闇の河 THE SECRET RIVER (オーストラリア現代文学傑作選第4巻)

  • 現代企画室
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773815191

作品紹介・あらすじ

新たな生を希求して「未開」の入植地に移り住んだ一家と、その地で永く生を営んできた先住民との邂逅。
建国神話の奥に潜む闇を上質な小説に仕立てあげた、オーストラリア文学史上屈指の国民的ベストセラー。

ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソーンヒル夫妻は植民初期のシドニーにたどり着く。舟運の仕事についたウィリアムは、やがてシドニーから隔たった入植地に希望を見出し一家で移り住むが、無人の未開地と思われたそこは、先住民が伝統的な暮らしや祭祀を営む場所だった……。
異文化との出会いと衝突、そして和解に至る道のりで、「記憶」はいかに物語られるのか。多文化にひらかれた新たなアイデンティティを模索するオーストラリア社会に、深い衝撃をもたらした現代の古典。

感想・レビュー・書評

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  • アボリジニアートの美術展で購入した本。
    先住民と開拓民の間には暗い歴史があり、オーストラリアも例外ではない。狩猟採集の生活スタイルで暮らしてきたアボリジニはことごとく駆逐された。
    この本はある開拓民の家族と先住民の出会い、その互いのコミュニティの衝突を生々しく描く。開拓者として成功するタイプがどういう人かもわかり面白い。

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソーンヒル夫妻は植民初期のシドニーにたどり着く。舟運の仕事についたウィリアムは、やがてシドニーから隔たった入植地に希望を見出し一家で移り住むが、無人の未開地と思われたそこは、先住民が伝統的な暮らしや祭祀を営む場所だった…。異文化との出会いと衝突、そして和解に至る道のりで、「記憶」はいかに物語られるのか。多文化にひらかれた新たなアイデンティティを模索するオーストラリア社会に、深い衝撃をもたらした現代の古典。

    ジャンルを「外国の小説」に入れていいのかと思う小説。
    史実に基づいた、と言ってしまえばそれまでなんでしょうがそれでは収まらない物語。
    アメリカももっともっとすごくひどいことになっていたんだろう。
    続編があるのであればぜひ読んでみたい。でもこれ読むにも時間かかったからなぁ。いつになるやら。

    The secret river by Kate Grenville

  • 先の東京文芸フェスティバルのイベントをきっかけに購入した本。私自身はオーストラリアにも、移民の物語にも興味があったわけではなかったのだが、偶然参加した作家を迎えてのトークイベントの内容がすばらしく、この厚い本を読もうと決意した次第。
    『闇の河』(原題はSecret River)という題名は「地獄の黙示録」の原作となった『闇の奥』(コンラッド)を意識してとのこと…と聞き、無知蒙昧の私は「暗そう・難しそう」尻込みしつつページを開き…あっという間にこの世界に引き込まれたのであった。
    生活のための軽犯罪からオーストラリアという未開の流刑地に送り込まれた主人公が、そこでそれなりの暮らしを立てて落ち着いたかと思うと「土地の所有」という、動物としての本能とでもいうべき欲に突き動かされ、シドニーを後にして密林に幼子も含む家族とともに入り「開拓」を進めるが、そこには当然ながら先住民がいた。言葉も習慣も全く異なる彼らの邂逅は、現代であれば宇宙人とのそれに近いものがあるのではないだろうか。
    大河ドラマ的に成功を収めつつ闇を抱えるに至った一人の男の人生として読むこともできるし、日本人にはなかなか知られないオーストラリアの歴史の書、異文化の出逢いと衝突を深くえぐった作品としても読める。
    だが、文章は平易でたいへん読みやすく(日本語訳もとてもいい)、物語性が高くページターナーな作品でもあるのが素晴らしい。オーストラリアではベストセラーとなり、テレビドラマ化もされたというのもうなずける。
    主人公の妻、サラは、インガルス一家の「かあさん」のように、明るさと機転で夫を支える理想の妻であり母である。だがしかし、「ホーム」に帰ることを夢見るサラもまた、最後には闇をのみこむこととなる。
    本作は続編もあるとのことで、ぜひ読んでみたい。

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著者プロフィール

1950年、シドニーに生まれる。現代オーストラリアを代表する作家の一人。
シドニー大学で芸術学を学び、映画制作会社に勤務。その後、イギリスとヨーロッパで数年間を過ごし、執筆活動をはじめる。1980年に米国に渡り、コロラド大学でクリエイティブ・ライティングの修士号を取得。1983年にオーストラリアに戻った後、テレビ局に勤務しながら最初の短編集Bearded Ladies (1984)を出版する。以後、これまでに9冊の小説作品と3冊の創作論(うち1冊は共著)、『闇の河』(The Secret River)執筆の経緯をまとめた回顧録、自らの母を通じて20世紀における女性の生き方を綴ったノンフィクション作品を発表している。
『闇の河』(2005)は、マン・ブッカー賞、マイルズ・フランクリン賞にノミネートされたほか、英連邦作家賞、クリスティナ・ステッド賞など数多くの文学賞を受賞。世界各国語に翻訳されベストセラーとなる。これまで数回にわたり演劇作品に翻案され、2015年にはABC(オーストラリア放送協会)でTVドラマ化された。
The Idea of Perfection(2000)でオレンジ賞、 Lilian’s Story(1985)でヴォーゲル・オーストラリア文学賞、Dark Places(1995)でヴィクトリア州文学賞を受賞。シドニー工科大学、ニューサウスウェールズ大学、シドニー大学、マッカリー大学のそれぞれから名誉博士号を授与されている。

「2016年 『闇の河』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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