のぶカンタービレ! 全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで
- アスコム (2008年11月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776205081
感想・レビュー・書評
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ショパン・コンクールまでの歩み。
そして今に続くコンクール後の出発。
ただただすごいの一言で、本当に尊敬してしまう。
ショパンを愛する聴衆の心を動かす素晴らしい演奏を聴きたかったなと思う。
そしてもっともっと高く広い空に飛んでいこうとしている辻井さんの演奏も聴いてみたいと思う。
近頃音楽が自分に与える影響の大きさに驚いている。
音楽に支配されてしまうような感覚になる時がある。聴覚しか要らないと思うような。
呼吸すら邪魔で息を止めて、ただただ耳に感覚の全てを集中させる。そんな時。
不思議だなぁと思う。
世界に溢れている音の中から自分にとって特別な音を聞き分けていることを。
辻井さんのピアノも特別な音の一つのようだ。
そして、そう感じているのは私だけではないということも、不思議。
この心の動きは何なんだろう? -
辻井伸行さんは、とても有名なピアニストですよね。目が見えないという障害を抱えながらも、純粋にピアノを愛し、彼のピアノは一音一音が研ぎ澄まされていて、聞いていて癒されます。CDでしか聞いたことがありませんが、一度は生演奏を聞いてみたいと思っていました。
今回、この本を読ませて頂いて、彼は天才だったということもあるけど、人並み以上の努力があり、またお母様と共に、ここまで歩んできたんだなぁと、改めて思いました。とても前向きに書かれていましたし、コンクールの入選の有無ではなく、本当に辻井伸行さんは、純粋に音楽を愛しているということが、とてもよくわかりました。
彼がプロとして、有名になるまで様々な道のりがあり、また様々な方々との出会い、様々な想いがあったんだなと思います。
この本は、2作目だったのかなと思うので、1作目の「今日の風、なに色?」も読んでみたいと思いました。なんとなく題名がのだめカンタービレに似ていて、図書館で気になり手に取ったのですが、辻井伸行さんも大好きだったドラマだということが、印象に残りました。
改めて、彼の演奏を聞きに行きたいと思いました。 -
夢のような本当の話。。
だからこそ、夢のような活躍をされているんだと思います。前著『今日の風、なに色?』と重複する部分多数。名だたる方々からの惜しみ無い称賛と数々の華やかな活躍ぶりを読んでいると眩暈すら覚えるほどです。
この方に失敗や挫折はないのかなと少し意地悪な思いで探してしまいます。小学校入学時は、よく泣き出すためピーピー伸行と呼ばれていたそう、でもすぐに克服。あとは高校での実技試験でソナタの演奏で失敗したそうですが、その原因がなんと観客が小声でおしゃべりしていたために集中できなかったそうで…人のせいにするというか、母親がそれをわざわざ書くあたりはちょっと頂けない感じはありました。
読み進めるうちに、この母親…しんどいなと思う場面多数。母親名義の本なので仕方無いですが、伸行さん目線の語りを聞きたくなってきます。ショパンコンクールでの母親の緊張や不安はどうでもよい。
ですが、私も親としてお気持ちは分かります。
そして、本書後半では親子の距離感、子離れに向けたお話しになり、少しホッとするような、しんみりするような感じでした。母親側というよりも、息子側から自立したイメージです。今までたくさん愛情を注がれた結果だと思いました。
この本が出版されて間もなくの翌年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝されているので、エントリーのことなど何もここには書かれていないので、急展開での参加だったのでしょうか。また調べてみたいと思います。
本書は、重複、蛇足も多い内容ではありましたが、面白かったです。
あと、経済面でも一件の新築住宅(しかも高級住宅でしょう)が建ってしまうほど注ぎ込んだことも臆面もなく書かれているのは気持ちの良いことです。その担当が夫であると。この父母あってこそ!障害を背負ったことも何もかも、全てが奇跡!
世の中、何事も賛否両論あるように、辻井伸行さんのピアノに関しても例外ではありません。
ただ、素人の私でも伸行さんの個性は演奏からしっかり伝わります。ピアノを弾くために全盲で生まれたのかと思うほど、ピアノの才能と視力を引き換えにしたのかもしれないと思ってしまうほど。
心が綺麗であるがゆえに表現できない部分があるようですが、これからどう傷つき成長していくのでしょう。現在30も半ばの辻井さんですが、変わらず透明感のある音楽が私は好きです。
【以下、本文感想とは関係ないです。】
佐渡裕さんが尊敬してやまないと、河合隼雄先生のお名前を出されて(『人は傷つくことで成長していく。先生の役割は、傷をつける役割だ』。という言葉を本書で紹介されていた。)いたことが嬉しかったです!そして、佐渡裕さんの『一万人の第九』について調べると、2023年6月現在今まさに4年ぶり、合唱団の募集をしていたので娘と二人応募しました!!
更に辻井さんのデビュー10周年CDのマエストロ!エンディング曲を聴いていると、上岡龍太郎さんの逝去されたニュースがあり、上岡龍太郎さんの息子さんの小林聖太郎さんの素敵な挨拶を読んで、初めてマエストロ!の監督だと知った次第です。
そして、今日当選発表で辻井伸行さんの河口湖ステラシアターのチケットも先行でゲットしてしまいました。なんだか、ズルズルと芋づる式で発見が広がっていくのが楽しいなと思った次第です。 -
思ったことはすぐ実行に移す。子供の為に全力でコミットしていく親の気概を感じた。音楽はお金がかるので収入があることも必要だけど、これだけ子供のために尽くせる親はそういないんじゃ?お金があっても私には無理だ…伸くんがこの方の子供になれたことで産まれた奇跡かと思います。
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2017/03/14
一流の道を目指す人は、一流の出会いもたくさんあって、そこからたくさんのことを得ることができる。それは辻井さんで言えばピアノに限ったことではなく、芸術性だったり生き方だったり。何かを極めることはその道一本で通ずることのみならず、万事で通用するものを身につけられるのではないかと感じた。何かに打ち込むことって素晴らしいなぁ。『人は障害の有無に関わらず、それぞれ世界観を持っている。できないことに縛られず、個性を伸ばすために挑戦する。』『環境に左右されず、自分のやるべきことを淡々と、たくましくやり抜く。』『人は傷ついて成長していく。』など、辻井さん親子は財産となる言葉や経験を先生方からいただいている。それは、辻井さん親子がいつも前向きに頑張り続けているからだろう。 -
辻井伸行くんは素晴らしいピアニストですが、それ以上に私は母親であるいつ子さんのパワーと強さに深く感動しました。辻井伸行くんに、あなたのお母さんはいかに素晴らしい人か、ということを教えたいです。偉大な事を成し遂げた人というのはそばにいる人に恵まれてこそ誕生するのだと思いました。
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【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
ピアニストを目指しながらも聴覚障害を有することの苦難が中心に書かれているのかなと思いきや、良い意味で期待を裏切られた。
書かれているのは一人のピアノの天才とその母親のショパンコンクールへの挑戦物語。
もちろん聴覚障害による苦難は避けて通れないことではあるのだけれど、障害の有無は関係なく、音楽の道を目指すというのは、想像以上に経済的にも肉体的にも精神的にもハードなものなのだと思い知らされた。ショパンコンクールに挑むためにピアノを持ち込み、指導者も同伴して1カ月もポーランドに滞在するなんて。
本書にも書かれていたけれど、ピアニストになれるかわからないのに聴覚障害者としての躾よりもピアノを優先させたこと、葛藤もあっただろう。
そこで息子を信じてやれたことが今につながっているのだろうと思う。
とりわけ音楽に造詣が深いわけでもなく、図書館でなんとなく手に取った本だったけれど、たまにはノンフィクションを読むのもいいなと思った。 -
メインは17歳で挑戦したショパンコンクールの顛末で、前作との重複も多い。それでも、著者の積極的な行動や信行君の前向きな姿勢が描かれていて、彼のプロデビューまでのいきさつがわかる。
「昨日のSONGSに葵さん出てらして、新曲かな?歌われてましたね。」
またまた宮崎吾朗監督...
「昨日のSONGSに葵さん出てらして、新曲かな?歌われてましたね。」
またまた宮崎吾朗監督とのタッグのようですね。
アニメも見てみようかなと思ったりしています。
「辻井さんのドキュメント番組は観たことはあるのですが、本やCDはまだ体感?していないので、図書館で予約しようかなと思っております。」
是非是非♪
辻井さんのCDはまだ1枚しか聴いたことがないのですが、とても綺麗でうっとりしてしまいました。
ぴちほわさんのレビュ楽しみにしています☆