未来のアラブ人2:中東の子ども時代(1984―1985)

  • 花伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763409218

作品紹介・あらすじ

第23回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞作、待望の第2巻!

シリアの小学校に入学した金髪の6歳を待ち受けるものは……
アラブ世界の現実を描くフランスの大ベストセラー

シリア人とフランス人の両親のもとで育ったリアド6歳。父の故郷、シリアの小学校に入学し、アラビア語とコーランを学び、体罰とイジメに耐え、貧富の差を知り、イスラム世界の厳しさに気づいていく。
ハーフィズ・アル=アサド独裁下のシリアで生きる小学1年生の記録

推薦:ヤマザキマリさん
「この巻を読んだ後であれば、どんな星の宇宙人と遭遇しても私は決して驚かない。そう感じるほど衝撃的だった。
笑いや驚きだけでは乗り越えられない異文化の壁もあるということを、深く痛感した。シリアに暮らしていたころの私は、この中に描かれているような側面にわざと意識を向けないようにしていただけなのだ。同じ地球上の同じ種族なのだから、きっとどこかに共有できるものがあるんじゃないかと、切実に願いながらページを捲った巻だった。」

「THE BEST MANGA 2020」6位(雑誌『フリースタイル』)
ガーディアン紙今年の1冊、
ニューヨークタイムズ紙書評家が選ぶベスト本(2016年)

「一気に読んだ。こんなに読むのが楽しい本は、久しぶり!」
ゼイディー・スミス(作家)

感想・レビュー・書評

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  • ★変わったこと変わらないこと★2022年からの再読。3か国を渡り歩いた1巻から変わり、基本的にはシリアで小学校に入った1~2年を振り返る。

    1985年といえば日本では日航機が墜落し阪神が日本一、日経平均株価は1万3000円ほどで4年後に4万円に迫るのは想像もつかないころ。ウチにビデオはあっただろうか。シリアの小学校は週3日を午前と午後に分ける授業で、政権を取って15年近くなった父アサド大統領が満票で再選されるよう促し、ソ連の偉大さと近しさを伝えていたという。

    田舎の生活の貧しさ、名誉殺人は法律では認めないが村では尊敬されるねじれ、一方で将軍ら金を持つ人は確かにいるひずみ。そして今も変わらないのはイスラエルへの憎しみ。シリアとフランスの両親を持つ子供の視点から当時のシリアを自伝的に示すのに、マンガというメディアを生かしたことが本当に素晴らしい。それにしてもよく細部を覚えている。

    さらに翻訳表現がすばらしい。つたない英語やアラビア語もうまくカタカナで表現している。直前に読んだコミックジャーナリズム「パレスチナ」と比べても読みやすいのは、翻訳とレイアウトのためもあるだろう。

  • 未来のアラブ人シリーズの続き
    今回は学校行き始めるところから始まる。
    内容は結構すごかった…
    女性蔑視、学校の体罰、名誉殺人など
    今じゃ考えられないほど、文化の違いを感じました。
    よくフランス人のお母さんは耐えられたな…
    今の日本人なら絶対耐えられないと思います。
    中東の文化、生活、慣習を知るには本当にいい本だと感じます。

  • 現在の作者はもちろんフランスを軸足に置いているんだろうけど、シリア時代を淡々と「かくあった」と描いているところがいい。

  • 価値観が異なる人との相互理解は、困難を極めると痛感。島国で異文化と接し難いこの国に居ると、異なるものに接する事がどういう意味か知らずにいるのかも。

  • アラブ人の父、フランス人の母をもつ著者の6、7歳時、主にシリアでの生活が描かれる。小さいながらに、学校生活への不安と理不尽さが描かれ。父にお願いしても買ってくれない規定のものを、父が言ったとおりに先生に言い訳したら、棒でぶん殴られる理不尽さ。授業内容も旗から見るとめちゃくちゃというか…ずっと国歌歌って終わり、とか、雨を受ける手の型をして終わりとか。かと思えば、休み明けに何の説明もなくいきなり担任が変わってたり、連絡つかなくなった級友がいたり。有力者に取り入ろうとする父、ガスオーブンやビデオデッキなどの大型家電を買い出しに行った際の描写、何かにつけ母に「フランス人め」と悪態をつくところ、土地を買ったまではいいが、豪邸を立てる立てるといいつつなかなか着手できなかったり。親戚の子どもや近所の子どもから理不尽な悪意をあびせかけられたり。衝撃的なのは巻末近くの「名誉殺人」の成行きだろうか。

  • 1巻に引き続き読了。
    シリアの生活が中心であるが、終盤の従妹に関する部分が衝撃的。
    こんな世界があるとは。
    海外駐在もし、それなりの経験をしたつもりでいたが、
    世の中、まだまだ凄い世界があることを改めて痛感。

  • 生まれる場所、生きる場所によって全く違う世界になることがわかる本。当たり前だと思っている日常も、場所によって簡単に異常になる。

  • 影響を受けた日本の漫画家が、水木しげるや吾妻ひでおと聞いて、作品のタッチが似ていると思った。
    「僕が好きなのは、実際に起こった出来事をそのまま描いて、感じ方を読者に委ねるような作品です」と語るとおり、いま現在の大人の視線からではなく、その当時の子供の目線に立って、ありのままをどこかユーモアを交えながら過去を追想している。
    確かにシリアの生活はフランスでのそれに比べれば悲惨だし、文化的に残酷な一面もあるが、その評価はせず、ただ淡々と進む。
    先入観にとらわれず、ひたすら五感を研ぎ澄ませているので、音や匂いに敏感だ。

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