トロント最高の医師が教える世界最有効の糖尿病対策

  • サンマーク出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763137760

作品紹介・あらすじ

細胞から糖を出す方法、完全邦訳!
糖尿病は不治の病ではなかった

★糖尿病の原因を突き止めた北米ベストセラー健康書! 17か国で出版決定!
 「世界を変えるかもしれない」と評された歴史的1冊
★「インスリンを打つほど短命になる」「血糖値ではわからない」「標準BMIでもリスクあり」
 従来の常識は完全に間違っていた
★効果続々! 「2週間で糖尿病薬を手放せた」「1年後、ヘモグロビンA1Cは5・2%に」
 「4週間でインスリン投与が不要に」
★日本語版限定・序文掲載!
 「日本の患者は1000万人とも。それを治す方法に、民族の違いはない」

2型糖尿病は不治の病ではない――。
薬も、手術も不要。世界中の膨大なエビデンスを精査して導き出した
自力で細胞から糖を出す方法!
・「カロリー信仰」をやめる、「血糖値」で判断しない、「BMI」で一喜一憂しない
・最大の元凶「フルクトース」を避ける
・「胃に食べ物が入らない時間」を作る
これで、糖が溜まらない体になる!

感想・レビュー・書評

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  • 健康を考える本です。自身の糖尿病対策の本として読むだけでも、科学的根拠に基づく知識を与えてくれる1冊だと思います。もう1つ注目したいのは、世界での糖尿病の治療とそれに伴う合併症の治療費が膨大なものとなっているという点です。日本をはじめ、世界的に医療費の削減は大きな社会的課題となっています。ビジネスの基本は問題発見とその解決です。新たなビジネスチャンスのきっかけを得られる1冊になる方もおられると思われます。

    【特に覚えておきたいフレーズ】

    糖尿病対策が、世界的な医療費削減につながる可能性があります。
    「世界での糖尿病の治療とそれにともなう合併症の医療費は、糖尿病以外の医療費の2倍から5倍に相当する。全世界の年間の医療費予算の15%が糖尿病関連の治療に費やされているとの試算もある。」
    私たちの中で、誤解が多いと思われることを教えてくれます。正しい治療法、予防法を広めることで、多くの人を救うことができれば、それが新たなビジネスとして成り立つ可能性があります。
    「1型糖尿病の根本的な原因は、体で自然に作りだされるインスリンの不足なので、インスリン治療は役立つ。2型糖尿病の根本原因はインスリン抵抗性(インスリンは出ているのに血糖値を下げることができない状態)であるが、このことについて明確なコンセンサスがないため、実質的に治療が施されないままになっている。」

    【もう少し詳しい内容の抽出】

    〇糖尿病患者の急増
    ・世界での糖尿病の治療とそれにともなう合併症の医療費は、糖尿病以外の医療費の2倍から5倍に相当する。全世界の年間の医療費予算の15%が糖尿病関連の治療に費やされているとの試算もある。
    ・1型糖尿病の根本的な原因は、体で自然に作りだされるインスリンの不足なので、インスリン治療は役立つ。2型糖尿病の根本原因はインスリン抵抗性(インスリンは出ているのに血糖値を下げることができない状態)であるが、このことについて明確なコンセンサスがないため、実質的に治療が施されないままになっている。
    ・高血糖はあくまで症状であり、糖尿病の原因ではない。

    〇「インスリン」は敵か味方か
    ・体脂肪の蓄積は「エネルギー配分」の問題であり、エネルギーが過剰であるから起こる問題ではない。何にエネルギーを使うかはホルモンによってコントロールされる。最も重要なのはカロリー数ではなく、何を食べるかによって変わるホルモン信号をコントロールすること。
    ・インスリンの量が増えると、糖が肝臓に蓄積され、肝臓で脂肪が合成されるため、体重が増える。インスリンの量が減ると、体重も減る。
    ・取り込んだ栄養素をまず初めに代謝するのが肝臓なので、糖を摂りすぎることで起こる健康上の問題が真っ先に現れるのは肝臓。インスリン抵抗性は、糖を摂りすぎて脂肪肝になることで引き起こされる。

    〇「糖の摂りすぎ」が問題
    ・糖の摂りすぎが、2型糖尿病を招く。
    ・肝臓は果糖を際限なく代謝する。インスリン値は上がらないが、果糖を食べれば食べるだけ肝臓脂肪が増え、脂肪肝がひどくなる。果糖は満腹感を与えることがないので食べる量を制限できず、新しい脂肪を過剰に作りだす動きに歯止めをかけるものがない。
    ・私たちが問題だと考えている肥満、インスリン抵抗性、すい臓のβ細胞の機能不全は、すべて「過剰な糖」に対して体が行っている対処法である。問題の解決法は、「糖の摂取を避け、インスリン値を下げること」。

    〇現代の治療法の問題点
    ・インスリンはグルコースを体外に排出するわけではなく、血液内の余分なグルコースを体のあちことの細胞に無理やり詰め込むだけ。そのうち、体のあちこちの器官が、余分なグルコースが原因で腐り始める。
    ・従来の治療薬は、根本原因である高インスリン血症をよくするものだはなく、かえって悪化させる。
    ・運動は効果があるが、現実には様々な問題が起きて、運動しようとするのを阻む。さらに最も大きな問題は、目に見えて効果があるわけではないこと。「食生活」の改善が必要。
    ・適量のたんぱく質は健康には欠かせないが、過剰なアミノ酸は体内に蓄積できないので、肝臓がそれを糖に変える。高度に加工されてたんぱく質の濃度が高くなったプロテイン製品は避ける。

    〇2型糖尿病にならない体
    ・2型糖尿病の予防と治療には脂質が有効。3大栄養素の中で、最もインスリンの分泌を促さない。アボカド、ナッツ類、オリーブオイル、卵、バターなどに含まれる天然油脂は、血糖値もインスリン値もほとんど上げないし、心臓病にも糖尿病にも効果があると言われる。コレステロールが含まれているが、体に悪い影響はない。精製された炭水化物を脂質に置き換えれば、自然とインスリンの分泌は減る。
    ・食物に元来含まれている食物繊維、脂質、たんぱく質を取り除くと「自然界には存在しない濃縮された炭水化物」ができ、それをさらに挽いて小麦粉などの細かな粒子にすると、消化のスピードが上がり、血糖値スパイクが起こる。たんぱく質、食物繊維、脂質などによる満腹効果が薄れるので、食べすぎになりやすい。
    ・ファスティングが効果的なのは、サバイバルのメカニズムが働き、体脂肪をエネルギーとして使うことで基礎代謝量を高いまま維持できるから。つねに何かを食べていては起こりえないホルモンの変化をもたらす。「間欠的」にファスティングを行うと、その効果が高まる。
    ・自分に合ったファスティングのやり方を選ぶ。いくつかの型を試してみてもよい。スープでもよいので、水分は必ず摂る。難しそうなら、「炭水化物」を減らすことから始める。長めのファスティングを3カ月から6カ月ごとにかけて定期的に行うと、効果が出ることが多い。

  • 要するに、低炭水化物食と、一日おきの間欠的ファスティングが最強。リバウンドがない。

    体についた脂肪が悪、すい臓、肝臓についた脂肪がインスリン抵抗性になる
    砂糖が良くないが、果糖が実は一番よくない、肝臓でしか代謝できないから、リスクは34倍、よって果糖ブドウ糖液糖は危険
    メトホルミンは長い目で見て効く、αグルコシダーゼ阻害薬はロカボ効果あり、しかし良くはない
    SGLT2阻害薬は良い、GLP-1はインスリンも減らすので痩せる、これらは良い
    減量手術で糖尿病治る、つまり結局食べ過ぎないが大正義

  • ファスティング(断食)の事が学べました。

    病気の仕組みや薬の事も学べ、自身の中に自然と落とし込む(納得)事が出来ました。

    ファスティングを実践してみたいと思います。

  • オレは糖尿病ではないし
    これからも
    糖尿病には絶対にならない

    19
    2型糖尿病は、良くすることも、予防も可能

    206
    果物の甘味にも、注意が必要

    230
    コレステロールは、悪玉より善玉に注意

    LDL値は、メタボリックシンドロームの基準のひとつにはなっていない。

    327
    内臓脂肪が優先的に燃やされる

    338
    体に良い資質は摂るべき

    ★★★★★
    毎日、ナッツ類を食べることで
    心臓発作のリスクが35%減少する

    408
    ファスティングは、最もシンプルな解決法

  • 【感想】
    私は糖尿病予備軍なので、どうすれば糖尿病を治せるのか探した結果、この本が参考になった。

    エビデンスも豊富なので、ある程度信用できそうだと思う。

    【要約】

    事実①「2型糖尿病はよくすることも、予防することも可能である」
    事実②「2型糖尿病は糖の摂りすぎで起こる」

    事実③「2型糖尿病は全身の臓器に影響を与える」

    事実④「薬を飲まなくても2型糖尿病はよくなるし、予防もできる」


    ・カロリー制限は意味ない
    ・糖質が糖尿病や肥満に原因
    ・地中海式の食事がおすすめ
    ・糖を取らないようにする
    ・間欠的ファスティングの実践
    ・「たまにがっつり抜く」ほうが効果的(毎日300cal減少より週一回2100cal減の方が効果が高い)

    ①糖を摂らない(低炭水化物ダイエットと間欠的ファスティング)

    ②余った糖を燃やす(間欠的ファスティング)



    【刺さった一文】

    ・低脂質の食事は心疾患、脳卒中、がんに対する予防効果がないことが、はっきりと証明された。さらに、カロリー制限をしても、体重が減ることも2型糖尿病が減ることもないと分かった

    ・ファスティングは最も古くからある、最もシンプルな解決策

    ・研究によって、オリーブ油を使った、低炭水化物・高脂質の地中海食ダイエットをすることで、治療薬を飲まなくてはならない人が59%減少することがわかっている。


    ・具体的には4つの食事療法が有効であるという。「低炭水化物ダイエット」「低グリセミック指数ダイエット」「地中海食ダイエット」「高脂質ダイエット」の4つだ。

    ・炭水化物のかわりに「緑黄色野菜」や「豆類」を食べること ・オリーブ油、ナッツ類、そのほか健康によい「飽和脂肪酸」を食べること ・「砂糖が添加されているもの」は避けること

    ・肉などの食事に含まれるたんぱく質は、消化されるとアミノ酸に分解される。適量のたんぱく質は健康には欠かせないが、過剰なアミノ酸は体内に蓄積できないので、肝臓がそれをグルコースに変えてしまう。  つまり、たんぱく質を摂りすぎると体に糖が増えることになる。だから、プロテイン飲料、プロテイン・バー、プロテイン・パウダーなど、高度に加工されて濃度が高くなったものは避けたほうがいい


    【自分のアクション】
    現在ファスティングと低炭水化物の食事をしているが、さらにブラッシュアップするために地中海式の食事を調べて取り入れてみる

  •  神本。ただのHow to本ではありません。糖尿病の原理原則を理解し、じゃあ〜したら良いよね。ってことが示されています。

     糖尿病は私の祖父も罹っているのですが、本当に酷な病です。そして、世界的にも蔓延している病でもあります。そんな糖尿病は、ノーリスクで治すことができるのです。また、皮肉なことに今までの治療法は大半が誤っていたのです。

     この本は、肥満のメカニズムに関しても深く記されているので、糖尿病に関わっていない人にもオススメできます!

     是非、世界最新の太らないカラダと共に手に取って欲しいです。ジェイソンファンさんの本は素晴らしいですよ。

  • 糖尿病の仕組みを理論的に解説されている本で面白かった。
    興味を持ったのは、フルーツに含まれる果糖も量次第では”悪“であると言うもので、”フルーツ=健康“と決めつけるのは安易と思った。
    また私も行っている「ファスティング」を本書で推奨していたが、もっと詳しく理論を書いて欲しかった。

    〜マイナス〜
    ・低炭水化物ダイエットも推奨していたが、食物繊維も炭水化物なのでイマイチ。軽く触れられていたが書き方的に誤認する人が多そう。

    ・従来の常識に論文を引用しながら仮説を立てて反論していたが、引用論文がランダム化比較試験でなかった。

  •  肥満と2型糖尿病の二つの疾患は同じ一つの原因による疾患である.この本は肥満と2型糖尿病についての誤解を解き,正しい治療法の基礎を説く一冊である.
     前著のThe Obesity Codeは肥満に特化して書かれた前編,本書The Diabetes codeは2型糖尿病について書かれた後編といえる内容になっている.本書は400ページを超える内容であるが,2型糖尿病の治療法と予防法を即座に実践するための情報を17ページでまとめ,冒頭にクイックスタートガイドとして紹介している.この章を読むだけでも2型糖尿病の治療・予防する方法を理解することができるだろう.
     従来の2型糖尿病の治療方法はどれも2型糖尿病を悪化させるのに等しい治療法であった.この古い誤った2型糖尿病治療のパラダイムを脱却するために,後書きで述べられているように,先入観を捨て去り,得られている事実に基づいて,真摯に考え直し,この本で述べられている2型糖尿病を改善させる新しい治療パラダイムを受け入れるべきであろう.
     まず本書冒頭のガイドに記述されている「2型糖尿病の事実」を押さえておくと良い.2型糖尿病は「よくすることも,予防することも可能」「糖の摂りすぎで起こる」「全身の臓器に影響を与える」「薬を飲まなくてもはよくなるし,予防もできる」.2型糖尿病は「体内に過剰な糖がある」ことで発生する疾患であり解決方法としては「体内から糖を取り除け」ば良い.つまり「糖の摂取を控える(低炭水化物-ヘルシー脂質食と間欠的ファスティング)」「余った糖を燃焼させる(間欠的ファスティング)」.以上である.

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    以下は備忘録を兼ねたサマリ
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     肥満ー2型糖尿病(糖肥満)にいたる主たる原因はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の過剰摂取である.特に肝臓に集中的に負荷をかけるフルクトースがよろしくない.この二つの単純糖の供給元は,グルコースとフルクトースそのものである「砂糖」や「果糖ブドウ糖糖液」,グルコースの吸収量・吸収効率が高い「精製された炭水化物」の食べ過ぎが挙げられる.砂糖や果糖ブドウ糖糖液はあまりにも便利なため「加糖飲料水」「だし・ソース類」「加工食品」など多岐にわたる.店頭に売られている商品の食品成分表示を見てみると良い.「砂糖」や「果糖ブドウ糖糖液」と書かれていないものを見つける方が難しいだろう.なお「異性化糖掖」と書かれているものはグルコースの一部をフルクトースに変換したもので果糖ブドウ糖糖液と同種である.
     グルコースとフルクトースを過剰に摂取した時の体内の反応は次の通りである.多量のグルコースの摂取は血糖を上昇させ,その対応反応としてインスリンの量を増やし細胞内に糖を溜め込む.糖の貯蓄が一杯になると通常のインスリン濃度では血糖を細胞内に詰め込むことができなくなる(インスリン抵抗性の発現).フルクトースは肝臓で主に代謝されると考えられている(注記:小腸が代謝に関与している可能性の報告あり. C Jang et al., The Cell metabolism, 2018).フルクトースの過剰摂取は肝細胞の代謝オーバーフローから脂肪肝を招きインスリン抵抗性を発現させる.細胞にインスリン抵抗性が発現すると血中の糖を無理やり押し込めようとしてインスリンの分泌量が増える.これらはフィードバックし,インスリンの値が常に高くなる「高インスリン血症」に陥り,体内の過剰な糖は脂肪細胞(皮下脂肪)や異所性脂肪(脂肪細胞外への脂肪貯蔵,例えば肝臓・膵臓・骨格筋など,ようするにフォアグラや霜降り肉の状態)として溜め込まれる.皮膚の下に溜め込まれた脂肪は体重を増やし美容を損ね,臓器に取り込まれた異所性脂肪は代謝に影響を及ぼす.特に膵臓に異所性脂肪がつき「脂肪膵」となった時,「高インスリン血症」による毒性への防御反応として膵臓は「インスリンの産生を止める」.体内のどこにも貯蔵することができなくなった糖は血中に漂うことになり,「2型糖尿病」と診断される.
     2型糖尿病に至ると細胞単位で全身の組織が傷つく.詳細な損傷の仕組みは未解明であるが,大小の血管の損傷は血流を阻害し,血液が担っている役割(酸素・栄養・排出物の運搬,白血球らによる免疫作用など)が果たせなくなる.その影響は全身の機能を蝕んでいく.脳・神経系・各種臓器・眼球・筋繊維・循環器・生殖器・免疫機能・代謝機能・外傷治癒機能とその影響はあまりにも多い.
     従来型の治療は高血糖の悪影響(糖毒性)を減らすために「血糖値を下げる」ことのみに注力してきた.その方法はインスリンを「追加で投与」「効果を高める」「分泌時間を延ばす」ことで「細胞内に血糖を押し込める」方法が長らく行われてきた.これはインスリンの追加による高インスリン血症の毒性を悪化させるだけであった.最近になりようやくインスリンを増やすのでなく「糖自体を体外へ排出」「炭水化物の吸収を弱める」ことで血糖とインスリン値の両方を下げるアプローチが取られつつある.しかし,過剰な糖の供給源であり2型糖尿病の根本である「私たちの食生活」を元に戻すものではない.
     食生活にまつわる「誤った常識」は多い.その最たるものは「カロリー神話」である.「脂肪や体重の増加は摂取カロリーと消費カロリーのバランスで決まる」というものだ.しかしこれは誤りである.基礎代謝は「40%」も上下することが可能である.摂取カロリーを減らしても,体は消費カロリーの消耗を抑える「飢餓状態」に移行し,体重は減らない.厄介なのは一旦「飢餓状態」に移行すると食事量を元に戻しても「移行前の代謝状態に戻りづらいと」いうことだ.カロリー減をスローガンにいくら頑張っても体重計の目盛りはさほども動かず,しびれを切らして再び食べる量を増やした時,あなたの体は確実に太るだろう.代謝の落ちた体では以前と同じ糖の活用が出来ないのだから.
     「脂質」について.「体に良い脂質」については適度に取るべき.魚,牛乳,バター,オリーブ油,ナッツ類など,天然油脂やオメガ3やオメガ9と呼ばれるものが推奨されている.一方,多くの植物油(キャノーラ油など)に含まれるオメガ6の過剰な摂取は炎症性細胞の遊走を促進し,炎症反応を引き起こす可能性があるので摂取は控えめにするべきとしている.揚げ油など高温で使用した油はアルデヒド,液体の植物油に水素添加した硬化油(マーガリンやショートニングなど)はトランス脂肪酸を含むため取るべきではない.
     著者が勧める食事は「低炭水化物ヘルシー脂肪食」である.これは以下の3つの原則からなる.「フルクトースを取らない」「精製された炭水化物を減らし天然油脂を摂取する」「リアルフードを食べる」である.これは現代食における過剰な糖の摂取を控えるため設計された原則といえる.
     そして,3つの原則に加えて最も重要な4つ目の原則が「間欠的ファスティング」である.ファスティングとは断食のことであり,意図的に胃の中を空にする時間を設けることで体内のホルモンバランスを変化させ,「体の中の糖を燃やす」.ファスティングが開始された時から,体に溜め込まれたグルコースやグルコーゲンがまず使用されていく.貯蔵されたグルコースの量が減少すると,脳など生命維持に必要不可欠なグルコースを保持するため,脂肪の分解で必要なエネルギーをまかない始める.異所性脂肪がまず消費され「各臓器が痩せる」.肝臓やすい臓から異所性脂肪が吐き出されることでホルモン分泌などの代謝機能の正常化やインスリン抵抗性が改善する.
     注意するべき点として「間欠的ファスティング」とカロリー神話による「カロリー制限」は全くの別物ということである.間欠的ファスティングは食事の期間を意図的に空けることでホルモンバランスを変化させることが主目的である.一方,カロリー神話に基づき総摂取カロリーを減らした食事を朝・昼・晩と規則正しく食べたとしても基礎代謝が変動するだけで溜め込まれた体内の過剰な糖は消費されず,当然ながら異所性脂肪の消費まで届かない.数ヶ月後には基礎代謝ががっつり落ちたリバウンドしやすい体を手にしているだろう.

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    補足事項
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    フルクトースの代謝経路について(C Jang et al., Cell metabolism, 2018)
     天然の果物などで摂取する通常量のフルクトースは小腸でグルコースなどに分解され吸収される.しかし,フルクトースの処理量には限界があり,「過剰な量」が一度に流し込まれるとフルクトースのまま血流に乗り肝臓で処理される.
     「肝臓のみ」の通説を「小腸そして肝臓で処理」と更新したとしても,肝臓での代謝のオーバーフローが脂肪肝を引き起こし,高インスリン血症を引き起こすことに違いはない.

    ヒトマイクロバイオームの役割について
     本書ではヒトと共生している細菌叢の役割について具体的には書かれていない.消化器官に生息する細菌叢の多様性とそれらの代謝物は重大な役割を担っているものが多い.参考としては「あなたの体は9割が細菌」,「土と内臓」,「腸と脳」などが詳しい.

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著者プロフィール

医学博士。1973年生まれ。カナダのトロントで育ち、トロント大学医学部を卒業。同大学の研修医を経たのち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて腎臓専門医の研修を修了。2型糖尿病と肥満に特化した独自の治療を行う「インテンシブ・ダイエタリー・マネジメント・プログラム(集中的な食事管理プログラム)」を開発。クリニックでは、薬物療法ではなく、食生活の改善というシンプルだが効果的な方法に力を入れている。減量と2型糖尿病の治癒を目的として、治療のためのファスティングを臨床現場に取り入れた第一人者。雑誌『ジャーナル・オブ・インスリン・レジスタンス』の編集長(科学部門)、NPO「パブリック・ヘルス・コラボレーション」の理事長も務めている。ベストセラー『トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ』『トロント最高の医師が教える世界最有効の糖尿病対策』(ともにサンマーク出版)の著者。カナダ・オンタリオ州のトロントに在住。

「2021年 『医者が教える健康断食』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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