徳規範は外交政策の実行を説得し動機づける。
    神の下にアメリカがある。
    アメリカは特別。世界のリーダー…となるわけだ。

  • 福音派が政治、国際関係への関与を強めていることはアメリカの宗教と政治における重要な展開である。

    国際社会において追及すべきは自国の利益であるというリアリストのパラダイムは冷戦時代を通して政治に大きな栄光を及ぼしたが、建国以来アメリカ国民の国際問題への関心を掻き立ててきたものはそれだけでは説明できない。

    冷戦終結後、アメリカを支配していたリアリズムの魅力が褪せると同時に、当時の国際関係分析の定説であった世俗化もまた信用性を失った。

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