日本語を、取り戻す。

著者 :
  • 亜紀書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516608

作品紹介・あらすじ

私たちが暮らす世界では、なぜ〝ことば〟がここまで空疎なものになってしまったのか!?

森友・加計、検事長の定年延長をめぐる数々のデタラメ、新型コロナウイルスをめぐるアレコレ、世界を、日本を跋扈するポピュリストたちのワンフレーズ、機能不全に陥っているメディア……。

世の中を真摯にそして斜めに睨みつづける〈至高のコラムニスト〉が、雨後の筍のごとく湧いて出る様々な問題を、舌鋒鋭く、ユーモアいっぱいに斬り捨てる!

——あえて、ムシ返すことにする!

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年の間に、雑誌などに書かれたものを集めたコラム集。安倍前総理をはじめとする、政治家、あるいは政治そのものに関すること。また、マスコミ、メディアに関することが多く書かれている。
    森友学園問題、加計問題、中央官庁の障がい者雇用水増し問題、色々な事件でのデータや記録改竄・廃棄問題、麻生大臣の武漢ウィルス発言問題、等々。他にも同程度の問題が沢山。
    本コラムは、こういった問題に関する記録にもなっているが、あらためて、これらに関するコラムを読んでみると、一つ一つの案件のひどさ・馬鹿馬鹿しさについてが思い返されると共に、殆どのことについて、既に忘れてしまっていたことに驚いた。もちろん、コラムで読んでみると記憶はあるが、普段思い出すこともしないという意味で忘れてしまっていた、ということ。
    小田嶋隆も本書の中で書いているが、私たちは、こういった、よく考えれば酷いことに、慣れてしまって、いちいち怒ることもなくなってしまったのかも知れない。

  • 分かった気にさせる“マジックワード”の効力とは?『日本語を、取り戻す。』から考える! | ダ・ヴィンチニュース
    https://ddnavi.com/review/682762/a/

    亜紀書房 - 日本語を、取り戻す。
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=969

  • 2020年発行の本なので、話題が古いけれどおもしろい
    4年間って意外と多くのことが変わるんだなと思った

  • 短期間であまりに色々と起こり過ぎていて、ほんの少し前の大きな問題でも、ああそんなこともあったな…とずいぶん昔のように感じてしまった。
    まだほとんど未決着/未解決だというのに…。
    小田島氏の言葉で納得をしたり、新しい見方ができたりしたのは良いのだけど、一層この国どうなるんだと憂鬱にもなる。
    が、自分で狭めてしまっていたところに思い当たり、少し息がしやすくなったこともあって、読んで良かった。
    「理解」という言葉の使われ方の変化にはハッとした、私も注意深くなろう…。

  • 本屋で並んでいる表紙を見て,図書館にリクエストして届いた本を楽しみにして読み続けて,「ああ,日本語に関する本でなく,政治エッセイだったのかぁ」と思いつつ,「あ,この表紙のイラストを見て,安倍さんの『日本を取り戻す』をからかっている・『語』の背景になっているのが『アベノマスク』だぁ」,「経済の専門家でない」「政治の専門家でもない」と言っていて,「何の専門家?」と振り回され,随分,話題が古いなぁと思いつつ読み終え,奥付を見たら2年前の発行で吃驚!!~(エッセイですから・気になった言葉だけ並べると)「アカピ」「ダサヨク」「ジャーゴン」「マスゴミ」~調べたら,小田嶋さんは同い年で北区出身,小石川高校卒。おっ,友だちの友だち位の近さだ。早稲田大学,おっと同窓。教育学部社会科・・おぉ。2022年6月に亡くなっている,若いなぁ・・・。あ,なるほど! 書店員に小田嶋ファンが居て,出版社の働き掛けがあり,目立つ所に置いて売って得て印税を香典代わりにしようとしたんです・・・か?? リクエストして市に買わせたから,多少は協力したネ

  • ー私たちが暮らす世界では、なぜ〝ことば〟がここまで空疎なものになってしまったのか!?ー
    この紹介文に惹かれて手に取った。おそらく、安倍政権の政策に対する批評本、と言う紹介文だったら手に取らなかったと思う。なぜなら、私は「日本語」に興味があるから。政治・経済よりも「言葉」。
    正直、政治も経済もよく分からない。最低限、社会人なのだからと自分に言い聞かせて、いくつかのニュース番組を見たり、新聞を読んだりはするが、何が問題になっているのか、いまいち理解できなかったり、用語がわからなかったりすることもある。
    だから、安倍さんの政策について、正しく賛同も批判もできないと自覚している。
    それでも、適切に表現できない違和感がずっとあった。
    そして、この本の紹介文を目にした時、そう、「ことばの空疎さ」だ。これだ!と思ってしまった。

    公文書の破棄・隠蔽・改竄、「理解」という言葉について、「代案」がないといけないのか、などなど、興味深いコラムは沢山あったのだけど、
    先に書いた通り、自分が抱いていた違和感について、すごく的確にわかりやすく著者が示してくれていたところがあったので、レビュー代わりに残しておこうと思う。
    『安倍晋三氏の政治手法に苛立つ理由は、おそらく、私の目から見て、彼が政治家というよりは扇動家(アジテーター)に見えるからなのだろうと思っている。政治家とアジテーターの何が違うのか正面切って問われるとちょっと困るのだが、ともあれ、安倍さんの持ち出してくるスローガンが、具体的な政策であるよりは、イデオロギーに近い何かに見えることは確かだ。』
    アジテーターとは、少々過激な表現にも思えるが、でも私が感じていた違和感・もやもや・イライラは、結局、この一節に集約されていると感じた。
    そして、この一文の次のコラムで、著者は『最大の罪は国の文化と社会を破壊したこと』と、これまた少々過激とも思えるタイトルで記しているのだが、この短いコラムも、この本全体を通して、著者が訴えていることの根本をなすと感じた。

  • 内容の前に「この表紙、どうなの?」って話です笑。
    待ちに待った当代随一のコラムニスト小田嶋隆さんの新刊。
    森友・加計問題や検事長の定年延長を巡る政府のデタラメ、世界と日本を跋扈するワンフレーズの罠、凋落する一方のメディアを俎上に載せ、バッタバッタと斬りまくる。
    内容も痛快ですが、ぼくは小田嶋さんの文章が好き。
    先日、読了した武田砂鉄「わかりやすさの罪」ではないですが、理路整然では決してない。
    いや、どちらかと言えば分かりにくい方ですが、小田嶋さん自身の思考の痕跡がしっかり見えて、誠実で信頼できます。
    逆に、借り物の知識で理路整然と語られるコラムほど退屈なものはないですね。
    小田嶋さんが使う言葉もしばしば難しいです。
    一般に、文章は、難解な言葉を用いず、簡潔・平明に書くことが良しとされています。
    私も9割方支持します。
    中には、背伸びをして難しい言葉を誤って使い、自爆している向きもありますが、これなどは絶対に回避すべきでしょう。
    でも、小田嶋さんは敢えて難しい言葉を用いている節があります。
    そうやって文章を引き締めることで、小田嶋さんの最大の魅力であるユーモアが引き立つ効果があるのですね。
    小田嶋さんは、本当に文章がうまいと思います。
    コラムを書かせて小田嶋さんの右に出る人は、少なくともアジアにはいないんじゃないかしらん。
    では、私の好きなコラムを1本、本書から紹介するとしましょう。
    タイトルは「サッカー監督に聞くべきは」。
    ◇◇◇
    面白い動画が流れてきた。
    画面に出て来る主人公は、サッカープレミアリーグ(イングランド一部リーグ)で首位を独走するリバプールFCの監督、ユルゲン・クロップ氏だ。クロップ監督は、パネルの前で記者の質問に答えている。そのやりとりが水際立っている。記者がコロナウイルスについての考えを質す。と、クロップ氏の回答はこうだ。
    「私は、政治やコロナウイルスのようなシリアスな問題について、サッカー監督の意見を聞きたがる風潮が理解できない。私は素人だ。有名人だからという理由で私の意見を尊重する必要はない。ごらんの通り、私は野球帽をかぶった、自分のヒゲをきれいにしておくことさえできない男なのだからね」
    なんと見事な回答ではないか。
    実際、クロップ監督とて、コロナウイルスについて、自分なりの見解を持っていないわけではないはずだ。しかし、彼は自分の意見よりも、サッカー監督たる自身の立場をより重要視している。まったく完璧な自己省察だ。
    対照的なニュースがある。3月2日に放送された民放のワイドショー番組で、吉本興業所属のお笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」の吉田敬氏(46)が、与野党の政治家の発言を断罪したというお話だ。発端は、麻生財務大臣が新型肺炎をめぐる臨時休校要請の質問をした記者に対して「つまんないことを聞くねぇ」と返したことだった。これに対して、立憲民主党の蓮舫参議院議員がツイッター上で「貴方にとっては『つまんないこと』なんでしょう。でも、親にとっての費用負担はとても大きいものです」と噛み付いた。で、両者の発言をとらえて、吉田氏は、放送の中で以下のように述べたわけだ。「麻生さんからしたらホンマしょうもない質問なんでしょうけど。そこを我慢もう一歩してほしいし、そこの揚げ足をとってうわぁーっていう蓮舫さんといういつもの流れ。もう、ええわって。どっちも0ポイントというか」
    ま、要するに「どっちもどっち」てなことで、麻生氏と蓮舫氏の双方の発言を相対化した定番のコメントだ。
    吉田氏のコメントに賛同する人もあるだろう。逆に、反発を抱く視聴者もいるはずだ。しかし、問題はそこではない。見解の当否は、この際、どっちでもよい。
    重要なポイントは、しゃべりは得意かもしれないが、政治やウイルス対策の専門知識を持っているわけでもない人を連れてきて、国会議員の答弁やツイートを採点するがごときコメントをさせ、それで番組を作ることにある。
    しかも、そのコメントは、テレビ電波を通じて全国に流され、のみならず、スポーツ新聞がそれをネタに記事を書く展開が約束されていたりする。つまり、われわれは、お笑い芸人であるというだけの素人の台詞を、新聞で読まねばならない国に住んでいるわけだ。
    思うに、お笑い芸人をコメンテーター席に座らせて、政治経済外交防衛いじらせて番組を進行させる手法は、21世紀にはいってから顕在化した、「24時間総バラエティ化」の一環だ。実際、今回のコロナウイルス関連でも、お笑いの人間の意見が、最も大きな影響力を発揮していたりする。
    いや、笑いごとではない。
    われら一般国民がテレビを見て笑っている限り、いずれ、この国は、世界の笑いものに成り下がっていく、と、私は思っている。

  • 超面白かった!一家に一冊だな。小田嶋氏と飲んでみたかったな。小田嶋氏が今の統一教会や裏金にまみれた自民党をみたらどんなコメントするのだろうか。きっと全然驚かないんだろうな。
    表紙の絵も秀逸。

  • 人気コラムニストの単行本ですが、2022年と
    なっては若干古い気がする、安倍政権につい
    で書かれた内容が大半です。

    なのでタイトルの「日本語を取り戻す」とい
    うのも、安倍政権のキャッチコピーであった
    「日本を取り戻す」をもじっています。

    しかし岸田政権の今であっても読むに値する
    内容です。

    それは著者の主眼は「日本語を取り戻す」こ
    とを目的としているからです。

    政治家を筆頭にマスコミも含めて、ここ10年
    ばかり、言葉がぞんざいに扱われている、と
    著者が感じているからです。

    政治家は意味不明な答弁、マスコミは些細な
    言葉の揚げ足取り、と言葉を大切にしていな
    いと著者は嘆きます。

    それだけに本書に掲載されたコラムは言葉に
    向かい合って、丁寧に論調が繰り広げられま
    す。

    自分が発する言葉を大切にしたくなる一冊で
    す。

  • 表紙のデザインが秀逸やなと思う。
    結構さくっと読めるかなと思ったけど、なんというか今の世のヤバさを改めて感じることとなり、結構読むのもしんどかった。。

    必ずしも小田嶋氏の言うことにすべてが賛同というわけではないけども、おおむねは筋がとおっていて真っ当だと思った。
    議論の内容から一歩引いた目線からものごとを見ているトピックもあり、そういう見方ができるんだなと新しい視点に気づくことができた気もする。
    安倍政権はもちろん、政治家とかメディアとか、いろんな人たちがいかに日本語を壊してきたか、そして私達がそれを許してきたか、
    政治家の答弁の時間かせぎにつきあって、無駄な時間を費やしてしまったのかと思うとクラクラする。。
    許したくないけど、私たちは、一体何ができるのかなあ。。「なかば諦め」的なことばがこの本にも何度か出てきていたけど、私も同じ気持ち。。諦めたらあかんのやけどね。。。

    個人的には24時間バラエティ化というのはすごく思う。。むかしは芸人さんがニュース番組とかワイドショーとか出るにしてもちょっとスパイス的な感じな立ち位置だった気がするけど、いまはもうワイドショーとか芸人ばっかり。専門家の知見のある人の話が聞きたい。。まともなニュース番組はほぼない。まっとうなニュース番組を見たいよ私は。。。

    わかりやすかったり、情報をゲットしやすかったり、叩きやすくてオモシロイ、そういうネタにメディアが食いつきがち。楽な方に流れていっている的な内容にはなるほどなーと思った。。この国にジャーナリズムはないんか。。。
    言葉って大事やなと思う。言葉と責任。日本語、取り戻したいね。。。

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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