渋谷上空のロープウェイ 幻の「ひばり号」と「屋上遊園地」の知られざる歴史

著者 :
  • 柏書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760152322

作品紹介・あらすじ

戦後まもなく、子どもたちの夢と希望を乗せて、渋谷駅の上に架けられたロープウェイ「ひばり号」とその生みの親・遠藤嘉一が関わったデパートの屋上遊園地の栄枯盛衰を描く一冊。残された記録は少ないものの人々の記憶の中に生き続ける、失われた「楽園」の数奇な運命とは一体? 貴重な写真と関係者の証言をふんだんに収録、戦前から戦後にかけてさまざまな思惑が絡まり合ってなされた渋谷開発を軸とした「もうひとつの日本近現代史」を探る追憶のドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 気楽に読み始めたら、日本娯楽機創業者の一代記であった。想像を外した展開が却って面白かった。

  • 「ひばり号」は渋谷駅の上にはかなく咲いた時代の徒花か。昭和26年から2年間のみ存在した東横百貨店のアトラクションから屋上遊園地の歴史を語るノンフィクション。

    近年の渋谷駅の変貌は著しい。東横線の駅の地下化から東急東横店(旧東横百貨店)の建物の解体、銀座線と埼京線のホーム移設など。いつも何か工事が行われている印象。

    昭和26年から2年間、東横百貨店の屋上から国鉄の渋谷駅を跨ぎ東横百貨店別館(後に東急東横店西館)まで「ひばり号」という子供15名乗りのロープウェイが運行されていたという。

    期間も短く残された写真などの記録は少ない。本書はそんな中からひばり号の歴史、そして渋谷駅の発展と百貨店の屋上遊園地の歴史までを語る大きなテーマの作品。

    昔の東横線の駅。地下鉄なのに一番上の銀座線の駅。そして井の頭線とバス乗り場となった旧玉電の駅。この構造が分からない方には、ちょっとひばり号のイメージは難しいかもしれない。

    渋谷駅と言えば何よりスクランブル交差点とハチ公だろう。特にハチ公には本書でも多くの紙面を費やしている。供出された初代のハチ公像の作者が空襲で亡くなったこと、ハチ公像が少なくとも6回は移設されていることなど興味深い。

    屋上遊園地についてもアラフィフの自分には懐かしい。きっとデパートが家族の娯楽の場だったことを知る最後の世代だろう。ひばり号と並んで屋上遊園の幻の施設として知られる浅草松屋のスカイクルーザーなど、乗ってみたかった施設がたくさん。

    ひばり号を生で知らない自分にも学生の頃馴染み深い渋谷駅そして屋上遊園の歴史として楽しめた良質のノンフィクションでした。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。航空貨物の輸出業、物流関連の業界紙記者、コピーライターなどを経て、現在は日本の現代史をさまざまな側面から照射する書籍の編集・執筆にたずさわる。おもな著書に『幻の東京五輪・万博1940』(原書房、2016年)、『航空から見た戦後昭和史/ビートルズからマッカーサーまで』(同、2017年)、『1964東京五輪聖火空輸作戦』(同、2018年)、『渋谷上空のロープウェイ/幻の「ひばり号」と「屋上遊園地」の知られざる歴史』(柏書房、2020年)、『緊急事態TOKYO 1964/聖火台へのカウントダウン』(みずき書林、2021年)などがある。

「2023年 『百貨店の戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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