ぼくもだよ。 神楽坂の奇跡の木曜日

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.73
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本棚登録 : 513
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413657

作品紹介・あらすじ

今年1番の感動作だ。――角川春樹
人は食べたものと、読んだものでできている。
盲目の書評家のよう子。路地裏でひとり古書店を営む本間。
それぞれが見つけた、本がつなぐ奇跡の物語とは⁉
発売前から話題!

「読書はどんな孤独な行為に見えたとしても、人や世界とつながることです」
神楽坂に盲導犬と住むよう子は、出版社の担当・希子と隔週の木曜日に、打ち合わせを兼ねたランチをするのが楽しみだ。
一方、神楽坂の路地裏で〈古書SLOPE〉を切り盛りするバツイチの本間は、五歳になる息子のふうちゃんと、週に一度会えるのが木曜日だ。
書物への深い愛、物語への強い信頼、それを分かち合える大切な人。
本に込められた“想い”を伝えていく――

感想・レビュー・書評

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  • 煌めきを感じる一冊。

    ぼくもだよ。木曜日。…この言葉を拾うたびになんだかキラキラ煌めきのかけらのようなものが心に舞い落ちるような感覚。 

    目をつぶるともっと、キュッとした煌めきも一緒に舞い落ちるような感覚。

    誰もの言葉に乗せて伝えてくる、本の魅力、本を愛してやまない気持ちにも何度も心が共鳴し、じっくり目をつぶって言葉を噛み締めるほど。

    目が見えても見えなくても、一冊の本から奇跡のような言葉のかけらを拾い心で感じ取るのは一緒。

    そしてそれを誰かに伝えられたら、繋がったら…そう思うだけでまた心に煌めきが舞い落ちる。
    良作。

  • 盲目の書評家(作家)と古書店主人との邂逅物語。全体的な話には満足できたものの、作中作の内容と二人の年齢(40歳!)に違和感が残った。

  • ストーリーもさることながら、本好きにはたまらない
    いろんなものがカラクリのように仕込まれていて、わくわくした

    1.まだ出会ったことのない作家と著書、図書館の中庭のベンチでお互いの愛読書について夢中で語る二人、なかなか渋い趣味だなと感嘆しながら、私もいつかは読んでみたいなと思った
    よう子の愛読書の白洲正子「日本のたくみ」や志村ふくみ「一色一生」
    カザマ君の愛読書のエリック・ホッファー「波止場日記」や岡茂雄「本屋風情」など

    2.古本屋の店事情とこだわりなども、全く知らない世界だったので、驚いた
    あんなので商売になるのかなと失礼なことを思ったりしていたが、趣味と実益を兼ね備えたお仕事なんだ

    3.心に留めておきたい珠玉の言葉もどっさり
     藍を建てる

     人は食べたものと、読んだもので出来ている。粗末な食事で自分を雑に扱えばどこか雑な印象の人間になるし、本を読む歓びを知らない人の会話はどこか退屈だ。人はからだの中に海を持っているというが、それは水塩比率のことだけではない。言葉の海でもあるのだ。

    タイトルの『ぼくもだよ。』
    なんて優しく温かいタイトルなんだろう

    今、私の中で一推しの平岡陽明さん、おすすめです

  • 読書備忘録613号。
    ★★★★★。
    神楽坂というおしゃれ感と下町感が良い感じで融合した町で、本を愛する人たちが繰り広げるささやかな物語。
    この作者の作品は初めてですが、めっちゃ良かったです。
    神楽坂で盲導犬アンとオッケーGoogle!と暮らす全盲の書評家、竹宮よう子。出版社の担当七瀬希子と雑誌に載せる書評の打ち合わせを兼ねて木曜日にランチをするのが楽しみ。希子は書評の枠に囚われずに、自身の体験を加味したエッセイに仕上げてみたらとよう子を煽る。乗せられたよう子は、小学校時代、目が見えなくなった時の淡い恋の自己体験を加味した書評にチャレンジ。
    同じ神楽坂で古本屋を営むバツイチの本間達也。古今東西の作品を愛し、自ら古書を仕入れ細々と売ることに幸せを感じている。息子のふうちゃんは元妻に引き取られ、唯一木曜日だけふうちゃんが一泊し、寝る前に本を読んであげることが楽しみ。
    しかし、古本がなかなか売れず店を畳むこと決意する本間。
    そんな古書店の常連客に希子がいた。そして希子の同僚の近藤がよう子の書評を読み、小学校から大学生に至る実らなかった恋愛を短編にして出版しようと提案を持ちかける。出版業界も本が売れない時代、何かカンフル剤が欲しいと考えていた近藤は本間の古書店とコラボを起案する。
    そして奇跡の巡り合わせが起きる・・・。
    いやはや、素敵です。副題の意味もステキ過ぎます。
    リラックスして読める本も良いですね。

    • shintak5555さん
      神戸市図書館では予約することなく借りれました。すぐ読めるボリュームです。是非に。
      神戸市図書館では予約することなく借りれました。すぐ読めるボリュームです。是非に。
      2021/10/17
    • ほくほくあーちゃんさん
      早速図書館で、借りる手続きとりましたー!!
      楽しみですー!!
      早速図書館で、借りる手続きとりましたー!!
      楽しみですー!!
      2021/10/18
    • shintak5555さん
      読後の率直な感想を楽しみにしています。笑笑
      自分の備忘録で興味を持って頂けるだけでも、とんでもなく幸せな気持ちになれる。
      本好きって現実世界...
      読後の率直な感想を楽しみにしています。笑笑
      自分の備忘録で興味を持って頂けるだけでも、とんでもなく幸せな気持ちになれる。
      本好きって現実世界では繋がりにくい。
      図書館の予約本受け取りで、前の方が受け取った本が既読で良かった本だったりすると、心の中で“それ!めっちゃ面白いですわ!”とか叫んでる。
      ネットだと文字で繋がれる!嬉しい。
      2021/10/18
  • 神楽坂、と聞いて真っ先に思い浮かぶのが某出版社。地方在住なので街自体の雰囲気などはよくわからないけど、「神楽坂スタイル」というものがあるらしい。ふむふむ、なるほど。

    バツイチ古本屋店主と盲目の書評家。まったくつながりのない二人。共通するのは「本」か。
    そんな二人のそれぞれの物語を読むうちに、すこしずつ見えてくる過去。
    いいねぇ。こういう物語は好きだ。
    ゆっくりと過ぎていく時間。でも、ゆっくりとのんびりとしている余裕はない。タイムリミットまでのカウントダウンは容赦ない。
    それぞれに見える真実、見えなかった事実。大切なものは目に見えない。そう、見えないからこそ大切にしなきゃいけないんだ。
    センチメンタル過ぎない、変にあおらない描写がさらさらと流れてきて心地いい。
    「ぼくもだよ」という言葉が温かく心にしみる。

    本に救われる人がいるかぎり、本を作り、本を手渡す人はいなくならない。私もその世界の中にずっといたい、そう思った。

  • 『ぼくもだよ』
    っていう言葉が、とても心地よいく、
    こんなに素敵な言葉なんだって、
    思えるストーリーでした。

    最初は何気なくモクモク読んでいたら、
    えっ?そういうことだったのかーっ!
    ってことが次々にでてくる展開が、
    とても面白かった。
    そして、
    ようこ(かすみ)と風間くん(本間)の青春が、
    微笑ましくて清々しくて、
    それでいて切なくて、話がとても爽やか。
    40歳になる二人が再会して、
    最後、本間のお店のベンチで、
    再び朗読する本間とそれを聞くかすみの姿、
    本間の「ぼくもだよ」っていう言葉に、
    爽やかな気分になりつつ胸が高なり、
    そしてちょっぴり感動しました。
    また、本には、
    著者やいろんな人の思いがつまっていること、
    その本を読むことがどんなに貴重なことか、
    改めて感じました。

    素敵な物語でした。

  • 神楽坂で盲導犬アンと暮らす書評家の竹宮よう子。人は食べたものと、読んだもので出来ている、と言うのが竹宮よう子の信念である。
    本間は、神楽坂の路地裏で古本屋を営む。古本屋の主人になるためにはどんな能力が必要かという問に、店のオーナーとして、一冊ずつの根づけの理由について説明できないといけないと言う。
    本間が”ちくま文庫の女”と名付けた七瀬希子は神楽坂にあるS社に勤める(新潮社を彷彿させるのだが)。
    希子は竹宮よう子に書評家としての才能を見いだし、さらにエッセイスト、小説家の才も発掘しようとする。
    希子は店を畳もうとする本間にコラボ企画を持ち込む。
    本にまつわるよう子と本間の物語を希子が結びつけ物語は意外な方向に展開します。
    本と食べ物(神楽坂のグルメ店をが実名で次々と登場)が物語を彩る。

    神楽坂を舞台に、挫折した人生を見つめ直し再生させていくお話しである。
    木曜日の奇跡は読んでのお楽しみにしておきましょう。

  • 優しい読み心地。そして表題が幾度にもわたって染みる。

    平岡さんの著書は史実に基づくフィクション「道をたずねる」に続いて二作目。
    本作は神楽坂を舞台に、書評家・よう子と古書店店主・本間の視点で交互に物語は進んでいきます。

    隔週木曜日に担当編集者との打ち合わせ兼ランチを楽しみにしているよう子と、離婚して毎週木曜日に子どもに会えるのを楽しみにしている本間。
    それぞれの日常と屈託を描きながら、緩やかに新たな一歩を踏み出す様子が描かれています。

    軽やかで優しい雰囲気が漂う作品。
    点字のこと、デイジー図書のこと、盲目の方のことなど新たに知ることがたくさんありました。
    心に残る言葉があちこちにあって、様々な作家さんや作品も登場するので興味をそそられた。
    「本」から想いを受け取れるお二人のストーリーなので、本好きさんの共感ポイントも多し!

    副題「神楽坂の奇跡の木曜日」、なるほどね。
    人の繋がりっておもしろい。
    笑みがこぼれる温もりあるラストも良かった。
    こちら、本好きさんにお薦めです。

  • 盲目の書評家と古書店主のお話。最初は二人それぞれに何か奇跡が起こるのかなって思ってたけど、まさかそうつながるとは…。二人の境遇とか話の内容は、所々しんどいところもあったけれど、出てくる人の感じが良くて読みやすかった。
    二十二年ぶりのリーディングタイム、「ぼくもだよ。」の言葉、素敵だった。自分も本が読みたくなった。

  • フォローしているshintak5555さんの感想を見て、
    おもわず読んでしまいましたー。
    大きなどんでん返しがあるわけでもなく、
    ほっこりと読める、ステキな時間でしたー。

    視覚障碍者の竹宮よう子と古書店オーナーの本間達也。
    2人の視点から交互に話が進んでいく。
    最初は交わることのなかった2人だけど、
    話が進んでいくに連れて、接点が生まれる。
    その接点も「やっぱりー」って感じ!!

    作中のふうちゃん(本間の息子)が、たまらん可愛いー!!
    パンケーキが大好きで、空手を頑張る5歳児。
    息子も父と同じように「ぼくもだよ」と伝えるシーンは
    うるっときちゃったなぁー。

    多分、めちゃめちゃ本好きだと、もっともっと
    おもしろく読めたんだと思えるよ。
    たくさんの本の作品が出てくるから
    親しみがわくんだと思う。
    私、読書してこなかった人間なもので…なので☆4かなー。

    • shintak5555さん
      読まれたんですね。
      しかも★4つ!奮発しましたね!笑
      私は★5つでしたが、登場人物達の様々な木曜日が姿を変えて新しい木曜日になるという組み立...
      読まれたんですね。
      しかも★4つ!奮発しましたね!笑
      私は★5つでしたが、登場人物達の様々な木曜日が姿を変えて新しい木曜日になるという組み立てにボーナス★をどうぞ!という感じでした。笑
      2021/11/05
    • ほくほくあーちゃんさん
      分かります!!
      タイトルに木曜日があるのは、なんでだろうと思ってましたが、納得です!!
      分かります!!
      タイトルに木曜日があるのは、なんでだろうと思ってましたが、納得です!!
      2021/11/05
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著者プロフィール

平岡陽明
1977年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2013年『松田さんの181日』(文藝春秋)で第93回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。19年刊行の『ロス男』で第41回吉川英治文学新人賞候補。22年刊行の『素数とバレーボール』は、「本の雑誌」が選んだ「2022年度エンターテインメントベスト10」第3位。他の著書に『ライオンズ。1958。』『イシマル書房編集部』『道をたずねる』『ぼくもだよ。神楽坂の奇跡の木曜日』がある。

「2023年 『眠る邪馬台国 夢見る探偵 高宮アスカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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