コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から

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  • 現代書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768458235

作品紹介・あらすじ

山極寿一氏(京都大学総長・日本学術会議会長)推薦! 中部アフリカのコンゴ共和国で、いま何が起きているのか――。熱帯林に生息するゾウやゴリラなどの生態調査、環境保全に携わる中での内戦や森林伐採業との対峙、貨幣経済の浸透が先住民に与える影響など現場のリアルを伝える。

プロローグ
1 熱帯林とゴリラとの出会い
2 虫さん、こんにちは
3 森の中で生きるということ 
4 熱帯林養成ギプス、内戦、そして保全業へ 
5 新たな旅立ち〜森から海へ 
6 森の先住民の行く末 
7 ブッシュミート、森林伐採、そして象牙利用へ 
8 海洋地域での漁業と石油採掘 
9 日本人との深い関わり 
10 教育とメディアの課題 
11 ぼくの生き方〜これまでとこれから 
エピローグ

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  • 2018年発行。
    『自然の保全』という仕事を続けているのは、西原智昭さん。

    霊長類の研究から始まり、フィールドであるアフリカ中央部の「サンガ国立公園」「ウドキ国立公園」「ロベケ国立公園」「ヌアバレ国立公園」のあるコンゴ共和国で、自然の保全に関する仕事をしている。はじめは大学院での研究から始まり、内戦が起こった後は、国際NGO、WCSの一員として。

    アマゾンでもそうであったように、グローバル化の流れは続き、アフリカの奥深いジャングル、サバンナでの生活は今では貨幣が必要不可決になっている。

    すると、生活資金は、身近に存在する貨幣価値のあるものを売る、、、という行為。それが密猟だ。

    日本に出回る印鑑や三味線のバチ。それは同じ象牙の中でも加工、保存に適したハード素材と言われる今後に生息する「マルミミゾウ」の象牙が最適。象牙の流通は国際条約ワシントン条約でも許されてはいないが、抜け道があり今でも、密猟は治らない。

    鯨漁についても苦言を呈している。
    鯨漁は「日本古来からの鯨食という文化」という日本の主張であるが、我々が知らされないところで、日本政府は、アフリカに鯨を解体する大きな設備を高額で建設。アフリカの魚市場という触れ込みらしかったが、実際にはそうではなく、今の現状は、その設備を安定的に動かすためには一般の漁業者にはあまりに高額な金額なので廃墟同然にもなっているところがあるという。

    環境保全、自然の保全と、我々の食文化に関係なければ、声高に叫ぶが、一転鯨のように、象牙のように、自分たちの身近に関係することなら、守れない、守らない。

    また、テレビの在り方も憤慨。民放のテレビ番組の作り方があまりに野生動物をおもちゃのように扱うこと。そして身勝手な番組作りに憤慨して一切協力しないことにしているようだ。

    西原智昭:1989年から25年以上コンゴ共和国、ガボンなどアフリカ中央部熱帯林地域にて、野生生物の研究調査、国立公園管理、熱帯林・生物多様性保全に従事。国際保全NGOのWCSのコンゴ共和国法人アフリカ日本協議会・理事。京都大学理学部人類進化論研究室出身。理学博士。
    現在の最大の関心事は『人類による自然界・野生生物利用と人類の文化遺産の維持とのバランスに向けた方途や、先住民族の今後のあり方への模索』

  • 東京新聞20180217

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著者プロフィール

1989年から30年以上、コンゴ共和国やガボンなどアフリカ中央部熱帯林地域にて、野生生物の研究調査、国立公園管理、熱帯林・生物多様性保全に従事。国際保全NGOであるWCS(Wildlife Conservation Society;ニューヨークに本部があり)の自然環境保全研究員。NPO法人アフリカ日本協議会・理事。京都大学理学部人類進化論研究室出身、人類学専攻、理学博士。現在、星槎大学共生科学部特任教授。
著書に、翻訳『知られざる森のゾウ――コンゴ盆地に棲息するマルミミゾウ(ステファン・ブレイク原著)』(現代図書、2012年)、共著に『アフリカ潜在力 第5巻 自然は誰のものか――住民参加型保全の逆説を乗り超える』(京大出版、2016年)、『「アフリカ」で生きる。――アフリカを選んだ日本人たち』(カナリアコミュニケーションズ、2017年)など。

「2020年 『【増補改訂版】コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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