- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784657200143
作品紹介・あらすじ
村上春樹氏のインタビューを所収!
日本記者クラブ賞に輝いた文芸記者の著者が、動物を手がかりに村上文学の森に深く分け入る デビュー作の『風の歌を聴け』から『猫を棄てる』までを貫く核心のテーマとは―。 好評を博した新聞連載記事を大幅加筆した待望の決定版!
感想・レビュー・書評
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村上春樹の小説に多出する動物たちをキーワードに、村上作品の本質に迫る名著。
読みにくくはないが、タイトルと新書という気楽さからイメージされるような軽さはない。
村上春樹の小説に描かれる悪や暴力が、善と対立するものではなく、読者である我々、村上春樹自身の中に内在するものであり、殊更に暴力が残酷に描かれるのは、読み手の僕ら自身に痛みをリアルに感じさせるためであること。
村上文学を貫くのは「戦争」をはじめとする近代日本社会への「歴史意識」であること、だから、超初期から執拗に中国について書き続けていること、それは父親が背負った歴史を引き継いでいること。
頭に残ったのはこの点を明文化していることで、動物はあくまで触媒的なものなのだった。
早稲田大学出版部の本で、早稲田のギャラリーで購入したため、著者の署名入りであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エッセイとして軽い気持ちで読むのなら良いのかもしれないが、私には合わなかった。
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動物誌ということで村上作品に登場する動物たちを紹介しているが、その内容は動物たちをキーワードにして作品を読み解くもの。
読んでいながら内容を忘れている箇所も多く、思い出しながら読んだり、未読の本については読みたくなった。ただ読んでいない本に関しても十分面白く読めた。 -
ヒツジと近代に関する考察など一部に「へー」はあるが、他はおおむねタイトル通りでまさに「動物誌」。一つ一つが短いので、もっと掘り下げてもらいたかった。と感じていたところ、あとがきを読むと新聞の連載をまとめたものだという。
これまでの経験として、新聞の記事を書籍化して、成功するのは難しいと思う。賞味期限、読者層、文体などの方向性が異なるからだ。