新 移民時代――外国人労働者と共に生きる社会へ

制作 : 西日本新聞社 
  • 明石書店
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750345864

作品紹介・あらすじ

100万人を超えた日本で働く外国人。単純労働を実質的に担う技能実習生・留学生等の受入れ拡大が「移民政策をとらない」とする政府のもと進められている。国内外の現場を取材し、建前と本音が交錯する制度のひずみを浮き彫りにした西日本新聞連載企画の書籍化。来たるべき社会を見据え、共生の道を探る現場からの報告。

感想・レビュー・書評

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  • 外国人実習生や留学生の実例、識者へのインタビューを通して「移民は否定しつつ、労働力はほしい」という政府と日本社会の建前と本音の現状を明らかにした本。この本の著者(西日本新聞社 編なので著社?)は移民受け入れ賛成よりの立場だが、労働者使い捨ての危惧や留学生の勉学への配慮から移民受け入れや留学生の労働時間の制限緩和に否定的な意見も紹介されている。

  • 今の日本がどのような地点にいるのか思い知らされる本だ。もはや今の日本の豊かさは、外国からの労働者なしには成り立たない。しかし外国人は労働力ではなく、生活者だ。外国から働きに来た来た人々も、子供が生まれ、教育も必要。風邪も引けば医者にかかるし、年も老いる。われわれは外国から受け入れた人々の生活全般について支えていく必要がある。

  • 最低賃金を下回る時給、長時間の過酷な労働、人権などまったく認め
    ない虐待。しかし、転職は認められない。逃げ出せば逮捕される。

    日本政府が表向き「国際貢献」と称する外国人技能実習制度の実態は、
    低賃金で日本人がやりたがらない仕事の労働力を賄う奴隷制度に他
    ならない。

    入管難民法改正案を今国会中に成立させたい政府だが、法務省が提出し
    た実習生への聞き取り調査のデータにさえ誤りがあり、拙速に過ぎるの
    ではないかと感じている。

    技能実習生や留学生は日本の労働現場に欠かせない存在になっている。
    短い期間だったが、ビジネスホテルのルームメイクをやっていた。
    責任者こそ日本人だが、スタッフのほとんどがヴェトナムからの
    留学生の女の子たちだった。

    本書はアジアからの留学生が多く暮らす九州の西日本新聞の連載記事
    をまとめた作品である。実習生・留学生の労働の実態、現地の送り出
    し機関や日本語学校の問題点、外国人を積極的に採用している企業の
    成功例、受け入れる日本側に不足している点などを記している。

    当たり前のことだが、労働力=人間であるのだよね。今回の入管難民法
    改正案で政府は単純労働にも外国人の就労を拡大しようとしているが、
    彼ら・彼女らは単なる「安い労働力」ではなのだ。

    人間であり、生活者である。その点が欠如していやいないかと思う。
    勿論、日本の習慣や文化を彼ら・彼女らに理解してもらうことも
    大切だが、来日する人たちの国の習慣や文化を私たち日本人も理解し、
    受け入れることを忘れてはならないのではないか。

    本書は外国人労働者受け入れを肯定的に捉えているので反対派には
    納得できない部分もあるかもしれない。それでも一読の価値はある
    と感じる。

    日本政府も「移民政策ではない」と詭弁を弄するのは止めた方がいい。
    だって、既に移民流入は世界第4位なのだから。そして、入管難民法改
    正案を通すのであれば、彼ら。彼女らをサポートする政府主導の組織
    を設立してからの話ではないのか?

    何度でも言う。労働力=人間なのだ。

  • 新 移民時代――外国人労働者と共に生きる社会へ。西日本新聞社の著書。西日本新聞連載企画の書籍化。こういう現場取材は個人では難しいし西日本新聞のような大きな新聞社やメディアだからこそできるもの。西日本新聞だけではなくてほかの大きな新聞社やメディアもこういった現実をきちんと取材して読者に伝えてほしい。石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞・優秀賞受賞をしたのも納得の一冊。新 移民時代――外国人労働者と共に生きる社会へを読んだことをきっかけにして移民問題を真剣に考える人はきっと増えたはず。

  • noteにまとめました

    https://note.com/aydknn/n/n72dbc5209de0

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00586100

    テーマ8 働きがいも経済成長も

    100万人を突破した日本で働く外国人。単純労働を実質的に担う技能実習生・留学生等の受け入れ拡大が「移民政策をとらない」とする政府のもと進められている。建前と本音が交錯する制度のひずみを国内外の現場取材によって浮き彫りにし大きな反響を呼んだ西日本新聞連載企画の書籍化。来たるべき社会を見据え、共生の道を探る現場からの報告。(出版社HPより)

  • ふむ

  • 外国人労働者に関する西日本新聞の特集をまとめた本。

    2017年の本なので、その後の制度の変遷を自分でアップデートしていく必要があるが、福岡市で生活する外国人へのインタビュー記事は、知っている地名が出てくることもあり、興味深かった。

  • 本作読んでいると、日本を回すために労働力を買い叩いて搾取している事をひしひしと感じます。労働力の前に人間を招いているという事を皆が意識しなければいけないでしょう。
    日本に来て辛い思いだけをして、帰国してく若者達が山盛りいると思うと悲しいです。

    最近コンビニでも色々な人種の人々が働いています。言葉が充分分からない中で懸命に働いている姿を見ると、がんばってねと思わず声を掛けてしまったりします。
    現在日本で働いている人々の多くは、留学という形を採った労働力確保に等しいというのが現状です。日本に来る為に150万円程の借金をして、日本で働いて借金を返しながら勉強をする。しかし日本留学ビジネスが過熱して、ただ単に働きたい人を留学生として送り込むことによって、程度の低い学校が乱立してしまっているようです。
    そもそも150万というと発展途上国の人達にとっては1000万以上の貨幣価値の為、命がけで日本に来ています。技術習得はもちろん目的なのでしょうが、一番の目的は留学を切欠に少しでもいい生活に移行したいというのがシンプルな目的だと想像するのは容易いです。
    その逃げ場のない懸命さにつけこんだ労働力搾取が一番の問題で、日本人が嫌がる仕事をさせ、安い賃金で使い倒すという状態がまかり通っています。
    一時の奴隷のような状況は脱しているようですが、そもそも人間としてよりも労働力としてカウントしている事には変わりない状況です。
    これから始まる介護現場への外国人労働者の受け入れについても、介護という過酷な仕事の待遇改善をして若者を呼び込むのではなく、手っ取り早く安価な労働力を投入する。それによって業界全体のディスカウントが始まって、いずれ労働力供給国の経済が成長した際には日本に魅力を感じなくなって誰も来てくれなくなる。そして残された介護現場初め日本人が居なくなった職種は崩壊してしまうのでしょう。
    労働力の取り合いになる事が予想される未来が既に分かっているのであれば、日本に定着したいと思ってくれる人材をしっかり確保出来るように、まず国が正面から向き合わなければいけない重要課題だと思います。

  • 日本語学校への留学という名の労働力確保という現状がよくわかる。
    コンビニ弁当を担っているのは留学生。
    扉は閉じていて、窓は開けっ放しの国。
    日本初の喫茶店を開いたのは中国人。
    ハイカラ文化を生み出したのは中国人。
    10年後にはアジア全体が高齢化に向かう。その時に人材不足がアジア全体で起きる可能性がある。
    村への移住策が英訳され、世界中からといあわせ。

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著者プロフィール

九州5県で朝刊約50万部、福岡県内で夕刊約5万部を発行するブロック紙。1877(明治10)年、国内最後の内戦となった西南戦争の戦況を報じた「筑紫新聞」を源流に、「めさまし新聞」「筑紫新報」を経て1880(明治13)年に「福岡日日新聞」を設立。1942(昭和17)年に「九州日報」と合併して「西日本新聞」となった。2017年に創刊140周年を迎えた。福岡と北九州に本社、東京と大阪に支社、取材拠点となる総支局・通信部は国内45カ所、海外5カ所(駐在含む)にある。本書の基となったキャンペーン報道「新 移民時代」の取材班は、本社社会部、政経部(旧都市圏総局、経済部)、東京支社などの記者や海外特派員たちで編成。写真デザイン部(旧写真部、デザイン部)も携わった。一連の連載は2017年11月、第17回「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」草の根民主主義部門で大賞を受賞。2018年1月には第22回新聞労連ジャーナリズム大賞優秀賞を受賞した。

「2020年 『【増補】新 移民時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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