- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758433655
作品紹介・あらすじ
映画の原作にもなり、貧しいながらも心優しい人々のお互いを信じ合う姿が深い感動をよぶ表題作「雨あがる」、その続編「雪の上の霜」、侍という生き方よりも人間らしい生き方を選ぶ主人公を描き、著者の曲軒ぶりがいかんなく発揮されている「よじょう」など、武家ものを中心とした名作全五篇を収載。生きにくい時代だからこそ浮かび上がってくる、"人間の人間らしさ"を描き続けた昭和の文豪・山本周五郎の魅力が光る、オリジナル名作短篇集。
感想・レビュー・書評
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読み終わった時のお腹にずっしりとくる、揺るぎない満足感。コレだ!と思わせられる人物像。
人間味あふれる人柄。主人公は例えばクラスに居たら全く主役では無いタイプではないか?
誰の上にも立たず、自分を過剰評価せず、人を喜ばせ、人に譲る。
そんなタイプがいたとしてそれに気づくのは難しいのではないか?
そんな人間になりたいと思うけれど、なりたいと思ってなれるものでは無い。コレはもう生まれつきの性分なのでは無いだろうか?
実直、直向きさ、辛抱強さ、潔さ。
なりたいと思ってなれるものではない。そういう人物を描くから山本周五郎は魅力なのかもしれないなぁとぼんやり思ってしまった。
「雨あがる」とても良かった。続編も読みたい。
そしてもっともっと山本周五郎の作品を読んで、この生まれつきの性分の人物に近づきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「深川安楽亭」は今ひとつ好きになれない。周五郎らしい登場人物であるようなないような。陰のある凄みがダメなのかもしれない。正太郎が書いていたら「雲霧仁左衛門」みたいで好きになれたかも。
その他は文句なし。梅雨が明け「雨あがる」を無性に読みたくなって読み始めた。続編があることを初めて知った。その続編も切なく、気持ちいい。 -
雨が続いたら、どんよりした気持ちや焦燥感が湧いてくる思う。そんな時こそ、まわり人の気持ちも慮り、場をほぐす行動がしたいものだ。
期待してがっかりするよりは、期待しない生き方が賢明だと思っていた。だか、繰り返す日々の中に少しは期待を持ってもいいんじゃないか。 -
山本周五郎最高ですね。せつなくて、悲しくて、そしてとても温かい。
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文句無しの5つ星。義理、人情、夫婦愛、親子の情、武士の矜持、優しさ、謙譲の美など。5編の小説が収まっているが、本のタイトルにある「雨あがる」とその続編である「行きの上の霜」は、大切にしたい生き方が描かれていて、特に良かった。格差や対立など不幸なことが多い社会であるが、この本の主人公のように考え行動したいものだ。
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20数年ぶりに読んだ。20代の若い頃に周五郎に感銘を受け、久々に読んでみたがやはり心が洗われる思いだ。
普通、小説を先に読んだ後、映画を観ると物足りなさを感じるけどこの作品はどちらも秀逸だと思う。本には本の良さ、映画には映像の良いところがあり捨てがたい。
印象に残っているシーンは、
「何をしたかではなく、なんの為にしたか?・・あなた方のような、でくの坊にはお分かりになるまい・・・」
この場面の凛とした台詞は胸に残った。 -
赤ひげ先生のときも感じたが、山本周五郎の作品は人間味がある。
ドラゴンボールのシェンさんは伊兵衛さんをヒントにしたのだろうか。