雲のむこう、約束の場所

  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757725881

感想・レビュー・書評

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  • ノスタルジックな文章、透明感溢れる描写。本当の意味でオトナになろうとした、少年たちの夏の記憶。

    読む人を選ぶだろうし、映像を観ているからこそのこの評価なのだが、心に来るものがある。是非両者とも鑑賞していただきたい。

  • まさかこれを読んだときは、新海誠監督がこんなに有名になるとは思わなかった。これも青春時代の本。自分にとって新海誠監督といえばこの作品です。加納さんの文章が最高で、映画も好きですが、この小説の方が好きです。

  • 少年たちは、手作りで飛行機を作り始める。“人が乗れるやつ” 
    エンジンを手に入れ、材料を調達し…
    しかし、夢破れた少年は故郷を離れ、再び故郷に還る。
    約束を果たすために。

  • 17.01.28 後味が不思議

  • 新海誠監督の『雲のむこう、約束の場所』の小説化。
    青春や夢、喪失と挫折を描く。

  • 映画がすごく好きだったので、小説版があると聞いて購入。
    映画だけではわからなかった部分、わかりにくかった部分、描かれなかった部分など、様々な部分が補強されます。

  • 泣きながら北にはせゆく塔などのあるべき空のけはひならずや
     宮沢賢治

     2004年、新海誠監督のアニメーション映画「雲のむこう、約束の場所」が公開された。静ひつで、バイオリンの演奏が耳に残る美しい映像だった。その小説版では、巻頭に掲出歌が書かれている。「北」「塔」が、全編を通してのキーワードだ。
     舞台は青森県津軽半島の小さな町。浩紀と拓也は、中学生ながら、搭乗可能な小型飛行機を製作している。そこに、同級生のサユリが加わる。甘やかな三角関係をにおわせつつ、かれらの意識は北にそびえる高い塔に向いている。その塔が立つのは、海峡の向こう、「エゾ」と呼ばれる外国。そう、敗戦後、北海道が旧ソ連を中心とする「ユニオン圏」の占領下に置かれたという設定なのだ。
     津軽以南の日本を米軍が後押しし、1975年、完全に国交断絶となる。浩紀たちがアルバイトに通う製作所社長も、「エゾ」に住む妻と生き別れの状態だ。離散家族たちが遠い目をして望むユニオンの塔。その設計者は、サユリの祖父だった。
     数年後。塔を兵器だと主張する米軍は、ユニオンに宣戦布告し、「エゾ」に進軍しようとする。危機を回避できる鍵を握るのはサユリ。だが、サユリは今、原因不明の眠りにつき、特殊病棟のベッドにいる―。
     作品後半はSFふうの展開だが、宮沢賢治の詩「小岩井農場」の次の一節も引用されている「すべてさびしさと悲傷とを焚いて/ひとは透明な軌道をすすむ」。分断国家の「さびしさと悲傷」を思わせる内容で、大切な何かを指摘されたような読後感だ。

    (2013年10月27日掲載)

  • 世界の半分を覆う巨大な共産国家群ユニオンによって、日本が津軽海峡を隔てて南北に分断された世界。
    北海道はエゾと呼ばれ、すぐそこに見えるのに、決して行くことのできない、手の届かない空の果てだったころ。
    津軽半島の北端の町に生まれ育ったぼくは、親友の拓也と廃駅で飛行機を作っていた。
    ぼくらの目の前に横たわる国家的断絶を飛び越えて、たどり着きたい美しい場所があったから。
    あの夏、ぼくと拓也、飛行機に、白い翼──ヴェラシーラと名づけたサユリ。
    ぼくら3人は、小さな約束を交わした。

    しかしサユリは突然姿を消し、ぼくらの飛行機にかける情熱は失われ、歳月は無為に流れる。
    ──失い、損ない、捨て、別れ、離れ、忘れ、すべては遠くなってゆくままのように思えた3人。
    果たされないまま残されたひとつの約束は、それぞれの思い出のなかで燻ぶり続け、やがてぼくらが再生するための翼となって蘇る──。


    文中に挿入される宮沢賢治の詩がさらに感動と郷愁をよぶ、透明感溢れるセカイ系小説の代表作。

  • これもある種のメディアミックスなのかもしれません。人気映像作家の新海誠氏が描く映像物語は、映像としての美しさとモノローグの語り口などで、とても秀逸な出来のものが多いですが、その実、物語の背景把握や、突飛な設定の理解に苦しむ時があります。

    それはそれで、そういう作品、と割り切ることも出来るのですが、氏の作品をノベライズしたものを読むと、映像の尺では説明されなかった様々な要素を把握することが出来るので、映像作品側への理解が深まります。

    逆にいうと、これが小説単体として見た時にどこまで面白いか、というのは難しいところで、読んでる側もどうしても原作となる映像作品に引っ張られてしまうので、それも善し悪しだな、と思うのです。

    本作も、きちんとノベライズしていると思いますし、表現のそこかしこにいわゆる「新海節」が挟まり空気感を共通させているのは面白い。でもそれって「技巧」の問題で、小説としての物語性で言ってしまうと、類型的な設定の寄せ集めに感じてしまう。

    映像の足りなかったところを補完し、小説の足りていないところは映像で表現されている……そう考えると、映像と小説、両方併せて一作と言った感覚になってしまい、それも悪くは無いのですが、単体としての★はこうなってしまうかな、と。

  • 専門的なことも文できちんと説明されているのでアニメよりわかりやすく理解度が高まります。

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著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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