中国料理の世界史:美食のナショナリズムをこえて

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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本棚登録 : 328
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766427646

作品紹介・あらすじ

ラーメン、チャジャン麺、フォー、パッタイ、海南チキンライス、チャプスイ……
まるで、歴史のフードコート!

▼世界に広がり、人々に愛され「国民食」へと変貌をとげた「中国料理」。
国家建設とナショナリズムに注目しながら、アジアからアメリカ、ヨーロッパを縦横無尽に旅して、中国料理と中国系料理の巨大で口福な歴史を味わいなおす。

▼登場する料理の一部
北京ダック、満漢全席、小籠包、フカヒレ煮込み、タピオカミルクティー、左宗棠鶏、牛肉麺、饅頭、パッタイ、フォー、バクテー、広東麺、ニョニャ料理、テンペ、チャプチェ、チャジャン麺、チャンポン、チャプスイ、パンダエクスプレス、卓袱料理、ラーメン、餃子、天津飯、沖縄そば、中華おせち

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】言語は統一できた中国も料理に関しては完全に統制できなかった|NEWSポストセブン
    https://www.news-postseven.com/archives/20211224_1715565.html?DETAIL

    今週の本棚:持田叙子・評 『中国料理の世界史 美食のナショナリズムをこえて』=岩間一弘・著 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20211106/ddm/015/070/011000c

    「中国料理の世界史」書評 愛される国民食 元をたどれば|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14480450?iref=pc_ss_date_article

    【試し読み】『中国料理の世界史』|慶應義塾大学出版会 Keio University Press|note
    https://note.com/keioup/n/n59f7877fcad3

    慶應義塾大学出版会 | 中国料理の世界史 | 岩間一弘
    https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766427646/

  • 回転卓は日本発祥でないという、本書を解説した記事を読んで借りてみた。文献にあたってエビデンスのある情報をもとにした料理本『歴史をつくった洋菓子たち』を読んで面白かったことも理由のひとつ。

    中国料理は中華料理として日本に根付き、ラーメンや焼き餃子など日本料理として昇華した料理も多い。それらが韓国のチャジャン麺やチャプチェ、タイのパッタイ、シンガポールの海南チキンライスなど、世界中で起きていることは興味深かった。

    日本に南京錠など、南京がついたのは明への憧れだったなど、トリビアも多い。また、各国の中国への関わり方や歴史もわかった。華僑の歴史としても読める内容。

    分厚い本なので覚悟は必要なことと、料理のおいしさを解説する本でないことは把握した上で読むことをお勧め。

  • 「町中華」という不思議な言葉(すべての中華は町中華だろ!とか思っていたら、最新号のdancyuの特集が「家中華」であるのを見て、別に「町中華」は変でもないか…思い直し中ですが…)によって、おじさんにとっては心のふるさと、若い世代にとっては、愛おしい存在、として盛り上がっている中華料理、もはやゴハン味噌汁おかず、という定食ものより、ラーメン餃子チャーハンの方が日本人の生活に密着しているかも…。一方で、80年代のインスタントラーメンのコピーの「中国四千年の味。中華三昧」(うる覚え)的に世界三大料理としての中国料理という存在のそびえ立つ感じ…。この日本にいても感じられる中国料理の二つの側面を、徹底的に中国本土、台湾、東アジア、インド、オーストラリア、ヨーロッパ…とにかく世界中の中国料理を徹底的に拾いまくって、考えるスゴイ本です。(むかし、CFプロダクションの人が、世界どこに行っても中華はあるのでロケ最終日は、ザーサイと白飯でウーロン茶漬けを食べる、といっていたことを思い出しました。)ロシアやペルーまで入っています。中国料理のローカル性とグローバル性がお互いに影響し合い、どのように変わっていくのか?「中国料理の世界史」は「中国料理の進化」の歴史でもあります。でも、やっぱりこの本から見えてくるのは、やっぱり料理だけではない「世界史」なのです。それも「近現代史」。世界と世界が触れ合って、人が動き、経済が動き、その動きの接点での「中国料理」の変化の仕方。あるいは変化のさせ方。グローバル時代にそれぞれのアジアの国々は国語をナショナリズムの道具として用いたことは知っていましたが国民食も、その役割を担っていたことがわかりました。また、黄禍論まで遡るアジアとヨーロッパの緊張と好奇心も「中国料理」という窓から見えるのでありました。アメリカ料理として銀座アスターのチャップスイ食べなくちゃ!と検索したら、今はもうないようで残念。でも料理と世界史とナショナリズムとグローバリズムでステアしたこの一品におなかいっぱいです。

  • 華人が世界中にネットワークを築けた要因には、彼らに付随した中華料理の美味しさと、現地食材を活用できる調理法の汎用性があったように思えた。グローバルに根を張ってきたこそ、本書の如く彼らの料理を通じて世界史を語る試みも可能になる。また一口に中国料理といっても、各地方によって特色が異なり、例えばタイ料理に影響を及ぼしたのは主に潮州系で、北京ダックなどは普通見かけないといった話は成程だった。昨今は特定メニューがその国のアイコンとなり、それを供する又は食する事が、ひとつの目的達成になる”あり方”も見られる。世界がフラット化され、各種料理の比較や試食が容易になり、それゆえ主張の意義が高まってきた事が、ナショナリズムを促している。普段の食事の楽しみから離れた、食事の存在価値について考えさせられた一冊だった。

  •  近現代の中華圏、アジア諸国、欧米、日本それぞれでの中国料理の発展や普及、派生を描く。「一般啓蒙書と学術書の中間・両立」とするだけあり読みやすいが、情報量は多く目が回る。また、紹介される多くの料理は魅力的で食べたくなる。
     中国の近代都市文化の中で各地の中国料理が目まぐるしく盛衰。人民共和国では美食外交として国宴で使われる。一方の台湾では、脱植民地化と本土化の中で「台湾料理」の意味するところが変わっていく。
     中国外での中国料理普及や社会での位置づけは、基本的には移民など個別の人的移動に伴うもので、中国との地理的・文化的距離や移民のしやすさ、また受け入れ国側での中国・中国人の位置づけなどにより当然異なるのが分かる。
     アジア諸国では、日本のラーメンと餃子をはじめフォー、海南鶏飯、パッタイ、チャジャンミョンなど、中国を起源としつつもその国の国民食と化したものが多い。この文脈で、ナショナリズムとは一体何なんだろうとも思う。チャプスイが米国内でそれだけの地位を得たかは微妙だが。

  • 383.82/イ

  • <閲覧スタッフより>
    中国料理は今や世界各国の国民食となりました。では、いったいどのように広まったのでしょうか。その経緯や背景が詰まった歴史本です。アメリカ式の中国料理チャプスイが日本に伝わったのは1920年代。こんなところにもルーツがあったのです。その他、回転テーブルにまつわる話は興味深く、実は「衛生食卓」だった?!
    へぇ~と頷けることがいっぱいです。
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    所在記号:383.822||イワ
    資料番号:10262527
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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/788469

  • 2022 テーマ展示「旅」展示図書
    京都外大図書館所蔵情報
    資料ID:650067、請求記号:383.822||Iwa

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001200548

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著者プロフィール

1972年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専門は東アジア近現代史、食の文化交流史、中国都市史。
2003年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。千葉商科大学教授などを経て2015年より現職。
おもな著書に、『中国料理と近現代日本――食と嗜好の文化交流史』(編著書、慶應義塾大学出版会、2019年)、『上海大衆の誕生と変貌――近代新中間層の消費・動員・イベント』(東京大学出版会、2012年)などがある。

「2021年 『中国料理の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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