ヒトはなぜ自殺するのか

  • 化学同人
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759820577

作品紹介・あらすじ

動物のなかでヒトだけが自殺する.それは「他者が考えていることを考える」心が進化したためなのか−−鬱で自殺の危機を経験した著者が,周囲にも破壊的な影響を与えるこの重いテーマを,進化心理学の立場から分析を試みる.その科学的理解が,自分のおかれた過酷な状況から抜け出す手がかりになるかもしれない.『ヒトはなぜ神を信じるのか』『性倒錯者』に続くベリング三部作の最終章.

感想・レビュー・書評

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  • 小島慶子「誰もが情報発信者 WHOの自殺報道ガイドラインを知ってほしい」〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/aera/2022010500037.html?page=1

    今週の本棚:村上陽一郎・評 『ヒトはなぜ自殺するのか 死に向かう心の科学』=ジェシー・ベリング著、鈴木光太郎・訳 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20210313/ddm/015/070/025000c

    『ヒトはなぜ自殺するのか 死に向かう心の科学』死について考えることと、生について考えること - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/45938

    ヒトはなぜ自殺するのか - 株式会社 化学同人
    https://www.kagakudojin.co.jp/book/b553181.html

  • 自然科学や心理学を背景にしたエッセイ的論考。読みなおしたが、たいへんおもしろい。ロイ・バウマイスターへの取材がおもしろい。

    ケイ・ジャミソンさんやアンドリュー・ソロモンさんなんかもそうなんだけど、この手の鬱や自殺に魅了されれてる人々のおもしろいよな。現代的な(非専門的)哲学ってこういう形になるのかもしれないとも思わされる。

  • テーマの重さに引きずられず、意外とさっぱりしている本。
    まず、なぜ動物の中でヒトだけが自殺するのか?というところから始まり、自殺は進化により生まれた適応反応の一部なのではないかという仮説を検証したり、自殺に至るまで精神の段階を考察する。それを踏まえたうえで、実際に自殺した少女の日記を読んだり、自殺を予防するとはどういうことか、自殺とは悪なのか、なぜそういった社会通念が存在するのか?というところに踏み込んでいく。

    3章では、「繁殖の見込みがなく、遺伝的利益に寄与することなく家族の資源を消費する」ような、いないほうがましな人間はより自殺しやすい…という進化的適応の面から自殺を考える説が紹介されていて、これが面白かった。自殺には遺伝的な相関があること、どんな社会にも自殺が見られることなどを材料に「利己的な遺伝子」の支配により生まれた自殺という説を補強している。
    4章では自殺に至るまでにその人間の頭の中では何が起こっているのか?ということを段階的に分析する論を扱うんだけど、そういう直接的な要因と3章のようなハード的要因という遠近感を持って迫っていくのが良い感じ。

    自殺未遂した人の話や遺族の話などかなり生々しい話も含まれていて、そもそも著者も鬱病経験者なのだが、適度な距離感があって読みやすい。私の親族も(私含め)精神的に弱い人が多い感じで、自殺者もたぶん多い方だと思うので、分かるなあと思うことがたくさんあった。遺された家族がズタボロになるのも知っているし、長い苦悩から本人が解放されるのを否定することもできない。誰もが取りうる選択肢の一つとして認識しているし、善悪やたらればでは割り切れないものがある。
    だから、自殺に関する言葉狩りに否定的だったり、「自殺が道徳的に善か悪かという問いにはほとんど意味がないように感じられる」という8章の著者の正直な態度には好感が持てたし共感もした。著者にとって、そしてこの本に登場する人たちにとって自殺は目の前に立ちはだかる現実なのだ。それに誠実であろうとする姿勢が良かった。

  • おもしろかった!
    インターネット・SNS、宗教、人がもつ道徳的価値観など視点が変われば、自殺という行為の良し悪しがどう変化するのかが具体的に書いてある。

    人は他殺でしぬことよりも自殺でしぬことを嫌がるというのは意外だった

  • 新聞の書評で見て買ってみましたが、自殺に関する考察が多岐にわたってて、すごく読み応えがありました。暗い感じかなと思ってましたが、決してそうではなく、すごく客観的で、人の心の動きの複雑さとか、そういうのがよく分かりました。

  • 【書誌情報】
    著者:Jesse Bering
    訳者:鈴木 光太郎
    2,700円+税
    出版年月日:2021/01/25
    9784759820577
    4-6 372ページ

     動物のなかでヒトだけが自殺する.それは「他者が考えていることを考える」心が進化したためなのか−−鬱で自殺の危機を経験した著者が,周囲にも破壊的な影響を与えるこの重いテーマを,進化心理学の立場から分析を試みる.その科学的理解が,自分のおかれた過酷な状況から抜け出す手がかりになるかもしれない.『ヒトはなぜ神を信じるのか』『性倒錯者』に続くベリング三部作の最終章.
    https://www.kagakudojin.co.jp/smp/book/b553181.html

    【簡易目次】
    1章 無の誘惑
    2章 火に囲まれたサソリ
    3章 命を賭ける
    4章 自殺する心に入り込む
    5章 ヴィクがロレインに書いたこと
    6章 生きる苦しみを終わらせる
    7章 死なないもの
    8章 灰色の問題

  • 冒頭の筆者の自慢話が長くて読むのをやめてしまった。

  • ちょうど「自殺」というテーマに関心があり、こちらも手に取りました。

    分かりやすく面白い内容だと思います。専門家との対話が含まれてるのも興味深くて良いです。
    「自殺」というものが、どういったものか理解が深まった気がします。

  • 自殺をめぐるさまざまな科学的知見や筆者の個人的体験など。
    内容:1 センセーショナリズムに走って職を失い、自殺企図にいたる自分史。
    2 動物の自殺とされる記録は多いが、フェイクが多い。
    3 進化論的な考察。血縁者を助けたほうが遺伝子が残りやすい場合がある(血縁淘汰)。このような利他行動の延長線で自殺がとらえられる。
    欝は適応的(最悪の可能性にフォーカスを当てることによって大問題を適切に対応)
    自殺企図は親族(遺伝的利益保有者)の態度を変えるための強力なてこ
    4 ロイ=バウマイスターの6段階
    期待値に届かない
    自己への帰属
    自意識の高まり
    否定的感情
    認知的解体 具体思考による事務的な遺書
    抑制解除 恐怖を乗り越える
    6 伝染、ネット
    7 死後も意識は残る(錯覚)というのがデフォルト
    子どもでの実験
     自殺者の魂は汚される?
    事故物件を避ける心理(ジャージー効果)
    8 倫理、哲学、的考察。クローゼットの棒の撤去が自殺を減らした話

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著者プロフィール

Jesse Bering

「2021年 『ヒトはなぜ自殺するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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