全脳エミュレーションの時代(上):人工超知能EMが支配する世界の全貌

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  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757103733

作品紹介・あらすじ

「全脳エミュレーション」とは、人間の脳を忠実にスキャンしてつくられる超知能体のこと。最も実現可能性が高いため、AI研究者の間でも注目のテーマだ。それはAIよりも早く、なんと100年後には実現すると著者は予測する。では、その全脳エミュレーションが普及した未来の地球は、いったいどのような様相を呈しているだろう? 本書では経済学、人工知能、脳科学、心理学、社会学、工学についてのアカデミックコンセンサスを広汎かつ精緻に踏まえ、それが普及した世界を、物理特性、経済、人間活動、社会生活という4つの側面から克明に描き出す。人類は超知能と共生することはできるのか? 気鋭の経済学者による驚くべき未来予想図。

感想・レビュー・書評

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  • 人間のほぼすべての仕事を実行できる機械を作るために、ロボットや人工知能の研究が進んでいるが、実はAIの進歩は遅々として進んでいない。人間レベルのAIが実現するためには、今後4世紀以上もかかるらしい。進歩が遅い原因は、研究者の数や資金の問題ではなく、複雑すぎる生命システムの解明が困難なためだ。特に人間の脳のように、部分部分の処理の仕組みはわかっても、全体の仕組みを理解するには程遠い段階だ。脳から必要な機能のモジュールを取り出したり、大幅に設計し直したりできてはじめて、AI研究が人間レベルに達したと言える。

    そこで著者は、機能の解明は後回しにして、人間の脳を直接エミュレーションするアプローチを提案する。要は、中身のわからないブラックボックスのソフトウェアを、まるまま1つのマシンから別のマシンに移し替えるのだ。その時に選ばれるスキャン元は、数十人未満のとびきり優秀なオリジナルな人間で、多くはユダヤ人が選ばれるだろうとする(ノーベル賞などの受賞者や億万長者などの超エリートに彼らが占める割合が不釣り合いなほど多い)。彼らエムが暮らす世界はどんな世界になるか、今日の社会や経験、価値観をどれほど揺さぶるかを予測する。

    著者は、たとえ本書で描いた未来が実現しなくても、それを予測する意義は大きいと考える。「外国の土地を訪れると、自分の国の優れた特徴についての理解が深まるものだが、それと同様、異なった時代に思いを巡らせば、自分の生きている時代の優れた特徴を理解しやすい」。過去や未来が現在とどれほど異なっているかを知れば、自分たちがどんな人間なのかわかるし、現在の延長線上に未来があるなら、大きく変貌するたろうが、予測される未来は決して奇抜でもユニークでもないはずだ。著者もこの未来を読者に好きになってもらおうとは考えていない。

  • 脳のエミュレーションが完成して、人間の脳をスキャンして機械の体に入れることができると世の中どうなりますかねー?って本。まあ、ツッコミどころは満載なんですが、そもそもこの本はたぶんツッコミのために存在している。著者はエム(脳エミュレーション)を、人間の生産性が限界まで高まったらどうなるのか?という経済学の問題として解いていくということが一番したいんじゃないかと思う。脳のコピーができると、僕は、主体性の概念が変わると思うんだけど、そこらに関しては少なくとも上巻では全く触れられない。でもやる気はある。みたいな根拠のない断定。自分をコピーするんだけどそのコピーした人は自由に寿命を設定できるしそれでトラブルは生じない。とかも断言。あと、小さい。とか。で、生産性も100倍上がるとか言っている。生産性が100倍上がることはあるかもしれないけど、その際に、現状の考え方が通じるのかってのはやっぱよくわかんないな。自己という概念とか、そういったものが変わっていく気はするけどね。SFだとエネルギー生命体とかになりそう。まあ、下巻の途中でどうでもよくなった。

  • 脳機能を解明するのではなく、脳内の反応をコピーする事で、そのコピー知能によるロボットが活躍する世界を想像する。どうしてそのような世界が起こり得るのか、合理性は不確かだが、その疑問を置き去りに妄想が次々と膨らむために、不完全なSF小説のプロットを読まされるようで辛い。水槽に浮かぶ脳味噌から、脳刺激反応をデジタルにコピーするイメージだろうか。

    著者の狙いでもある過去の歴史を学ぶよりも、未来を研究する学問の方が意義深いという考えは否定しない。しかし、現状分析のデータ無しに想像を連ねるだけというのは正直シンドイ。このロボットはエムと呼ばれ、小型らしく、VRも駆使する上に、人間のコピーだから性的欲求もあるらしい。もう少し読み進めないと、それが存在する必然性がわからない。上巻はそんな所だろうか。

  • ☆人間の脳を模倣する必要はないのではないか?

  • 人間の脳をコンピュータで完全にエミュレートする。いつかできるかもしれないが、まだSFに限りなく近い。

  • 請求記号 007.1/H 29

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著者プロフィール

ジョージメイソン大学経済学准教授。オックスフォード大学人類未来研究所研究員。シカゴ大学で物理学と哲学の修士号を取得後、ロッキードとNASAで人工知能研究に従事。カリフォルニア工科大学にて社会科学博士号取得。経済学、物理学、コンピュータ科学、哲学について60の学術論文があり、その論考は約2800の論文に引用されている。著者が運営するブログOvercomingBias.comは800万view以上に達する。

「2018年 『全脳エミュレーションの時代・下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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