ソーシャルファイナンス革命 ~世界を変えるお金の集め方 (生きる技術! 叢書)
- 技術評論社 (2012年6月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774151526
作品紹介・あらすじ
いま、人と人のつながりを活かした新しい金融の仕組みが、世界を変えようとしています。たとえばウェブを通じて多数の個人から少額の出資を募るクラウドファンディングは、途上国の学生への就学支援、応援したいアーティストへの投資、こだわりを持ったモノづくりに対する資金提供など、社会を動かす新しいエンジンとなりつつあります。投資ファンドのプロフェッショナルとして活動しつつ、NPOの代表も務める著者が、マイクロファイナンス、クラウドファンディングをはじめとするソーシャルファイナンスの仕組み、そのインパクト、そして未来について解説。
感想・レビュー・書評
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ソーシャルファイナンス(この言葉が正しいかは分かりませんが)を構造的に理解するに大変役に立ちました。
大学時代にユヌス氏のマイクロファイナンスによる貧困解決の取り組みを知って以来、金融の新しい形に興味を持っていました。
情報通信の進化であるとか、ソーシャルメディアの普及によって金融と情報との接点の方法が変わり、新しい金融サービスが生まれているという認識はありました。
その中でこの本を読む事で、金融とはそもそもどういうもので、何故情報通信の進化やソーシャルメディアの普及が金融に変化をもたらしたを体系的に理解する事ができました。
たぶんこれからも変わるであろう金融サービスに関わる位置にいれたら面白いだろうなと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間関係とお金の結びつきを主張する筆者。ソーシャルネットワークが浸透し、より広い人間関係を作れるようになった今こそ、P2Pファイナンスという形の資金調達が行われやすくなってきている。
その考え方の背景にあるのが「資本コスト」である。資本コストとは資金調達にかかるコストのことであり、この資本コストをいかに下げるかがポイントとなっている。そこで近年進化を遂げているソーシャルネットワークの浸透によってこの資本コストを下げることが容易になっているというのが筆者の主張である。
本全体を通してみると、銀行の役割から始まり開発途上国に多いマイクロファイナンスについて説明をした後にP2Pファイナンス(特にクラウドファンディング)についての説明がされている。いくつかの事例に触れつつ、現状の課題や基礎的な説明も多い印象だった。あとがきに筆者の主張がまとまっているので、それを最初に読んでから本文を読み進めても良いかもしれない。
非常に読みやすく、理解しやすい一冊でした。 -
顧客の皆様の新たな事業にどうかなと思って買って読みました。
ファイナンス事業についての初心者としてはよくわかる本
金融イノベーションが資本コストを下げ、資本コストは機会損失の対価・
リスクの対価・情報取得の対価の3つの合計という考え方で、
ソーシャルファイナンスはそのコストを下げる意味合いがあるとの解説。
そういう意味ではこれも金融イノベーションの一つかと思います。
その辺の事柄がよくわかる本でした。でも、やっぱりお金って
難しい。 -
クラウドファンディングという金融のイノベーションによって、資産運用の手段としか考えていなかった「投資」というものの考え方が変わりました。
あの人を応援したい!という気持ちからはじまる新しい金融の仕組み = ソーシャルファイナンス。
この本では、まず金融の基本的な仕組みの解説があり、それを踏まえてソーシャルファイナンスの今と未来が述べられているので、とても理解しやすかったです。
必要なところに必要なお金が届く世の中に。
私も応援していきたいと思います。 -
人と人とのつながりをベースにしたソーシャルファイナンスについての本。
著者がソーシャルファイナンスの実務家なので、やや割り引いて読む必要はあるけれど、想定される反論もあらかじめ書かれていることが多いので、かなり中立的な文章だと思う。第1部であらかじめ金融の概論が解説されているので、理解もしやすい。
本書では、ソーシャルファイナンスを大きく2つに分類している。
ひとつは発展途上国の濃密なコミュニティで成立しやすいマイクロファイナンス、もうひとつは弱いつながりが数多い状態で成立しやすいP2Pファイナンス。それぞれについて、多くの事例と、抱える問題点について解説されている。
第4部で、情報の非対称性を解決する手段として、「推薦」を挙げているのは、特に面白かった。 -
あとがきの最初の1ページにこの本のすべてが書いてある。
必要なところに必要なお金が回すためにあるのが金融、これがよりその通りになるための仕組みとしてソーシャルファイナンスという仕組みを説明している。
つまり、資金調達を容易にするためにはそのコストを下げる必要がある。コストを下げる新たな方法として、ソーシャルファイナンス(P2Pファイナンス)が提案されている。そのベースとして、マイクロファイナンスも事例など共に説明を行っている。
わかりやすく説明されており、社会的な重要性も見えてくる。資金提供者となるのか、あるいは仲介するものとして如何にビジネスにつなげるか、そういったことも考えていかなければならないであろう。 -
日本初のマイクロファイナンスファンドを企画した、慎 泰俊 (しん てじゅん) 氏の著書です。
ファイナンスの仕組みから、貧困国で多いマイクロファイナンスと
新しいファイナンスのP2Pファイナンス(インターネットがあるからこそできるソーシャルファイナンス)について書いた本です。
お金を貸し借りしているそれぞれの立場から、何故そうなるのか書かれているので、誰が読んでも分かりやすい本になっていると思います。
ただお金を貸すことによる金銭的な利益を享受するメリットだけでなく、貸した人を助けることによる精神的な満足度が高い仕組みを、インターネットを使うことで作ったのがソーシャルファイナンス。
貸す方は精神的満足度が高くなるために、金利が安くなったりすることでリターンが少なくなっても満足する。借りる方は、金利が安くなることでお金を手に入れることができるようになり、そのお金で実現したかったことを実現する。そして、それを実現し完済することで、お互いがハッピーになる。
時代が変わり方法は変わっても、根底にあるものは変わっていないというのが、この本を読むとよく分かると思います。
技術の進歩が金融に与える影響を理解するためにも、一度読んでおくべき本だと思います。 -
最初にお断りしておきますが、私は著者が代表を務めるNPO法人、Living in Peaceの「チャンスメーカー」に参加しておりますので、完全に無関係な立場ではありません。
その上で、本書の感想を少々。
マイクロファイナンスについても、初期のやり方から離れて株式上場企業となり、単なる高金利融資になっているのも紹介しております。この際、コールレートと貸出金利を比較していますが、これは比較対象が異なりますので、「高金利」を印象付けようとして公平を欠くのではないでしょうか。
また、本書は一部のマイクロファイナンスの書籍や、社会企業家のような方がやってしまうような既存の金融機関への露骨な敵意や偏見を出してはおりません。しかし、本書で紹介されるようなP2Pの金融の仕組みで、銀行など既存金融機関の情報生産(審査)のノウハウを代替できるのか、納得のいく理解は得られませんでした。こちらは機会があれば、直接説明を聞いてみたいところであります。
私としては、子どもたちの教育資金援助には賛同しますので、チャンスメーカーは続けていきたいです。なんとか金額も増やしたいとも思っています。
著者らの活躍には期待すること大です。
自分でできる範囲で、応援して行きたいと思います。 -
発展途上国と先進国における新しい資金調達の姿を紹介しています。
発展途上国ではマイクロファイナンスにより、これまでお金を闇金からしか借りられなかった人がまともな金利でお金を借りられるようになった事で貧困から抜け出す手助けに。
先進国ではITの発展により、多数の個人から少額のお金を集めることが可能に。資金調達のキーは”共感”。
ワクワクするような事業を行う人には共感で結ばれた人からお金が集まってくる。
農地改革で日本に旦那さんがいなくなってしまったけれど、プチ旦那さんがこれから誕生してくるんじゃないか?そんな予感がしました。