- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784756245755
作品紹介・あらすじ
国宝・重文へのお勝手口からの挑戦状。
感想・レビュー・書評
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ながめているだけで、ふくふくした気持ちになれる1冊に出会えました。
東北の市井の人々が木を削って生み出し、日々手を合わせてきた庶民のための仏像たち。
荒削りだったり、妙に傾いでいたり、アンバランスな身体をしていたり…。
京都や奈良にあるきらびやかな仏像とはちがった味わいから目が離せませんでした。
真っ黒に煤けた仏像は、長年家々の神棚にまつられ、竃の煙を浴びたていたためなのだそう…人々の暮らしにこれらの仏様が寄り添っていたという証です。
閻魔大王・竜王・大黒天のしるしをつけた多聞天の、ちょっと欲張りな出で立ちに、思わず笑ってしまいました。
地獄絵に「たのしい」という形容詞はそぐわないのでは…という私の思い込みを吹き飛ばしてくれました。
恐ろしい地獄の責苦が描かれているはずなのですが、亡者たちが笑っているように見えたり、絶妙なゆるい線で描かれていたり…など、じっくり眺めているとふつふつとおかしみが滲んでくるのです。
「この感じ、どこかで味わったような…?」と思っていたら、幼稚園で初めて『じごくのそうべえ』を読んでもらったときの感じと似ているのでした。
このような仏像や絵が人々の祈りを受け止めてきたのだなぁ…と思うと、ユーモラスな外見の裏側に深みも感じられ、ますます好ましく感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
門外漢でも、かわいいフォトブックとして眺める以上の楽しみ方ができた。
なぜ拝む側の立場でつくられた鬼形像がやさしい姿なのか、真っ黒な民間仏たちが尊い理由、といった考察や解説に納得、信仰とは…などと考えてしまった。 -
マイナーな地方の素朴で愛らしい仏像、なんかくすっとしてしまう地獄絵がたくさん収録された本。仏像って荘厳というか後光放ってそうなものばかり、というイメージだったけど、こんなかわいい仏像もあるんだなあ。仏像の世界も地獄絵の世界も奥深いです。
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教科書に出ない素朴な仏像が沢山
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東北地方に多く残る、素朴ながらも庶民の身近な信仰に応えるが故の不思議な魅力のある「仏像」。曼荼羅のような教理に根差した仏教芸術よりも、庶民の喫緊の課題である死後への恐れに訴求する地獄絵。技術性の高い有名な仏像や絵画には無い違った魅力がわかる。 そして、わざわざ東北くんだりにまでそういうのを見に行ったりしないので著者には安心してほしい。
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美術
仏教 -
写真が沢山のヴィジュアルブックっぽいのかと思ったが、実は文章たっぷりの考察しっかりの本でした。
えー! これ仏像?!
と思うようなかわいい仏像に会える本。
ブックカフェにて読了。 -
ほっこり、ほっこり、優しい気持ちになります。
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装丁がかわいくて手に取った。庶民に親しみを込めて拝まれた素朴な仏像や地獄絵について真面目に考察されており、触れたことのない世界だったので興味深かった。コミカルな表現にも見える作品群だけど、祈りを込めて作られ長きに渡って大切にされてきたと思うと、神聖なものに思えてきます。