僕の大統領は黒人だった 上 :バラク・オバマとアメリカの8年

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766427059

作品紹介・あらすじ

▼アメリカ初の黒人大統領 バラク・オバマの軌跡

アフリカ系アメリカ人が辿った過酷な歴史を踏まえながら、
アメリカ初の黒人大統領バラク・オバマと黒人社会が歩んだ8年の軌跡を丁寧に辿り、
圧倒的な賛辞を集めた全米ベストセラー。

奴隷制への賠償を求め、アメリカを震撼させた「賠償請求訴訟」を収録。


本書の原題We Were Eight Years in Power(「われわれは8年間政権の座にあった」)とは、
南北戦争後の再建期にサウスカロライナ州でアフリカ系アメリカ人による統治が成果を挙げたことを指して、
著名な黒人政治家トマス・ミラーが後の1895年に述べた言葉である。
再建期が終わる1877年以降、南部では相次いで有色人種に対する分離政策(ジム・クロウ法)が立法化され、
奴隷制度の復活こそなかったものの、黒人への人種差別はふたたび強化される。
この差別状況は1964年の公民権法成立以降もなお続いていく。
タナハシ・コーツは、そうして現代まで続くアメリカの悪夢を振り払う方法を模索する。

アフリカ系アメリカ人が辿った過酷な歴史を踏まえながら、
アメリカ初の黒人大統領バラク・オバマと黒人社会が歩んだ8年の軌跡を丁寧に辿り、
圧倒的な賛辞を集めた全米ベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 人種問題というものは、かくも根深い。オバマ大統領の誕生を黒人が諸手を挙げて歓迎したわけではなかったいう指摘。オバマ大統領が2期継続できたのは、人種問題に積極的に関与しなかったからという指摘。黒人である著者の冷静すぎる筆致が、逆に怒りや絶望の強さを表しているようで、戦慄すら覚える。
    ワタシも米国には長く住んだけれど、所詮日系企業の駐在員が住むようなところでは、白人と黒人の人種問題を体感できることはほとんどないと言っていい。(アジア人差別を体感することはあるけれど) ましてや、米国というと決まってマンハッタンの雑踏を映すテレビニュースを見ている限り、人種問題など永遠に理解できない。

  • オバマ元大統領が、大統領就任時に心の支えとなった曲のプレイリストを発表。エミネムからボブ・ディランまで音楽を語り尽くす (2020/12/30) 中村明美の「ニューヨーク通信」 |音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)
    https://rockinon.com/blog/nakamura/197156

    慶應義塾大学出版会 | 僕の大統領は黒人だった 上 | タナハシ・コーツ 池田年穂 長岡真吾 矢倉喬士
    https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766427059/

  • ビル・コスビーのスピーチを取り上げた最初の記事で、そもそもビル・コスビーが誰かわからなくて読むのをやめてしまった。
    調べてみると、人気の裏で大勢の女性に性的暴行を行ったコメディアンらしい。
    https://www.bbc.com/japanese/61890589

    ハーレムに有色人種が書いた本を集めた本屋を開いたルイス・ミショーやボールドウィンがFBIの調査の対象だった理由が、「黒人が読み書きをするのは反逆の兆候だとされた時代にまでさかのぼる伝統」のためということが、この本を読んで遅ればせながら気づいた。

  • ふむ

  • 2008年の一人のアフリカ系アメリカ人の勝利は、極東にいる我々からは新しい時代の始まりを予感させたが、著者らの黒人コミュニティでは、一つの歴史が終わる瞬間として受け止められていた。
    結局は誤りだったことが今では明らかなのだが、8年間の「黒人による良き統治」は、白人に究極的な恐怖を与え、白人至上を増長させ、レイシズムの象徴であるトランプに力を与えたのだった。
    一人の男の成功は、レイシズムというこの国の腫瘍を取り除き、差別の歴史を終わらせると思われたが、その実この腫瘍は切り離し不可能で制度と不可分なものだった。

    オバマの在任中、黒人の有権者が口にする不満を目にして不思議に思えたが、この本を読むとその理由がよくわかる。
    オパマは他のどの民主党大統領よりも人種についての発言が少なく、デリケートで騒動に発展しやすい問題をひたすら避け、クリーンなイメージを保った。
    黒人が受け入れてもらうためには、二倍良い子でいるだけでは十分でなく、黒さが二分の一に薄められている必要があるからだ。
    差別と戦うコミュニティからは、黒人性を発露し声を上げるべき時に、権力を行使する側にいるリーダーの偽りの平等を目にして静かな怒りを沸き立てていたのだ。

  • 東2法経図・6F開架:312.53A/C81b/1/K

  • オバマ大統領についての書と言うよりも、米国の白人至上主義についての、オバマ大統領の誕生、トランプ政権誕生も含めたいろいろな角度からの論評集。とは言え、内容的には良くまとまっており、筆者の憤り、絶望、希望がひしひしと伝わってくる内容である。

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著者プロフィール

1975年にメリーランド州ボルチモアで生まれる。1993年ハワード大学入学(中退)。これまで3冊のノンフィクションと1冊の小説(The Water Dancer, 2019)を発表しているが、本書を含めて3冊のノンフィクションはすべて翻訳されている。大ベストセラーとなった『世界と僕のあいだに』(原著2015年)で全米図書賞とカーカス賞を受賞し、コーツ自身もマッカーサー基金の天才奨学金を受ける。自伝的な作品に『美しき闘争』(原著2005年)がある。ほぼ10年間定期寄稿者だった『アトランティック』誌を中心に、活発な執筆活動を続けている。本書第6章の「賠償請求訴訟」(2014年、同誌に発表)で、ジョージ・ポーク賞、ストウ賞などを受賞し、アメリカを代表するジャーナリストと目されるようになる。また、マーベル・コミックスの脚本も手がけている。その発言が常に注目を集める有力なオピニオンリーダーである。

「2020年 『僕の大統領は黒人だった 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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