- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784775527610
感想・レビュー・書評
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なぜ十代の自意識過剰で繊細な少年が永遠に悶々と悩み続ける様を描いた小説はこうも魅力があるのか。「潮騒の少年」はまさにこの小説のアメリカ版って感じだったけど、「君の名前で〜」の方が上品。どっちが良い悪いとかではない。なぜどちらの少年も好きな男がはいたパンツを頭に被るのか。もしこの小説と同じような設定の作品を探してるなら、「潮騒の少年」はオススメ。「君の名前で〜」のような静かで美しくてハイソな雰囲気ではなく、精子の匂いが立ちこめるような思春期男子!て感じだけど。
映画が最高だったから原作はあまり期待していなかったが、いい意味で裏切られた。本当にこの小説の雰囲気をそのまま映画にした感じだったんだなと思った。映画ではよく分からなかった二人の行動の意図とかが、小説には書かれていたりして、また映画を見返したくなる。 -
彼女いわく“恥ずかしそうに顔を赤らめている”アプリコットの実を摘むように頼んだ。
(オリヴァーは)これは恥ずかしそうに顔を赤らめているかと尋ねた。
いいえ、とマファルダは答えた。
それはまだ若すぎます。若い者は恥を知りません。恥は年齢を重ねて知るようになるんですよ。
----------------引用終わり
同性愛とは「君が僕であり僕が君である」という感覚をもちうるというのが、新しい発見だった。
お互いの気持ちがよりわかったりして、異性愛よりも分かり合えることが多いかも。
「この人しかいない!」という想いは想像を遥かに超えるだろう。
舞台の時代が古いために一生を十字架を背負って歩くように感じている主人公が不憫だった。
日本でも早くLGBTQの制度を充実させてほしい。
読了後はみんなが幸せになれるようにと祈る気持ちになった。 -
ネットで映画の感想を見かけて、タイトルに惹かれて読んでみました。
脚本のジェームズ・アイヴォリー氏がアカデミー脚色賞受賞のスピーチで語ったとおり、初めての恋というのは誰もが経験することです。
ひと夏の出会い。恋をして、切なく苦しい思いに身を捩り、結ばれた喜びに胸踊り。そして訪れる別れ。
もちろん全てに共感するわけではありませんが、オリヴァーとエリオの切ない恋がリアリティを持って描かれています。
ネタバレになりますが
ひと夏の恋だけではなく、その後の別れと再会まで描かれているのが自分としてはリアルで良いなと思いました。
ご両親がわかっていてなにか変に止めたり貶したりするのではなく、大切に見守ってくれているというのがとても素敵でした。
原作ではどのような表現がされていたのかはわかりませんが、
「そうしたかったんだ」
「大丈夫だと思ってた。いずれ立ち直るよ」
というような繊細な表現がとても好きでした。
『階段をのぼりながら、明日の朝この階段をおりる自分を想像しようとした。そのとき僕は別人になっているだろう。』
と思うような大きな出来事が、人生に一度や二度は起きるのではないでしょうか。
そんなことを思える恋は、そして人生は、とても素晴らしいものだと思うのです。 -
北イタリアでの夏と、二十年後の話。
映画を見終わった時は、その余韻がすごかった。
ひとりで見に行って良かったな、と思う。
本作と映画の描写は所々違うがけれど、羽音をたてて飛び回る蝿はエリオの不安を表していた気がした。自分の名前で相手を呼ぶ愛情表現はすごく美しく、儚い。 -
映画の後に読みました。
映画中ひたすらオリヴァーに腹が立っていたのですが、此方で少し和らぎました。
映画に比べエリオがかなり生々しいのと、自分が思っていた心情ではなかったこと、映画のその後の話があるので、大筋は一緒でも違う印象です。 -
映画とともに、じっくりと味わえる物語。美しくて泣きそうになる。どのページを開いても異世界にビューンと連れていってくれる。現実逃避もの。