毛沢東の強国化戦略 1949-1976 (慶応義塾大学東アジア研究所現代中国研究選書)
- 慶應義塾大学出版会 (2021年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766427769
作品紹介・あらすじ
▼なぜ急進的な国家建設を追求したのか?
▼朝鮮戦争、台湾海峡危機、和平演変の脅威、中ソ関係の悪化などの国際情勢の変動が、いかに毛沢東の脅威認識に影響を与え、強国化に向かわせたかを、一次資料から丹念に検証する。政治・外交・軍事・経済にまたがる意欲作。
感想・レビュー・書評
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女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000055822
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東2法経図・6F開架:312.22A/Y24m//K
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毛沢東時代の国家建設は安全保障問題に規定され、著者が「強国化戦略」と呼ぶ国防重視の方針が大半だった、というのが本書の視点だ。直接的な軍事建設のみならず社会主義化を通じた社会動員、重工業推進をも含む。
建国直後の新民主主義は朝鮮戦争により早々に終焉。第一次台湾海峡危機で自国の弱さを認識したことで社会主義化・工業化を加速。1956-57年には国際情勢の緊張緩和とスターリン批判の影響で一定の穏健政策。しかし、平和共存下でもイデオロギー的闘争は続いているとの認識転換により大躍進政策。国際情勢の悪化により、大躍進政策の失敗は明らかだったにも関わらず転換は遅れる。文革の発生から終了までは様々な要因があるためか、安全保障上の課題との直接的な関連は本書からは必ずしも明確ではなかったが、70年代には、米中接近とその限界がそれぞれ、国防工業・重工業重視か農業・軽工業重視かに影響を与えたという。
そして終章で著者は、習近平時代では毛沢東時代の安全保障観の延長線上に戻り、鄧小平以降の様々な制度や政策の巻き戻しが起きていると述べている。