誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ (となりの国のものがたり4)

  • 亜紀書房
4.09
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本棚登録 : 251
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516288

作品紹介・あらすじ

必死で 情けなくて まぬけな 愛すべき「私たち」


親切も罪も恥も丸ごと抱えて生きていく「人間」を、
やさしい共感をこめて描き出す。
——韓国文学の旗手による傑作短編集。


不完全な人々へ、愛をこめて

感想・レビュー・書評

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  • おお、おお…。
    羞恥、屈辱。
    個人のしょうもない保身や何やかやで、簡単に塗りつぶされてしまう良心。
    描かれなさが絶妙で、読み終わった後に書かれていないところを想像せずにはいられない。
    収録作品だけでもう充分殴られた気持ちだったけれど、作者のあとがきがね。もうね。
    本を通して学べる唯一のこととは何か。
    作者からの答えはとてもシビアなのだけど、解説で更に作者からつけ足されているように、それは希望でもあるのだ。

  • クォン・スンチャンと善良な人々

    善良さがもたらす抑圧とか、排他的な動きとかが描かれていて新鮮だった。
    みんな本当に募金したかったのかな。
    自分の気持ちを正しさの方に寄せていった結果、その窮屈さを発散させる対象が必要になってしまったのだと思う。

  • とっさの自己防衛や自己弁護で、他者を傷付けてしまうと同時に生じる良心の呵責という心の腫物のようなもの。歳を取るほど記憶の断片に幾つも散らばった呵責が呼び起こされた短編物語集だった。
    他者に寄り添う善良な人間になりたいのに、なれない弱さ、、しみじみ分かる。。。

  • 著者曰く「平凡な日常に起きた予期せぬ出来事」を集めた短編集。どの短編も一筋縄では話は進まず、そこに様々な想いをめぐらすことができた。面白かった。

  • チェ・ミジンはどこへ
    ナ・ジョンマン氏のちょっぴり下に曲がったブーム
    クォン・スンチャンと善良な人々
    私を嫌悪することになるパク・チャンスへ
    ずっと前に、キム・スッキは
    誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ
    ハン・ジョンヒと僕
    あとがき

    全編を通して迫ってくるリアルな"恥"とやるせなさ。読み進めながら私小説に近い作風なのかな?と思っていたので、あとがきが沁みた。

  • 現代の韓国の生活文化に親しみたいという思いで韓国の小説を読んでいる自分にとっては理想的な作品と思えた。登場人物も状況設定も多様で飽きずに読み進んだ。が、時々、人称代名詞が誰を指しているのかが、導入部分でなかなか掴めないでイラッとすることも有ることは有った。

  • 表紙とタイトルでほっこり系短編集なのかと思いきや、恥、羞恥心について胸を突かれるような物語たちだった。圧倒された。

  • 短編?中編?集です。
    わたしは作者が事故の当事者にインタビューする形式で書かれたひと作品が特に好きでした(題名は忘れたが)。
    韓国文化をわかってる人が読むとさらに面白いんじゃないのかなと思いました。別に知らなくても読めるんだけど、例えば教会のお兄さん교회오빠 とかは韓国歌謡にも出てくる割とよく使われているきまり文句で、一口じゃ説明できないニュアンスを含んだ言葉ですから、実体験として知ってる人の方が人物の想像はしやすいかなと思いました。(わたしも大して知らないですけど、知ってたらもっと面白く読めたという想像)
    でも、知らなくてもめっちゃ面白く読めると思います。大体は「普通の人の話」なんですが、社会の空気感や慢性的な問題なども織り込まれているので、だらけることなく読み進められました。それがいわゆる文章力ってことでしょうか。
    この作家さんはあまり外れがなく他の本も読みましたがよかったです。韓国語勉強もっとやって原書読めるように早くなりたーい

  • 内容理解するのが難しかったです。

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著者プロフィール

イ・ギホ(李起昊)
1972年、江原道原州市生まれ。秋渓芸術大学文芸創作科を卒業後、明知大学大学院文芸創作科を修了。1999年に『現代文学』でデビューした。
短編集に『チェ・スンドク聖霊充満記』、『おろおろしてるうちにこうなると思ってた』、『キム博士はだれなのか』、『誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ』(斎藤真理子訳、亜紀書房)、長編小説に『謝るのは得意です』、『舎弟たちの世界史』(小西直子訳、新泉社)、『モギャン面放火事件顛末記――ヨブ記四十三章』、その他の邦訳に『原州通信』(清水知佐子訳、クオン)がある。李孝石文学賞、金承鈺文学賞、韓国日報文学賞、黄順元文学賞、東仁文学賞などを受賞。

「2020年 『韓国の小説家たちⅠ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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