戦争の歌がきこえる

著者 :
  • 柏書房
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本棚登録 : 244
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760152490

作品紹介・あらすじ

「僕は日本兵を殺した」

私がアメリカのホスピスで寄り添ったのは、
第二次世界大戦を生き抜いた人たちの最期だった。

思い出の音楽とともによみがえってきたのは、
語られずにいた数々の証言。

「マンハッタン計画にかかわっていたんだ」
男は涙ながらに告白し、
「彼らが来る!ナチスが来る!!」
女は恐怖に囚われつづけた――。

これは、ひとりの音楽療法士が記録した、
日本人の知らない「もうひとつの戦争の記憶」であり、
「戦争」の比喩が不気味に飛び交う現代日本において、
トランスナショナルに平和の意味を考えるための一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカから見た戦争のこととか、知らなかったことを知りました。

    PTSD、その昔は無かった言葉
    もっと早くに、この言葉があれば
    もう少し苦しみが減っていた人達がいたのかもしれない

    • moboyokohamaさん
      立場を変えて見るというのは重要ですね。
      ともすれば自分本位、自分からの視点になりがちですよね。
      立場を変えて見るというのは重要ですね。
      ともすれば自分本位、自分からの視点になりがちですよね。
      2020/11/23
    • pさん
      コメントありがとうございます。
      立場を変えて視点を変えてみるって、とても大事なことと改めて思いました。
      コメントありがとうございます。
      立場を変えて視点を変えてみるって、とても大事なことと改めて思いました。
      2020/12/15
  • 日本の戦争感の本は多いが、アメリカ人から見た本は、殆ど読んでいない。だから貴重であった。誰にとっても戦争は、深い傷を残す。人殺しは、やってはいけない。国がやらせてはいけない。

  • なぜか読んでいると涙が出てきます。
    新しい発見や認識は特にないのですが・・

  • 素晴らしい本だった。

    日本人である著者が、音楽療法士としてアメリカで活動する中で出会う人々から聞いた「戦争」についての話を様々な角度から教えてくれる。

    この第二次世界大戦は、国も立場もバラバラな人たちひとりひとりの心に、人ひとりでは到底抱えきれないほどの大きな影を落としたことが改めてわかる。

    その大きすぎる記憶を心の中に押し込めてここまで生きてこられたことが、どれほど大変なことかは想像はできても本当の意味で理解することはできないだろう。

    それでもここに書かれた人はほんの一部でしかない。戦時中に生きていた、なんの力も持たない国民は、皆このようにして今の時代まで生きてきたことを忘れてはいけないと思った。

    私が見聞きしてきた戦争についての記憶はほんの一部分でしかなかったことがよくわかる。
    それはとても薄っぺらい学校の授業のせいでもあるが、目を向けようとしなかった自分自身のせいでもある。
    心のどこかに関係ないという気持ちもあったと思う。

    今の平和を大切にして2度と同じことを起こさないように、この地球上で暮らす全ての人が共有できることを願わずにいられない。

  • 音楽療法士としてアメリカのホスピスで働いていた著者の、戦争当事者、ホロコースト当事者であった患者との対話の記録であり、患者たちが最後に言い残しておきたい、言い残さざるを得ない記憶についての考察。

    彼らも私たちも人間なのだと、読み始めたら止まらなくなった。最近では頭でっかちに歴史が修正されていて当事者の声が蔑ろにされがちだけど、政治的意義は政治が、経験談は当事者や当事者と直接話した人がそれぞれに次世代に受け継ぐべきだと、この本を通し、思いをより強くさせられた。
    また患者たちがこの世を去る直前にそれぞれに印象的な言葉を残していくが、それぞれの矜持がある。

  • あなたは2011年の今日何をしていたか覚えているだろうか?おそらく思い出せないだろう。でも、2011年3月11日の記憶はあるはずだ。
    戦争経験者が80代90代になっても戦争の時のことを覚えているのはこれと同じだという。
    人はそれらを人生の最期に必ず振り返る。

    Taking it day by day. 一日一日を乗り越えてゆく。
    I'm ready to go home. 旅立つ準備は出来ている。
    この先、この言葉を頼りにすることは思わしくない。
    でも人は必ずそう言う場面に出くわす。
    2021年の最後にこの本に出会えたことを幸せに思う。

  • 歴史認識、という言葉は他の言語に訳せない…これは他の言語で生活したことのある人にしか気づけないことだろう。私たち日本人も曖昧な言葉を曖昧にしか使えていない。
    著者は音楽療法を通じて戦争という歴史と、当事者として向き合う。あとがきに書かれたことや、本編を読めば、関わったものなりの丁寧な表現のためにたくさんの記録や遺物に真摯にあたっていったことがよくわかる。賞賛したい。平和を考えるときに読まなければいけない一冊にカウントしたい。

  • 【アーカイブ】終戦記念日を前に語りたい、僕たちが知らなかった戦争のこと|『戦争の歌がきこえる』刊行記念イベント|かしわもち 柏書房のwebマガジン|note
    https://note.com/kashiwashobho/n/n5381b6bf069d?magazine_key=m3a8becde8a01

    佐藤由美子の音楽療法日記 | 人生の最期に聴く音楽
    https://yumikosato.com/

    戦争の歌がきこえる 柏書房株式会社
    http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b512101.html

  • アメリカで音楽療法士として働く著者が、ホスピスで出会った人たちの「戦争の記憶」に耳を傾け、その声を刻みつけていく本。

    第二次大戦を兵士として、または銃後で経験した人たちは、心の底に封印してきたその記憶を、著者との出会いによって語り始める。
    たとえば、一人は著者が日本人であるとわかった瞬間に様子を一変させ、「僕は日本兵を殺した」と言い、身を震わせて泣き始めたという。

    音楽療法の本として読むこともできるが、それ以上に、特異な成り立ちの戦争体験記として価値がある。

    こういう作品にこそノンフィクション賞が与えられるべきだと思った。

  • この本には、二つの側面がある。
    一つ目は、セラピストが、戦争経験者との関わりの中でどの様な信頼関係を築いたか、
    二つ目は、アメリカ人から見た第二世界大戦について。

    著者自身の第二世界大戦観は、良い。
    数冊読んだだけですべて把握できる訳がない。
    事実、戦後ドイツの歴代首相はユダヤ人に謝罪していない。
    ヒストリカルリヴィジョニズム歴史修正主義と言われるのだろうか?
    人は、自分が信じたいモノを信じる。
    何が正しいか、戦争を知らない我々に判断する手立てはない。

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著者プロフィール

ホスピス緩和ケアの音楽療法を専門とする米国認定音楽療法士。バージニア州立ラッドフォード大学大学院音楽科を卒業後、オハイオ州のホスピスで10年間音楽療法を実践。2013 年に帰国し、国内の緩和ケア病棟や在宅医療の現場で音楽療法を実践。その様子は、テレビ朝日「テレメンタリー」や朝日新聞「ひと欄」で報道される。2017年にふたたび渡米し、現地で執筆活動などを行なう。著書に『ラスト・ソング――人生の最期に聴く音楽』、『死に逝く人は何を想うのか――遺される家族にできること』(ともにポプラ社)がある。
Twitter: @YumikoSatoMTBC
HP: https://yumikosato.com

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