大日本帝国のクレオール

  • 慶應義塾大学出版会株式会社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766414400

作品紹介・あらすじ

大日本帝国の統治下にあった台湾・南方における、クレオール文学論。「内地」の作家、台湾育ちの「外地」の作家、日本語で教育された台湾人作家。この3つの視点を併せることで、清朝、日本、国民党と統治者が入れ替わった台湾を主な舞台にした多種多様な「日本語」テクストの精読から、間文化の複合、言語接触(クレオール化)の中、「ハイパーコロニアル」というべき空間となった植民地体験の実相を浮上させる渾身の力作。

感想・レビュー・書評

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  • 1.フェイ・阮・クリーマン『大日本帝国のクレオール-植民地期台湾の日本語文学』慶應義塾大学出版会、読了。台湾の言語状況は単純ではない。標準中国語や日本語など複数の言語が混在し、文化的・言語的クレオール化が進んだ大日本帝国統治下の台湾・南方における日本語文学を検証する一冊。

    2.フェイ『大日本帝国のクレオール』。本書は、日本の植民地期台湾の日本語で書かれた文学を素材に、日本の文化的支配の内実を問うもの。表面的には国策協力を装いつつも、簡単には同化に収斂されない文化的な根っこを著者はあぶり出す。通り一遍の「抵抗」「協力」を越えた探究に驚く。

    3.フェイ『大日本帝国のクレオール』。日本の同化政策は独善的なものであることは言うまでもない。しかし、帝国支配下における多言語の状況は、同化政策への対応のなかで、ある種の主体性を育んできたことも事実である。多層的な視点に驚くと同時に苦渋を読み解く著者の手腕に感心してしまう。

    4.フェイ『大日本帝国のクレオール』。私見ながら、よくもわるくも、大日本帝国「支配下」の問題は、朝鮮半島・満州・中国大陸、南洋諸島の言語文化の研究は多産であると思う。その影に見落とされがちな、台湾に注目すること必要だろう。日本語の上手い人が多いから「親日」という幻想を越えて。了

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