戦場カメラマンが書いたイラクの中心で、バカとさけぶ

著者 :
  • アスコム
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776201328

作品紹介・あらすじ

「首都陥落後の国ほど危険なところはない」世界の戦場を肌で知る男が空爆下のイラクに非合法潜入。テレビ・新聞が報道しないイラク戦争の裏側を描いた傑作取材記。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の中に印象的な言葉があった。「“戦争“と“戦場“は違う」という言葉だ。

    戦場は戦争が行われる現場である。戦場は誰でも怖い。反対するのは当たり前なのだ。しかし、戦争はすぐれて政治的なもので、戦争に反対するのは難しい。と筆者は言う。戦場記者は戦争を語るものではない。戦場を写すものであると。

    しかし、あえて著者は最後に戦争を語った。これがいわば日本人への遺書となることを予想していたかのように。

  • イラクはこの時も大変だった。今も。生まれた場所がたまたまイラクだったというだけで常に命の危機にさらされる市民…なんともいえない…。

  • 爆弾を落とす側の映像や写真や記事などはよく見ますが、落とされる側に立った映像に秘められた全てが戦いの中にいる。
    たとえ国境を渡るにも、一つの橋を渡るにも、小さな道を横切るのも、全てが命の危険を伴う。

    この本の中にも『簡単に命を投げ出したり、粗末に扱う人が実際に戦場に行って命の尊さを学ぶべきだ』というようなことが書いてあります。
    今の世の中、命の重みを感じない事件ばかり。
    さまざまなゲームや漫画・以前に起きた事件のせいでしょうか。
    今ここに自分が生きているということ。
    命とはどういうものか、一度きりの人生悔いの残らないように思いっきり生きよ!!
    そんなメッセージのこもった本ですかね。

  • アジアの農耕民族とアラブの遊牧民族はそもそも思考の根底から異なる。
    生活スタイルが違う。農耕民族は定住して耕すが、遊牧民族は移動して生活する。
    インシャーラー(神様の思うままに)
    衛星携帯電話は1分で30ドルも利用料金がかかった。
    イラクに出稼ぎに来ているスーダン人もいる。

  • 著者はフリーのジャーナリスト。偽造ビザや、義勇兵に成りすまして非合法でイラクに潜入。もっとも潜入してからは、日本のテレビ局と契約して中継に奔走。戦争が始まってから、バグダッドが陥落するまでの、アメリカ側からではない視点で、描く。イラクの官僚は酷いし、アメリカの軍隊も酷い。つまり、そんなことが描かれている。

  • 冒頭は橋田さん、宮嶋さん、勝谷さんの対談。
    あっけらかんとした感じ。衣着せぬ感じが気分いい。
    金儲けがしたい、とか、仲間が捕まったら儲けもの、とか。
    人間の盾に対して、平和を叫ぶのが胡散臭いみたいな話は、とても腑に落ちてしまった。
    正しいこと、なのになんであんなにうざったく重たくうそっぽく感じるのか、なんかすっきり。
    自衛隊を出すことの国益を説明するべきって、本当だなと思った。
    国益、っていう言葉がすっと出てくるのがすごい。
    愛国心とか『国』ってつく単語って、最近変な使い方や受け取られ方をすることが多い中、
    ストレートにばんっと入ってくる。
    国益を考えてる国民がそもそもいないから、自衛隊派遣を単に戦争反対・賛成でしか論じられないのかもしれない。

    人間の盾のおばさんになじられ、命令だからと答えた米兵。
    しかしブッシュの政策には賛成か、と著者らに訊かれると、きっぱりと反対と答える。
    湾岸戦争のとき、テレビで見ていてアメリカの兵隊が、
    「戦場には行きたくないし、死ぬのも怖い。でも、政府が決めたら俺は戦場へ行く」
    と言っていて、まだ子供だった私はなんだかびっくりしたことを思い出した。
    兵士個人の意見がしっかりあることも凄いし、それを黙殺して従う、というのもやはり凄い。
    そうして大義名分のために個を殺して軍隊として動いている人を捕まえて、
    公の立場の人に個の立場で個の意見をぶつけて
    「何人のイラクの人が死んだことか!」
    と叫ぶのは見苦しい。
    それにこのおばさんは、じゃあ代わりに米兵が死ねばよかった、それならハッピーだって、いえるんだろうか。
    こういうところに、ボランティアとか団体の胡散臭さ、疎ましさがあるのだ。
    どこまで本当に覚悟があったかは兎も角としても、本当に命をかけて戦場に来ているのに、
    それが尊く素晴らしく、誰もがつい賛同したくなるような内容に見えないのはこういうところにあると思う。

    一日に何人のイラク人が死んだのか、という記述で、
    日本の一日の自殺者の半数というのを見て驚いた。
    日本も目に見えない戦場で、ある意味ではイラクよりも深刻な戦況なのだ。
    でも、戦争は可哀想、で、国内のそういった問題はほとんどメディアにも取り上げられることは無い。

    『戦争と戦場は違う
    戦場の悲惨さを語るのは泣き言
    戦場にいる者が戦況を語れる。しかし戦争を語れない。』
    凄く心に残る言葉だった。
    いつも言葉は「戦争反対」だけど、やっていることは戦場反対、だ。

    「戦争を決めている政府の人は・国民が選んだ代表なんだから
    選んだ責任が結局自分たちにあるわけで、それを戦場に押し付けたり
    戦場の悲惨さを訴えていても結局根本的な解決にはならない。
    日本人だという自覚を持って、変な意味でなく愛国心を持って、
    政治に関心を持って、どんなに小さくてもできることをやっていかないと駄目だ。
    政府は相手にするにはでかすぎるし、なかなか聞き入れてもらえない厄介な存在ではあるけど、
    だからと言って黙っていたら何も変わらないのだ。

  • 『イラクの中心で、バカとさけぶ』
    http://sinsei.coolblog.jp/nnnoblog/index.php?UID=1099069795

    終戦の日スペシャルドラマ「覚悟〜戦場ジャーナリスト橋田信介物語〜」
    http://sinsei.coolblog.jp/nnnoblog/index.php?UID=1124106218

  • イラク戦争で亡くなった戦場カメラマンの橋田さんのエッセイ。これは同じイラク戦争でも、死ぬ前に書かれた本で(当たり前だけど)、底抜けに明るい文体で書かれている。戦争取材のウラオモテがわかって非常に面白い。これくらい明るくてバイタリティのある人じゃなきゃ戦場カメラマンなんて勤まらないよなーと思った。

  • レポート書くために読みました。
    橋田信介さんの遺作です。

  • この本で読書感想文を書いて入賞した。在り来たりな戦争ものではないところが魅力。

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