こんぴら狗 (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774327075

作品紹介・あらすじ

犬が一匹で、江戸から讃岐の金毘羅さんまでお参りに!?

江戸時代、伊勢参りや金毘羅参りは庶民の憧れ。でも自分はなかなか旅には出られないから、代わりに飼っている犬にお参りに行かせる。そんな、今では信じられないユニークな風習がありました。
中でも讃岐の金毘羅まで、代理でお参りにいく犬のことを「こんぴら狗」といいます。
本作はその「こんぴら狗」を題材に描かれました。

主人公は雑種犬のムツキ。捨てられ、弱りはてていたところを拾ってくれたのが、飼い主の弥生。でも、今度は弥生が病気でふせってしまいます。
弥生の治癒祈願のため、ムツキは「こんぴら狗」として、江戸から金毘羅参りに向かうことになります。
まずは京都まで、ムツキをかわいがってくれている瀬戸物問屋のご隠居と一緒に向かいますが…。
波乱に満ちたムツキの旅と、道中での出会いと別れ。ムツキの旅を応援し、ムツキの金毘羅参りにささやかな祈りを託す人々の温かさを描き出します。

装画・挿絵は、レトロポップな画風で知られるいぬんこさん。江戸時代の庶民たちを生き生きと描きます。
3年にわたる取材を経て書きあげられた、こだわりの本格歴史犬小説をぜひお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、土橋章宏さんの「駄犬道中おかげ参り」と「駄犬道中こんぴら埋蔵金」を読んで、江戸時代、飼い主に代わって、犬がお伊勢参りや金比羅参りをする風習があったことを知り、代参犬に大変興味がありました。
    さらに、小学生の姪と金比羅参りがしたくて、最近共にウォーキングに励んでいる最中に、「こんぴら狗」という小説の存在を知り、迷わず読んだ次第です。
    江戸時代、飼い主さんや道中出会った人たちのみんなの願いを背負い、きっとこんな風にお伊勢さんや金比羅さんにお参りしていたのだろうな・・・と、代参犬の壮大な旅に胸が熱くなりました。凄く素敵な作品です。
    代参犬のムツキは、雑に扱われる事もあり、幾多の苦難にあいますが、優しい人達の助けをかりて金比羅参りを達成し、無事に江戸に帰って来ます。最後は本当に優しい親子に出会い、江戸に帰って来た時は涙が伝う、そんな代参犬の素晴らしい旅でした。
    私も早く金比羅参りをしたくなりました!
    今は離れた所からコロナの終息を願い、金比羅さんの階段を登れるように、今は姪といっそうウォーキングに励もうという気にさせてもらいました。

  • 長い道中困難の連続でハラハラしっぱなしでした。

    実際行ったことのある金毘羅宮を思い出し、また、通訳案内士として地元の七里の渡しを始め、東海道の宿場町のことを学んだのですが、こんなにも道中の様子が目に浮かんだのは初めて。

    そして最後、江戸に入ってからは泣きっぱなしで読み終わりました。

    今で言う、盲導犬にもつながる描写も素晴らしかったです。

    児童文学ですが、大人にもおすすめです。

  • 『「よくこの小さな足で、この細い脚で、何百里もの旅にたえたと思うと、胸がいたいほどしめつけられ言葉もなかった。」』

  • 子供が夏休みに読んだのかな?

    なんの気なしに読み始めたんですが、
    結構引き込まれましたね。

    良いお話でした。

  • こんぴら参りと、こんぴら狗。
    出会いと別れにほろりとしながら読みました。

  • 江戸時代には金比羅信仰が大名から庶民のあいだにまで広まりさかんになっていたとのこと。飼い主に代わって金比羅さんに代参するこんぴら狗の、長旅の苦難と、様々な出会い(いい人も悪い人も)が描かれています。
    全てが便利・快適になった現代以上に、人情が沁みますねぇ。

  • 第2回(2021年度前期)ビブリオバトル推薦本!

  • 子供が今井恭子さんの縄文の狼を読み始めたのがきっかけで読んでみた本。犬ん子さんのイラストも嬉しい。道中、もちっと詳しく知りたいなと思いつつ、いいテンポで進んでゆく。
    途中ドラマティックな展開もあり、子供を相手とはいえ十分悲しい描写もあった。後半ちょっとサクサク行き過ぎな感もあるが、お家も早く戻りたいしね。楽しめる1冊。

  • 出版社が狙ったとおり、子ども向けの内容ではありましたが、色々な人間が出てきて、人間模様が面白かった。
    行きに比べ、帰りは少しあっさりしていて、結末も予想通りではありましたので、★4個にした。

  • 2018年課題図書。
    当時から気になってたんだけど、金刀比羅神社に行こうと思ったので、急いで読んだよ。

    飼い犬に金毘羅さんまで代理で行って貰う風習があったなんてびっくりだよね。
    飛行機も新幹線もない時代に歩きで江戸から四国香川県まで行くなんて健脚な大人でも大変だったろうに、わんちゃんが行くなんて本当にすごい。
    しかも、飼い主でもない人たちと!
    善意で成り立ってるよね。
    実際には成功例の方が圧倒的に少なかったと思うと複雑な気持ちになってしまうけど…。

    この本でも、ただ楽しい旅っていうだけじゃなくて、色んな人達との出会いと別れが描かれていて、ちょっと泣けてしまった。
    児童書でも、結構過酷だなって。
    小学生高学年向きの課題図書だったけど、もちろん大人の方も面白く読めると思う。
    わんちゃん飼われてる方はもちろん犬好きさんは面白く、また切なくなりながら読めるんじゃないかと。

    そして、挿絵のいぬんこさんの描かれてるムツキがとっても可愛くて、癒されたよ。

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著者プロフィール

今井恭子:広島県生まれ。日本文藝家協会会員。日本児童文学者協会会員。児童文学作家。作品に、『歩きだす夏』『ぼくのプールサイド』(学研)、『アンドロメダの犬』(毎日新聞社)、『前奏曲は荒れもよう』『切り株ものがたり』(福音館書店)、『丸天井の下のワーオ!』『こんぴら狗』(くもん出版)、『ぼくのわがまま宣言!』(PHP研究所)、『ギフト、ぼくの場合』(小学館)など多数。『こんぴら狗』では、第58回日本児童文学者協会賞、第65回産経児童出版文化賞産経新聞社賞、第67回小学館児童出版文化賞を受賞。東京都在住。

「2023年 『キダマッチ先生!7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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