- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768457344
作品紹介・あらすじ
派遣フリーターとして働きながら目にした21世紀の底辺社会。経済成長によって生じた「歪み」を都市の記憶とともに描く。
感想・レビュー・書評
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社会
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派遣校正職の東京放浪記。同じ派遣仲間との自虐的なやり取り、人を人とも思わぬような正社員の眼差し、その合間にふと現れるエアポケットのような場所と仕事(もしかすると著者の妄想?)…
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2015/12/2
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著者が「知的奴隷労働」と書いておられるが、まさにそんな感じ。知識も教養も経験も豊富な方が、まるで日雇い派遣労働者のように働いておられる。本を何冊も出しておられるような方が・・・とまずびっくりする。
こんな言い方は失礼だが、まるで人間扱いされてないような現場。監視カメラが付けられているというのも嫌な感じだ。人の頭脳をこんなに安く(普通のバイトよりは高給だけれど、決して長期ではないので、仕事が途切れる)買い叩いていいのか。買い叩く方も、確かに出版不況で・・・
軽い文体で書かれているけれど、内容はかなり深刻だ。フリーターだから自由だ、と言っても、事務所からの仕事なので、完全に「自由」なわけもなく・・・
10年前から5年前の話だけれど、プロローグをみると、ちっとも改善されるどころか、異常に思えたことが普通に感じられるようになって、気づかぬうちにますますひどくなっているようで、暗い気持ちになる。 -
「派遣フリーターとして働きながら目にした21世紀の底辺社会。経済成長によって生じた歪みを都市の記憶とともに描く」
歴史、美術、音楽、文学、広く教養がある彼ら校正者。非正規の日雇い校正者である著者らはこんなにも教養があるにもかかわらず、雇い主にアゴで使われ、公園でコンビニ弁当の昼飯を高いと愚痴りつつ貪るようなその日暮らし。監視カメラで働きぶりを監視される、データチェックの機械人間。「成熟した格差社会」。心底から共感する。しかし、我らこそ足裏に大地を実感できる者と自負すべし。都市の匂いを嗅ぎ、鳩や鴉と会話しろ。それだけが残された誇りなのだから。