- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758436908
作品紹介・あらすじ
終戦直後の大阪で、鉄を食べる人間が出現した。名は「アパッチ」。一日に平均六キロの鉄と〇・二〜〇・六リットルのガソリンを摂取し、その肉体の強靭さとスピードは、人類をはるかに凌駕する。彼らはやがて全国へと拡がり、日本の政治、生産機構までも揺さぶるようになっていった…。小松左京の処女長篇にして、SFの枠を超えた永遠の名作が、ここに復活。
感想・レビュー・書評
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戦後日本の大阪で、くず鉄を食べガソリンを飲んで生きる人々「アパッチ」が日本政府と大戦争を繰り広げるSFもの。
アパッチたちが、銃弾は跳ね返すわ戦車を食うわ水中でも長時間生きられるわでハチャメチャに強くて笑う。
世間がしょうもない話題で大騒ぎしている裏で、やばい法律がこっそり採決されたり、反対反対ばっかりで本質の見えていない政治家だったり…現代日本でもあんまり変わってないのかも。50年以上前に描かれた小説ですが、古臭さを感じない、面白い小説でした。 -
小松左京 「 日本アパッチ族 」 鉄を食べて鋼鉄化する人間(アパッチ族)を描いたSF小説。戦後復興期の人間を描いた小説と解釈した
著者は アパッチ族を 肯定的に捉えており、人間の敵として扱っていない。著者は アパッチ族を通して 時代の姿を描きたかったのだと思う
アパッチ族を通して 著者が伝えたかった人間の姿
*弱さ故に 適応して アパッチ族となった人間=戦後の思想転回を迫られた人間
*戦争に敗けた弱さから、鉄のように強くなりたいと願う人間
アパッチ族
*飢餓から逃れるため 鉄を食べ、人間として死に、アパッチ族(非人間)として生きた
*廃墟の中から生まれ、廃墟とともに生き、廃墟と共に消滅した
*戦後混乱期の闇市で、無秩序に生き抜くエネルギー
「人間をやめることによって生き延びた私〜アパッチは人間でなく屑かもしれない〜非人間にも生はあり、その世界は人間とは別の意味を持っている」 -
めちゃくちゃおもしろかったなあ! 鉄を食う「アパッチ族」という奇想とサービス精神溢れるユーモラスな筆致。小説の裏に通底する小松左京の「戦後」への冷徹な視線と骨太の知性。SFの古典として名高いけれども、SFファン以外にも、いまもっと読まれるべき一冊。
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冷静に考えるとこれは小松左京でなくとも書ける話では? という気もあります。大雑把にいえば異端と常識との対立の物語ですから。しかし世界(社会)は壊すけどヒトは残すというやり口で読後も想像して楽しむ余地を多く残してくれるあたりはこの作家さんならではという気もします。そしてやはり50年ほど前の作品とは到底思えない衝撃も強く、特に失業が罪とされ失業者は社会から切り捨てられる冒頭は現実味を強く感じ惹き込まれます。会話の大半が大阪弁なので「じゃりン子チエ」のようなほのぼの感がありますが、かなりシリアスなお話でした。
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杉並区にも居たなぁ、現代のアパッチ族
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面白い。興味の幅が広がりそうだし、皮肉が効いてる。