ナニュークたちの星座

著者 :
  • アリス館
4.12
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本棚登録 : 336
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752008521

感想・レビュー・書評

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  • 心地よい静けさと親愛に満ちた、素晴らしきSF絵物語。

    絵も文章も両方とも素敵。
    主人公は数いるナニュークのうちの1人。37922…通称22号と番号で呼ばれてる。
    ナニュークは隠児石という鉱石を採掘するために生み出されたクローン。
    隠児石の光は幼い子どもにしか見えず、その光を見る力が一番強い少年、ナニュークを元に作られたクローンなのだ。
    クローンとはいえ、みな性格は異なり見た目にも少し違いがある。ひとりひとりちゃんと意志を持った人間なのだ。
    22号は採掘の役目を終え、急に消えたまるで運命のように気の合った23号を迎えに行くために都市部である紅茶街に向かう…

    ああ、このあらすじでは実際の尊みが伝わらない…
    本文中のイラストはもちろん、表紙もナニュークたち含め紫貴重でなんとも言えない静謐さと美しさがあり、大事に手元に置いておきたい気持ちにさせられる。
    果たして22号は23号に会えたのか。
    その過程の22号の考えることや、静かに、でも前向きに進んでいく時間の描きかたがとても好き。
    最後の展開もとても良い。
    すごくエモい。
    ぜひ手に取って、本書を読んで、目を閉じて、瞼の裏に浮かび上がっていく光の瞬きを感じてほしい。

  • 文章とイラストとマンガが混在していて、それぞれの表現方法のいいところをうまく活かした作品だった。
    子供にしか見つけられない鉱石を採掘するクローン人間が友達を探すために街へ出るという童話のようなかわいい話で、突飛な展開があるわけではないが、それらの表現方法のおかげで頭に残る。
    著者はBLモノをよく書いているようで、本作でも多少BL色が出ているが、普段なじみのない私にも受け入れられるようなかわいい感じだった。

  • 不思議だけどとても暖かい本だった。「パン」を「麵麭」と書いているのに、「卒業後」は「卒業ご」など簡単な漢字をひらがなで表現しているのが、より不思議で優しい雰囲気に感じた。ナニューク達はみんな同じようで、少しずつ違っている。あれから22号と23号は自由気ままな人生を過ごしたんだろうなと思う。96ページしかない本なのに、宝物のような素敵な世界が詰め込まれていた。

  • この絵があってのこの本だし、この文があってのこの本だと思う。

  • 「隠児石」という子どもにしか見えない石を採掘するためにつくられたクローンの少年たちの物語。透き通るような世界観が美しくてステキ。ステキなんだけれど、少し切なくて泣ける。この本を自分の好みの分野に無理矢理当てはめることもできなくもないが、これはもっとその手前にそっと置いておきたいような、一応少年という性別はあるのだが、あまりそれを感じさせずピュアで穢れのない無色透明の美しさで溢れていた。イラストのカシワイさんも前から少し気になっていた人なので、初めて読む雪舟さんの本がカシワイさんのイラストで読めて嬉しい。

  • すこし切ない雰囲気は漂っているんだけど、決して絶望的ではない。不自由に思える設定なのに人間よりずっと自由に見えるナニュークがすこし悲しいようで、でもしっかりと生きていて、よかった。全ページ色合いや絵がふんわりキラキラして綺麗。装丁で手に取りました。

  • わたしの好きが詰まった作品。ひとりひとり輝いている個性がある。子供の頃にしか分からないものを、少しでも多く大人になっても忘れないようにしたい

  • 一行目、あぁ今トンネルを出たみたいな気持ち、と思った。暗いトンネルから青く光る星の下に。少し不思議な設定と、穏やかに積み重なる日々。隠児石(かくれごいし)という言葉の美しさ。トンネルは星座を内包し、海に続いているのだと感じた。

  • 「自由な光と光として永遠の中で、また逢いましょう」「人びとが忘れたのちも、私たちは軽やかに、光り輝いているものとして暮らした」

  • 雪舟えまさんの短歌がすきで本を購入。漫画と児童書の中間のような不思議な本で、カバー裏にもこだわりがあり楽しい一冊。

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著者プロフィール

雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生まれ。作家、歌人。著書に歌集『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説『タラチネ・ドリーム・マイン』『プラトニック・プラネッツ』『恋シタイヨウ系』『パラダイスィー8』ほか。2017年より男性カップル「緑と楯」シリーズの執筆をメインの活動としている。

「2018年 『BL古典セレクション① 竹取物語 伊勢物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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