トップリーグ (ハルキ文庫 あ 32-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442718

感想・レビュー・書評

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  • トップリーグとは官邸付きの記者の中の、選ばれし数人のことを指すらしい。ラグビーかと思った。
    ニュースだけでは薄っぺらに見える閣僚の動きが窺い知れる。ブンヤ目線のためヒリヒリした時間感覚で話が進み、まるで疾走するように読み終わった。

    ──日本は先進国の中でも一番成熟した国家となりました。(中略)誘導する利益や利権がなくなった途端、かつての派閥は急激にその機能を失ったのです。(中略)負の対応を押し付け合うのが、現在の政治の最大のテーマです─

    高齢化によってセンセ方のつな引きはさらに空虚を増しているという見方。現実でも裏金と増税メガネのニュースしか見ない。池上彰さんの言葉では税金の使い道を決めるのが政治家。パイが減れば、それは自然の結果だと思える。

    主人公の前に、未来の保育政策と過去の汚職事件のスクープが秤にかけられるというストーリー展開には、こうした報道の在り方に再考を促していると読めた。
    汚職のニュースはお腹いっぱい。ただの消費コンテンツで、どうせ選挙には落ちないし。報道こそもっと未来像を描いてほしい。

  • 面白いと噂には聞いていましたが、予想以上。
    「トップリーグ」とは、総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者。
    先日、一緒に仕事をしたことがあり、現在は国政をカバーしているD紙のI記者が、コラムで「トップリーグ」に触れていました。
    実在するのでしょう。
    さて、本書は、大手紙「大和新聞」の経済部から、畑違いの政治部に異動となり、直後に官房長官に気に入られてトップリーグ入りする中堅記者の松岡が主人公の一人。
    そして、もう一人の主人公が、かつて松岡と同期で大和新聞に入社し、現在は退社して特大のスクープ報道を売り物とする週刊誌で記者をしている酒井。
    この2人の視点で物語は進みます。
    松岡は、政権と癒着する政治部の風土に違和感を覚えつつ、自らも官房長官に取り込まれていきます。
    一方、酒井は、かつて日本を震撼させた一大疑獄事件の「クラスター事件」(今は異なる響きを持つ名称ですね)の謎を追います。
    この2人が交錯して以降、特に終盤は一気読み必至と言えましょう。
    クラスター事件は、「ロッキード事件」をモデルにしていると見られ、非常にリアルです。
    いや、クラスター事件だけではありません。
    本書は徹頭徹尾、リアルです。
    それもそのはず、著者は時事通信社の元記者。
    現場の微妙な空気感まで伝わるのは、その場に身を置いたからこそでしょう。
    結末は……読んでのお楽しみ。
    私は、○○○は×××したと思います。
    「ノンストップ政治エンターテインメント」との惹句は決して大げさではありません。
    久々にお腹一杯になる小説でした。

  • 初めて相場英雄の小説を読みました。
    新聞記者の主人公松岡直樹36歳が政治部に転属になって、政治の表裏、暗部にまで入り込んでいくフィクション小説だが、現代の政治家をモデルにしたと思われる人物が次々にリアルに描かれ、ノンフィクション小説かと勘違いしてしまう。
    物語の核は、お台場で聖徳太子の肖像画の古いお札が入った大金が発見されたことから始まり、それが大昔のロッキード事件を明らかにモチーフした裏資金であることである。
    そしてもう一人の主人公、松岡の元同僚で今は週刊誌記者の酒井祐治が命をかけてそのネタを追いかけ、最後は松岡にその思いを託す。
    昔のロッキード事件の時の首相や商社の幹部、政商、右翼の大物、アメリカの航空機会社の幹部など次から次へと小説と重なり、そして現代の首相、官房長官そのものが重なり、顛末はどうなるのかとかなり興奮しながら期待が膨らんでいったのに、曖昧な終わり方でちょっとがっかり。
    それでもあまり知らなかった政治部の新聞記者と政治家の世界が見えたことに満足。政治と怖い裏の世界を描いた骨太のストーリーにも満足。

  • 大手新聞の政治部記者、スクープ連発の週刊誌記者が昭和最大の汚職疑惑を追う話。

    政治家とマスコミの持ちつ持たれつの癒着関係がリアルに描かれていて、だから日本の政治とマスコミはダメなんだなと言う事が良く理解できた。「トップリーグ」の名の下に政治家に阿る記者たちの歪んだ優越感と社内での保身の態度は生々しいが故に気分が悪くなった。結局読者や国民はそっちのけで、自己の権勢を必死で維持する政治家やマスコミの姿は哀れだ。

  • 描写もうまくとても読みやすいです。ちょっと松岡さんの政治部でうまくいきすぎるのが出来過ぎな感がありますが、結末含めとても良かったです。

  • 総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者の話なんですが、とても興味深かったです。
    トップリーグ、トップリーグ2の2冊で完結ですね。
    面白かったです。
    あっという間に読み終えました^_^

  • 著者の作品はプロットが定型的なので目新しい展開はなく、キャラクター造形も凡庸で、率直に言ってしまうと、作品毎に題材が異なるだけなのに、毎回ちゃんと読み応えがあって面白い。記者時代の経験や綿密な取材によって描かれるディテールの積み上げがフィクションの世界にリアリティを付加するからだろうか。そこを引き立てる為に敢えてシンプルな筋書きに終始している印象すら受ける。現政権への警鐘とも読み取れる本作、終盤の対決シーンはモデルとなった政治家の表情すらも目に浮かぶ様だ。しかし、続編はこの結末から何処に着地するのだろう?

  • 前半だけで評価しづらいなあ。
    パート2読んでから判断しよう。

  • PodcastトレンドウォッチでWOWOWのドラマが紹介されてて、面白そうだったので、原作小説の方を読んでみた。
    主人公の松岡は、とある経済部の新聞記者。とある事情で政治部に異動となり、右も左も分からない状態から、いきなり官房長官番に抜擢される。
    一方、松岡の元同僚で週刊誌記者の酒井は、政界の闇に迫るデカいネタをつかむ。
    二人の物語が交互に語られ、次第に核心へと迫る語り口に、のめり込んでしまいました。
    が、半沢みたいな話に、政治って結局こうなのかよ!とツッコミを入れざるを得ないです。。
    トップリーグと呼ばれる、政権主要人物に特別に取材が許可された人たち。他社が取れないネタをもらえる一方で、批判しづらくなる、そんなジレンマがあったように思います。権力なんてロクなもんじゃないですね。

  • 話と関係ありませんが、ハルキ文庫紙が薄いのかとても読みづらい。。

    話自体はとても面白く、一気に読んでしまいました。新聞記者と政治、手に汗握る展開で一気にひきこまれました。

    政治の裏側、きっと色々あるんだろうなぁ。

    終わり方が憎い!

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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