杉森くんを殺すには (くもんの児童文学)

  • くもん出版
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本棚登録 : 372
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774334837

作品紹介・あらすじ

――「杉森くんを殺すことにしたの」 高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。傷ついた心を、取りもどす物語

感想・レビュー・書評

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  • 題名に驚き、内容にビビりました。この内容をYAで出す覚悟と周到さに星五つです。
    物語は、義兄に「杉森くん殺害計画」を相談する所から始まります。殺す理由は「意地悪」からスタートし、「わからない」、「自分が楽になりたい」と、少しずつ変化していきます。その変化の理由と必要性は、是非本書を読んで知ってもらいたいです。メッセージ性の強い作品ですが、物語としてもぐいぐい読ませます。

  • あとがきの通り、“悲しみの居場所探しの物語“。理解のある人達が居てよかった。タイトルはあまり好みじゃないかな。

  • ヒロは杉森くんを殺すことにした
    ヒロは、杉森くんを殺す理由とやり残したことをリストにしていく
    杉森くんのことをずっと考えている

    ○“杉森くん”と“ヒロ”たちに読んで欲しいな、周りの人たちにも
     紹介出来ない、見つけてほしい本だ
     見つけやすいタイトルとカバーだなと思う
    ○巻末に臨床心理士の解説と案内がある

  • 重すぎず、軽すぎず、子供達の会話にクスッとしたり、登場人物を通して自分を見つめ返すことができたり。学生に限らず、沢山の人に読んで欲しい本。タイトルにはドキッとするけれど、読み進めていくと腑に落ちます。読んで良かった。

  • 書評読んでざっくりの内容を知っていたけれど、期待以上に面白かった。押し付けがましくなく、うるさくなく、中高生に薦められそう。キャッチーなタイトルに反して真面目な内容で、このタイトルだからこそ届けたい層にアピールできるのもうまい。木彫りのクロブタ、かわいい。

  • 杉森くんを「殺す」ことで、罰を背負おうとする高校1年生の女の子の話。
    赦される苦しみに囚われ、傷ついた心を抱えながらも、様々な人とつながり、前に進もうとする心の揺れ動きに惹きつけられました。
    伝えたいメッセージが確かにあって、希望と共に語られている。
    この本に出会えて、とても良かったです。

  • 凄いタイトル。誰だって引く。ましてや学校図書館に置かれてごらんなさいよ。二度見じゃ済みますまい。
    ただ「誰が、誰を、どうして、どのように、殺す必要があるのか」がわかるにつれ、タイトルが生きてくる。
    気になったら、手に取ったら、読んでほしい。できれば最後まで。そんな心配をしなくてもいいほどに、巧みな構成だけれど。
    私は登場人物全員に猛烈な愛しさを感じた。もちろん「杉森くん」にも、その母にも、だ。

  • 高校生のヒロは、中学までの同級生の杉森くんを殺す計画をしている。大好きなミトさんにも相談している。ミトさんに、殺す理由を書いておいたほうが良いと言われ、殺す理由を書き留めている…

    何なんだこの話?と思いながら読み始めたが、なかなか大変な話だった。個性的な愛すべき高校生たち、読み終わってちょっと感動した。最後は、ちょっと上手く出来すぎな気もするけれど、しょうがないか。

  • 「杉森くんを殺すことにしたの」
    ステップファミリーの兄であるミトさんに、わたしは電話でそう告げた。
    ゆっくり考えて「そうか」と答えてくれたミトさんは、「殺したら捕まるからいまのうちに、やり残したことをやっておけよ」と「裁判所で理由を話さないといけない。杉森くんを殺さないといけなかった理由をまとめとけ」とアドバイスをくれた。
    それに従いわたしは、日記に残すことにした。

    杉森くんを殺す理由その一:杉森くんは意地悪。



    物騒なタイトルに惹かれて手に取りました。
    話の始まり方も、一体何が起きているんだろう?と疑問に思いながら、推理しながら読み進めることができて楽しかったです。

    杉森くんははじめ、「くん」というくらいだから男の子だと思っていたし、もちろん生きていると思っていました。
    そして前半の殺す理由からすると、そんなに仲が良くない子なんだろうな、一体何をやらかして主人公のヒロを傷付け怒らせたのだろうかと、呑気な気持ちで読んでいました。
    杉森くんはどうやら、杉森さんなのだと分かったあたりから、これは何かがおかしいぞと気付きました。
    後半はもう、とにかく辛いです。ヒロが割と気丈に振る舞っているから暗く感じにくいけれど、その細い、気を張った線がプツリと切れた時に、感情となるべきだったものが涙に変わって出てくる描写が辛いです。
    友達同士の会話や学校生活の描き方が割とリアルに感じられましたが、実際の高校生から見るとどうなんでしょうか。そのリアルさから、感情が迷走している様もまたリアルに感じられて感情移入してしまい辛くなりました。
    極め付けはミトさん。
    ずっとミトさんの立ち位置はどうなんだろうか?杉森くんとも面識があるみたいだし…と思っていましたが、ミトさんもまた傷付いていた一人だったのだと分かり、辛いなあと思ってしまいました。

    残された人達は皆、傷付いている。
    けれどそれを罪悪感と一言で言って仕舞いにしたり、綺麗なものにしないで、そこに至るまでの経緯を一つ一つ丁寧に描いていて、最後は希望を持てる終わり方でとても良かったです。

    YA、中高生に向けたお話でした。
    小学校高学年でも読める文章でしょうが、薦めるのは躊躇います。

  • インパクトのあるタイトルとSNSでよく見かけたので気になって読んでみた。

    杉森くんを殺す理由を上げていく主人公のヒロ。読み進めるとだんだん杉森くんのことが分かってくる。

    ズシリと心に重く響く内容で過去の自身の経験からヒロの気持ちが分かりすぎて一気読み。
    過去の辛い時期に読みたかった。救いになったであろう本。

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著者プロフィール

長谷川まりる/1989年、長野県生まれ、東京都育ち。職業能力開発総合大学校東京校産業デザイン科卒。『お絵かき禁止の国』で第59回講談社児童文学新人賞佳作(2018年)、『かすみ川の人魚』で第55回日本児童文学者協会新人賞(2022年)を受賞。ほかに『満天 in サマラファーム』など、話題作を発表している。創作同人会「駒草」所属。

「2023年 『キノトリ/カナイ 流され者のラジオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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