ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?

  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750352060

作品紹介・あらすじ

私は相手の肌の色など気にしない。人格で判断すべきと分かっているから―だがこうした差別の否認は、〈白人の心の脆さ〉と特権を示しているだけだ。マジョリティの誰もが人種差別主義を抱える根拠と対処法を明示し、米国で大反響を巻き起こしたベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 海外出版事情:アメリカ 人種差別の本質を論じた2冊=冷泉彰彦 | 週刊エコノミスト Online(2020年7月31日)
    https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200818/se1/00m/020/019000c

    日本人はなぜレイシズム(人種差別主義)に向き合えないのか?――『ホワイト・フラジリティ』の射程|じんぶん堂
    https://book.asahi.com/jinbun/article/14360121

    ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか? - 株式会社 明石書店
    https://www.akashi.co.jp/book/b581162.html

  • 本書は「白人の心の弱さ」という著者の白人性研究の中で培われた概念をベースに、現代の人種差別の形を非常に明瞭に指摘する著作です。
    人種の差が無いかのように振る舞い、「私はレイシストでは無い」と言うリベラルな人々はレイシズムという制度の中で社会化された自らを顧みることなく、レイシズムを無かったことにしてしまうという議論はレイシズムに限らず、女性差別、外国人差別、障害者差別、LGBT差別など全ての差別に通ずる議論です。
    「私は一切差別をしない」と考えている人がいかに多く、それを指摘して話し合うことがいかに難しいかは日本にいても女性差別や障害者差別等の場で日々体験していることです。自分もまた差別的行為をしてしまうように社会化されていることを強く感じました。

  • レイシズムについて、一貫して白人の問題として指摘しているのが、新しく感じた。個人的には、映画 幸せの隠れ場所、での描かれ方もまた白人至上主義の裏返しであるとの説明が成程なあと思い。面白い感動する映画だと思っていたので、自分もまた社会化されていたのだなと思った。

    解説にもあったように、日本人としては、差別される側、する側という両方の側面があるのでまた、読みながら考える必要がある。

  • ●アメリカ合衆国は、すべての人間は平等に作られている、と言う理念の上に築かれた。それなのに、先住民の集団虐殺と、彼らの土地の窃盗を試みたとこから始まった。アメリカの富は、誘拐され奴隷きされたアフリカ人とその子孫の労働によって作られた。女性は1920年まで(黒人女性には1965年まで)選挙権は与えられなかった。
    ●ホワイトフラジリティ。白人の心の脆さ。困惑や不安によって誘発されるものだが、優越感と権利意識から生じたもの。いわゆる弱さではなく、人種上の支配と特権を守るための強力な手段なのだ。
    ●カラーブラインドというレイシズム。人種に気づかないふりをすれば、レイシズムなど存在しないと言うことになる。レイシズムを理解してそれに挑もうとするなら、まず人種間の差異を認めなければならない。黒人であることに気づかないふりをする事は、黒人の彼にとって何の助けにもならない。
    ●住んでいる地域の話をする。その裏には人種トークが潜んでいる。にも関わらず、そこに気づかないふりをする。
    ● 2016年の研究によれば、アンケートの答えた医学生と研修医の半数が、黒人は痛みを比較的感じないと信じていると答えている。
    ●レイシストは悪、無知、年寄り、南部
    ●レイシストでない=善、教養がある、若者、北部
    つまり、良い人だからレイシストではないという勘違いがおこる。

  • 非常に耳の痛い話。でも自分の中でなんとなく違和感があった「俺わかっている」的な感覚を改めて戒めてもらえてすごくよかった。ここから進めなければいけない。

    今のところ本年ベスト3に入る書籍。これは読んでよかった。

    「わたしたちはなぜレイシズムに向き合えないのか」と白人に向けて書かれた本ではあるが、これを少し日本人の視点に変えて読んでみると、我々の中にもしっかりと様々な差別が潜んでいることがわかる。

    ・レイシズムは「個人主義」的視点で、簡単に解決できるような「個人」の問題ではなく、構造的に「社会化」されたものであることをまず受け止める必要があることを著者は訴える。
    ・そして日本でも姿形は違えど、様々な社会化されたこのような「差別」的なものは、どんなに学校や社会が綺麗ごとを並べても依然存在していることを突き付ける
    -男女差別、学歴差別、職域差別、地域差別、欧米文化から知らないうちに吸収している「レイシズム」ももちろんetc-
    ・社会化された中で、このことを真摯に受け止めていくことはとても大変なこと。本書での例として「レイシズム」に対する「白人女性の涙」は全てではないにしろ、往々にして、ただの白人の脆さを表すだけだと厳しく一蹴する。


    自分自身、国外も長く「レイシズム」も当たり前のように受けたこともあるので一定程度理解しているつもりであったけれども、これは本当に深く反省。自分が真に様々な「差別」に向き合うには全く違った心構えが必要なんだな。ということが改めて良く分かった。


    ただ、これは本当に「覚悟」のいることで、社会化された「マジョリティ」の中で挑んでいく難しさというものを感じる次第ではある。

  • ノンフィクション というよりは,思想書というカテゴリーにはいる.訳文のせいなのか,原文のせいなのかはわからないが,硬い文体で読みにくい.
    さらに論理の展開が平易ではないので,読み通すのが難しい本.言いたいことはよくわかるが,もう少し平易に,短くならないのかというのが正直な感想である.

  • 出版社HP: https://www.akashi.co.jp/book/b581162.html

    監訳者・貴堂嘉之氏Twitter: https://twitter.com/ykido66

  • めちゃくちゃおもしろかった。アファーティブアクションで実は最も恩恵を受けているのが白人女性だったとは知らなかった

  • 差別されている人達から見れば、所詮は優位に立つ白人の言うことで、特に目新しいことではないかもしれないが、著者の問題提起は少なくとも白人の側から無意識化された差別意識あぶり出して、自分たちの差別的言動への理解を深めていこうとする真摯な努力が見られるように思う。先入観は生きてきた年数だけの経験から育まれているので、そう簡単に払拭できるものではないということを、肝に命じておきたい。

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著者プロフィール

批判的言説分析と白人性研究の分野で活躍する研究者、教育者であり作家。ウェストフィールド州立大学、ワシントン大学などで教鞭をとる。25年以上にわたり、人種問題と社会正義に関するコンサルティングとトレーニングを実施。ベストセラーとなったWhite Fragility(邦題『ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?』)をはじめとする関連分野の著書がある。その活動はイブラム・X・ケンディ、マイケル・エリック・ダイソンなどアメリカの著名な反レイシズム活動家、研究者、作家、ジャーナリストらから高い評価を受けている。

「2022年 『ナイス・レイシズム なぜリベラルなあなたが差別するのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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