まともな日本再生会議:グローバリズムの虚妄を撃つ

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757222571

作品紹介・あらすじ

間違いだらけの「構造改革」と「成長戦略」はさっさとやめろ!
今こそナショナリズムを復権し、「まともな日本」を取り戻せ!
注目の若手論客3名による、極めて“まっとうな議論”。

感想・レビュー・書評

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  • グローバリゼーションにおける保守とは何か、という点が主題な感じ。

    注釈が丁寧なため、事前知識がなくてもスラスラと読みやすい。

  • 現在の日本、大企業が目指しているグローバリズムや、その人材育成に対する批判がこの本の中心。何でもかんでも欧米、中国韓国と比較し、ランキング上位を目指すのは日本にとってはあまり意味がないことを訴えている。英語教育にしてもそうだ。英語よりもまずしっかりした日本語を話せる日本人を育てていくことのほうが将来のために必要ということだ。少なくとも日本に住んでいる以上は日本語だけ話せれば問題はない。問題があるとすれば、それは日本が日本でなくなることを意味する。

  • 「グローバル化は時代の流れだからしょうがない」。世の中に蔓延するこのような一種無気力な風潮に疑問を投げかけるのが本書である。

    安倍氏は、政権奪取前の政権構想「新しい国へ」の中で、「伝統、文化、地域が重んじられる、瑞穂の国にふさわしい経済のあり方を考えていきたい」と論じた。しかし、首相になってからは、TPPを始めとして、日本の形を大きく変える恐れのある「改革」や「グローバル化」路線を突き進んでいる。「失われた20年」の間をみても、「保守的でないこと」が改革の名のもとに行われてきた。一体、「保守」とは何なのか。

    もちろん、改革が必要な場合はある。しかしそのような場合でも、漸進的に進めるのが保守思想の要諦。「安定」は「革新」にとっても重要なはずだ。企業家を育成するためにも、研究開発を進めるためにも、技術を磨いて後進の育成に努めるためにも。さらに安倍政権が目指す「企業にとっていい国」は、人件費をカットしやすい国に繋がる。若者にとって、「安定」が期待できない国になってしまう。日本の若者をしっかりと教育し、将来の明るい見通しを持たせることが、日本の成長戦略の基盤であるはずだ。

    99%を不幸にする新自由主義は早晩崩れていくであろう。各国が再び国家としてのありようを問い直す時代になっていく。そういった時代の流れを読みながら、国民の多くが「まとも」だと思える政治が取り戻されることを期待したい。「世界で勝つ」がキャッチフレーズの昨今の諸政策は、まるで国民皆兵制度の復活のようだ。グローバル化の波に飲み込まれっ放しになるのではなく、国民一人ひとりが、日本の先達の経験から学び、活かすことも重要なことだ。それが「まとも」な政治に繋がるのだろうと思う。

  • 保守的とは、慣れ親しんだもの、試されたもの、近くのものを好むもの。しかし、慣れ親しんだ日本的経営を捨て、試されたことのない規制緩和を断行し、遠い海外に憧れるグローバル化を推進する与党に限って、自らを「保守」と名乗っている彼らはまともではない。まともでないシステムは世界金融危機のように必ず崩壊するものだ。ではどうすれば良いのかについては書かれていない。

  • 語られていることはごくごく一般的、至極もっともな意見だと思いますが、これらの意見が異端視されるのであれば、いまの日本ってどうなっているの(?)というところではないでしょうか。もちろん、細かな点を取り上げれば賛成できないところ、あれ(?)と思われるようなものもあります。でも、昨今政治の世界やネットの世界ではやっている勇ましい言説だけでなく、こういう議論も冷静に耳を傾けてみるべきではないでしょうか?

  • 「まとも」とはなにか?
    最初に感想を述べると、この鼎談本は優れて洗練された現政権批判であり、非常に示唆に富む本である。しかしおそらく「悪貨は良貨を駆逐する」の言葉通り大多数の人間や政権担当者の耳には入らないであることも予見できる。

    さて、鼎談でなされている議論の特筆すべき点であるが、どうも我が国が知らず知らずのうちに抱えている問題「財政均衡主義の暴走による、デフレ不況経済」「グローバリズム市場の蔓延による社会の不安定化」は全世界的であることである。

    それに先進国は気づいてはいる、にも関わらず米国は議会のねじれより欧州はユーロの呪縛により手を打てないでいる。

    一方、我が国はデフレ脱却を掲げた政権が、先の二度の大きな選挙で大勝しねじれを快勝したにも関わらず、そのトレンドに気づいているのかいないのか極めて不透明な政策を打ち出している。

    そういった我が国の状況に忸怩たる思いを抱きながらも、比較的若い著者たちは、ニヒリズム的に陥ること無く現実的な提言を多種多様に展開していく。

    最後に「外に打って出ろ」だの「内向きになるな」だの「今の若者は覇気が足りない、ハングリー精神がどうたら」「世界に目を向けるとことが大切だ!!」などインフレ期の成功体験による精神論がいつまでも現代の我が国の障害になっていることに、そろそろ気づいていただきたいものである。

  • 様々なところで3人が述べていた内容をすっきり分かりやすく読むことができる良い本。

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著者プロフィール

中野剛志(なかの・たけし)
一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。九六年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』(ベストセラーズ)など多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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