黒海の歴史――ユーラシア地政学の要諦における文明世界 (世界歴史叢書)
- 明石書店 (2017年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750344744
作品紹介・あらすじ
有史以来、文明と野蛮の物語が交錯する舞台となってきた「黒海」。民族、国民、そして歴史をめぐるそのリアリティをえぐり、モンゴルから、地中海世界までも視野に入れ、ユーラシアの諸政体がぶつかり合う地政学上の要衝・環黒海地域の複雑なダイナミズムを描き出す。
感想・レビュー・書評
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特に、p.173からのトレビゾンド-コムネノスの帝国、と、「オスマン帝国と黒海」の章が個人的には有益だった。トレビゾンドはローマの後継を称しながら、中身は変幻自在。後背地の牧畜経営と交易の中継地として栄えながら、外交政策としては、周囲のトルコ諸侯との積極的な通婚政策をとった、と。/1460年代の短い間、ヨーロッパ各地でコンスタンティノープルをムスリムから奪還するという壮大な計画でヨーロッパの指導者たちを魅了したルドヴィコ・ダ・ボローニャについてはもっと知りたいと思った。/オスマン時代のカッファ、カッファのみならず黒海沿岸の港町の富の源泉は人身売買であったこと/黒海の本来の状態とはそもそも不安定なもので、生物が生存可能な比較的薄い表層水が、巨大な硫化水素の上に乗っかっている形である ...沿岸国の黒海開発競争が黒海の死の始まりに/黒海沿岸コミュニティは過去最大規模の環境的経済的社会的な危機に直面。20cの終わりに至り、黒海は所有するにふさわしい恵みであるとはもはや明確に言えなくなった/1990年に沿岸諸国と近隣諸国が新たなフォーラム 黒海経済協力機構 BSEC トルコ主導で設立。歴史上初めて沿岸諸国が征服や非公式な商業ネットワークによってではなく、海をその中心にして安全で協力的な地域を作り出そうとする政治指導者の努力で結びつけられることに/
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