逃亡者の社会学——アメリカの都市に生きる黒人たち

  • 亜紀書房
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本棚登録 : 179
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516387

作品紹介・あらすじ

アメリカで大論争を巻き起こした黒人社会のエスノグラフィー、ついに邦訳

11年にも及ぶ潜入調査と分析から、フィラデルフィアの黒人街で、若者を中心とする軽犯罪を犯し逃亡中の黒人たちがどのような人生を送っているのかを、克明に描きだす。

逃亡や捜査のテクニックが描かれる一方で、家族や恋人など罪を犯した若者の周囲の人々まで焦点を当てるなど、多角的な視点も興味深い。
厳しい環境に置かれたアメリカ黒人の生生しい現実を描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 社会学者のゴッフマンとの理論的なつながりの説明はない。フィラデルフィアの黒人地区にフィールドワークに入って、抗争に巻き込まれて終わるまでの話である。しかし、付き合っていた男性が殺された男性の仇をうとうとしていたので、自分も撃たれる危険はある。フィールドワークがこれ程大変ということを自覚させるような話である。付録でフィールドワークの方法を示しているのかと思ったら全く違う。
     危険と隣合わせのフィールドワークであり、今までの研究ではそれを書かなかっただけなのかもしれない。

  • フィラデルフィアの黒人貧困層が居住する地区をフィールドとして、刑事司法システムが黒人若年層とその親族に与える影響を分析した本。

    犯罪や麻薬が蔓延する環境で、未決令状や保護観察中の遵守事項違反などで逮捕・勾留を回避するため、刑事司法システムを避けようとする若者。刑事司法システムが更正に向かわせるのではなく、状況を悪化させる悪循環。

    かなり異なる世界のように思えた。

    また若者は刑事司法システムを回避するだけではなく抗争から身の安全を守るために活用するという複雑さ。
    さらに親族、パートナー、友人などとの社会関係も複雑。逃亡に協力したり、警察に協力したり(警察からの脅しにより協力せざるをえなかったり)。

    同じ地区でも犯罪等に関与せず刑事司法システムに関わらない人もいて、本書の対象になっている若者との違いが気になった。同じ環境で生まれ育って、何が原因で違いが出るのか。

    この研究は筆者が長年黒人コミュニティ入り込んでおこなわれたもの。真似できない、すごいと思った。付録には、参与観察を行うなかで著者が抱えた苦悩等が書かれている。

  • 朝日新聞2021515掲載 評者:生井英考(元立教大学社会学研究科教授,アメリカ研究)
    読売新聞202181掲載 評者:小川さやか(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授,アフリカ地域研究,「チェンキンマンション~」著者)
    日経新聞2022108掲載 評者:小熊英二(慶応義塾大学総合政策学部歴史社会学教授,日本史,社会学)

  • 2021/06/30
    途中まで読んだが、どうもスッキリと頭に入ってこない。
    後半の章や付録部分も読んでみたが同じく途中で止める。
    現実を知ることは必要かもしれないが、警察や裁判所との関わりが強く影響しているのかもしれないが、そもそもそれ以前の状態への疑問、もともと警察とは無縁では済まないことが前提となっている社会についての疑問の方が頭の大部分を占めてきて消化不良のままで挫折…。

  • 著者 アリス・ゴッフマン 著
    二文字屋 脩、岸下 卓史 訳
    価格 2,700円(税別)
    発売日 2021年3月26日
    判型 四六判
    製本 並製
    頁数 500頁
    ISBN 978-4-7505-1638-7
    Cコード C0030

    アリス・ゴッフマン(Alice Goffman)
    1982年生まれのアメリカの社会学者。2004年にペンシルベニア大学を卒業した後、2010年にプリンストン大学で博士号を取得。本書の元となった博士論文は、2011年にアメリカ社会学会の最優秀博士論文賞に選ばれた。ウィスコンシン大学社会学部助教を経て、現在はポモナ大学社会学部客員准教授。

    二文字屋 脩(にもんじや・しゅう)
    1985年生まれ。国立民族学博物館特別共同利用研究員、東京農業大学非常勤講師、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター講師。
    共訳書にエドゥアルド・コーン『森は考える』(亜紀書房)がある。

    岸下 卓史(きしした・たかし)
    立教大学ほか講師。
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=983&st=4

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著者プロフィール

1982年生まれのアメリカの社会学者。2004年にペンシルベニア大学を卒業した後、2010年にプリンストン大学で博士号を取得。本書の元となった博士論文は、2011年にアメリカ社会学会の最優秀博士論文賞に選ばれた。ウィスコンシン大学社会学部助教を経て、現在はポモナ大学社会学部客員准教授。

「2021年 『逃亡者の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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