ヒトはどこまで進化するのか

  • 亜紀書房
3.29
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514758

作品紹介・あらすじ

脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこへ向かうのか。
ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。
2014年度「全米図書賞」最終候補作品!

感想・レビュー・書評

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  • 有名な生物学者の著作。邦題はちょっと違うようだ。原題は"The Meaning of Human Existence"。人間の存在する意味を探る旅に著者と一緒に旅立とう。一神教の世界では設計者が生物をこのように創造したと信じている人がいる。それも多くの人が。日本ではとても考えられないが、このような著作が出るのもそのような環境であるからかもしれない。生物学の知識を使って、進化と人間の存在理由を探る。

  • ウィルソン入門書といった感じ。
    サクッと読めておもしろい。

    ミツバチの高度な社会は脆弱性が高いのではないか、といった警告や地球外生物についての意見なども含め、視点がいつもながら普通ではない。

    人間とはどういった存在なのか。
    ありきたりの内容ではあるのだけど、比較する対象が昆虫や地球外生物なのが少し驚き。

    サイエンスは何も解決しないし「こうするべき」ということは言えない、ただ葛藤を残すのみ、みたいな書き方が好きだわ。

  • 生物学の権威が人間の存在意義について述べる。人文科学(文学、芸術)は人の感覚の範囲内で同じようなことを手を替え品を替え記述してきたが、人間の存在意義はそこからの見地だけでは見つけられないと思われる。科学は人間の感知できない視点、例えば蝶に見える紫外線、コウモリやイルカに聞こえる高周波の音など人間には理解できない感覚があることを教えてくれる。また、過去にさかのぼって、どのように今の人間の能力が培われてきたかを知ることもできるし、それらの知見がなくては人間は理解できないだろうし、世界も理解できないだろうとする。そうすれば未来の環境や人間どうしでの問題にもより良い対処ができるだろう。

  • 全十五章、短いオムニバスのような構成で読みやすいが、個々の記載が非常に浅く、タイトルから期待されるような著者独自の考察もあまりない。だから何?という読後感が残ってしまう構成で少し残念。

  • 難しい

  • とばし読み。貸出期間時間切れ。
    もう一度借りて読もう。

  • 難しかったけど、生物多様性が失われる原因となる環境破壊や、利己的な人間への警笛が、素晴らしい文章と翻訳で描かれていて、感動的だった。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:469||W
    資料ID:95160957

    脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこに向かうのか。ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。
    (生化学研究室 大塚正人先生推薦)

  • 請求記号 114/W 75

  • 著者のエドワード・O・ウィルソン(1929年~)は、リチャード・ドーキンスやスティーヴン・ジェイ・グールドと並ぶ世界的な生物学者。昆虫学を専門とし、社会生物学、生物多様性の研究でも知られる。
    本書は、2014年にアメリカで出版された『The Meaning of Human Existence(人間が存在する意味)』の全訳であるが、書名のテーマについて系統立てて分析・説明されているものではなく、著者が、人間の存在の意味、知の統合、人間の未来を主たるテーマに語った15のエッセイから成る。巻末には、行動生態学者の長谷川眞理子氏の20頁に亘る解説がついており、理解を深める助けとなっている。
    私は本書から大きく以下の2つの主張を感じ取った。
    ◆人間は「利己性」(=悪・罪)と「利他性」(=善・美徳)を同時に持つ唯一の動物であるが、その良心の葛藤は、200万年前に我々の祖先ホモ・ハビリスの時代に生じた「個体レベルの選択」と「集団レベルの選択」の「マルチレベルの自然選択」に基づくものである。一方では同じ集団内の個体同士が競争し、もう一方では集団同士が競争する。その場合、個体レベルでは同じ集団内の利己的な個体が利他的な個体に勝つが、集団レベルでは利他的な集団が利己的な集団に勝つ。つまり、個体選択は悪・罪を奨励し、集団選択は善・美徳を奨励したのである。そして、この人間特有の葛藤が解決されることは今後もないであろう。なぜなら、個体選択から生じた本能的衝動に屈すれば社会が解体するし、集団選択から生じた衝動に屈すれば人間は天使のごときロボット(巨大なアリのようなもの)と化すことになるからである。これは、W・ハミルトンが提唱し、R・ドーキンスが『利己的な遺伝子』で解説している「血縁選択」(個体は、直系の子孫以外の近親者である傍系親族を優遇し、同じ集団のメンバー間で利他的行動が進化しやすくなるという説)の理論と真っ向から対立するものである。(長谷川眞理子氏は解説で、現在のところ、多くの進化生物学者はウィルソンには賛成していないと書いている)
    ◆17~18世紀の「啓蒙主義」の時代、いずれ万物も人間の存在の意味も自然科学の法則で解き明かされる、即ち、自然科学と人文科学を因果関係の連続したネットワークによって統合できると考えられていたが、その後現在までその二つは別々の道を進んできた。しかし、今こそその探求を再開するべきである。自然科学の分野の発見のペースはいずれ鈍化するが、人文科学は今後も進化し多様化し続ける。そして人文科学の創造性の源は、先行人類の遺伝的進化の過程で相反する選択圧力が働いた結果、生まれつきの情動反応が不安定に混在する状態が生じたことにある。自然科学の発見し分析する力に、人文科学の内省的創造性が加われば、人間の存在の意味はどこまでも高められるはずである。
    自然科学の一分野を極めた巨匠が、自らの研究の集大成、そして人間の未来のために書き綴った内容には、自然科学の枠に捕らわれない多くの示唆が含まれている。
    (2016年8月了)

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著者プロフィール

世界有数の生物学者。島嶼生物地理学と社会生物学の創始者であり、自然科学と人文科学を統合する3つの概念(バイオフィリア、生物多様性、コンシリエンス)をつくり上げた。アメリカ国家科学賞、スウェーデン王立科学アカデミーが授与するクラフォード賞(生態学分野、ノーベル賞に相当)、2度のピューリッツァー賞など、科学および文芸での受賞歴は100を超える。著書に『人類はどこから来て、どこへ行くのか』(化学同人)、『人間の本性について』(ちくま学芸文庫)、『生命の多様性〈上・下〉』(岩波現代文庫)など多数。

「2016年 『ヒトはどこまで進化するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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