虫ぎらいはなおるかな? (世界をカエル)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652203095

作品紹介・あらすじ

虫ぎらいを克服したいと願っている文筆家・イラストレーターの金井真紀が、昆虫館の飼育係、虫のアーティスト、ナチュラリスト、教育学者など、虫の達人にインタビュー。はたして、虫ぎらい歴四十年あまり……はなおるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 虫好きの人たちはみな
    無理に虫に触らそうとしないのがいいね
    虫=可愛い=好きになってほしい=無理強いしない
    まっとうな好きのやり方です
    その優しさの中でも
    著者の虫嫌いはなかなか手ごわく
    相手の申し訳ない と思う気持ちがあっても
    手が動かない・・・という葛藤がコミカルです

  • 私は虫好きだが、嫌いな人がどう克服するか興味があったので、読んでみた。
    読んでみてまず、この著者は、素敵な人であると思った。
    世の中、「〇〇嫌い」という人はたくさんいるが、「なぜ嫌いなんだろう」「できれば好きになりたい」と思う人はごく少数。大抵は「嫌いなものは嫌い」と改めようなんて微塵も思わないばかりか、「〇〇が好きなんてどうかしてる」と攻撃したり、「〇〇なんていなくなればいい」とさえ思っている。
    著者はこの世の多様性を受け入れよう、わけもわからず排除するのはやめよう、という信念があり、それを実践するために、とりあえず苦手な虫を選んだのだろう。
    で、虫が好きな人を訪ねて、自分と向き合うのだが、相手が昆虫学者だけじゃないところがとてもいい。虫と子どもの関係を研究している発達心理学者、虫のオブジェを作る芸術家、「こわい」を研究する心理学者、害虫駆除の研究者など。この人選をした編集者は素晴らしい。
    どの人の言葉も印象に残るものがあった。
    子どもは虫を殺すことで「死」を学習する。「殺しちゃう、という体験は虫が相手だからできるんです。」(P23藤崎亜由子)確かに私も幼い頃、蟻の巣に水を流し込んだり、カナブンを父のピース缶に詰め込んだりという意図的なものから、蝶やバッタやセミを捕まえて、籠に入れたまま放置という無意識的なものまで、さんざん虫を殺した。死骸を見たとき、後ろめたい思いをした。
    虫と触れ合うのは、自然や科学に興味を持つ役割以前に、「生と死」を感じさせるものなんだな。科学(理科)ができなくても生きていけるが、「生と死」を考えることは必要な経験だ。
    ラジオの子ども電話相談で昆虫担当の久留飛先生もいいこと言ってた。「虫は長生きできんのや。それをかわいそうって思うかもしらんけど、にんげんとは生き方が違うんやなあ。」(P27)違う生き方を受け入れるって大事だ。

    虫嫌いを克服したいと思っている人はあまりいないかもしれないが、「自分とは反対人の話を聞いてみる」「そもそもなぜを考える」ということの大切さがわかる本なので、虫に興味がない人にもおすすめしたい。
    たった一点反論したいのは、「虫が好きかきらいかを決めるのは親」(P46)という奥山英治さんの意見。うちは私が虫好き、夫は普通(田舎育ちなので、虫がいるのが当たり前、好き嫌いはない。)だが、娘は口をききはじめる1・2歳の頃から「むち(虫)っ!」と逃げ回り、私が捕まえて可愛いよ、面白いよ、綺麗だよと何度も言い聞かせ、虫取りにも連れて行ったけど、虫好きにはならなかった。見るのもダメという程ではないが、凝視するのはダメ、触りたくもないらしい。私の子どもなのに不思議だが、「生理的嫌悪」というのは生まれ持ってあるのではないかと思う。(人によって違う。)しかし、「虫が好きなんてどうかしてる」とは言わないし、虫グッズを見て「お母さん好きそう」と教えてくれたりするから、そこは私の教育の成果なのかもね。(自画自賛)

  • 世界はフムフムで満ちている 達人観察図鑑
    で著者を知りました
    やはりモワワンとして お人柄に惹かれます

    「虫ぎらい」
    でも目の敵にせず
    なんとか「好き」は無理でもと奮闘する

    イラストがかわいくて
    力が抜けてて読みやすい

    私も「虫ぎらい」の一人かもしれないけれど
    殺虫剤売り場に行くと慄然とする
    ここまで憎むかと
    せめてゆるーく共生したい

    楽しく読みました

    ≪ 複眼が なければけっこう かわいいよ ≫

  • 虫ぎらいの筆者がいろいろな人から虫の話をきいて、虫ぎらいを克服しようとする一冊。

    かわいいイラストもあり、エッセイのような文体なので、堅苦しくなく、気楽に読めます。
    インタビューも虫の専門家だけに話を聞いているわけではないので、多角的な視点から虫について考えることができます。

    虫ぎらいではあるけれど、調べることで少しでも面白がったり、興味を持って接することができるようになりたいという気持ちが、知識欲としては正しいし、美しいなと思いました。

    最後の取材を終えてに、
    “人をしあわせにするのは「きらい」じゃないんだ、「好き」なんだ。"
    とあったのが、非常に印象的でした。

  • 若者向けのシリーズ本ではあるようですが、
    大人も気づきを得られる良い本です。

    虫ぎらいな著者が虫ぎらいを克服するため、
    虫と様々な形で関わっている7人の人と出会い、
    虫について知っていく、という話。

    なぜ虫が嫌いなのか、なぜ不快に感じるのか。

    虫と関わる7人の話を聞くうちに、
    虫側の問題ではなく、人間側の問題であることが分かってきます。

    相手をよく知らないから。
    相手が何を考えているかわからないから。
    相手が自分の領域に堂々と入ってくるから。

    虫に限らず、苦手なものがある人には、
    ハッとさせられる本です。

  • 虫ぎらいの著者が、コンナコトデハイカン、地球の大先輩に敬意を表せるようにならなくては!と奮起して、各地の昆虫マスターにお話を聞きに行く。果たして?

    マスター・藤崎亜由子(幼稚園の先生)
    虫ぎらいは幼稚園年長女子から、あらわれる。
    子どもは死を虫を通して体験する。

    マスター・くるびかつあき(こども科学電話相談室)
    小学校3年生までは、虫を好きでいてほしい。

    マスター・奥山英治(野生生物研究所)
    虫が好きか嫌いかを決めるのは親。
    アメンボはアメの匂いがするから。→飴と雨の勘違いな気がする?あとで、調べる。→確認。「飴」だって!
    ハイイロチョッキリ、声に出したい。→私も!

    マスター・奥村巴菜(昆虫モチーフアーティスト)
    虫と、虫が嫌いな人を繋ぐ役目が出来たらいいな。
    「私たちは、私たちのフィルターを通して見える、この愛すべき世界を伝えたいのだ。」
    →作品見た。愛嬌のある昆虫たち!

    マスター・瀬戸口明久(害虫博士)
    ゴキはかつて、豊かさの象徴だった。
    江戸の時代くらいまでは、「虫」=「昆虫」ではなく、「虫」=「たたり」のようなものだった。虫送りなど。

    マスター・河合信幸(認知科学の専門家)
    ヒトは生まれながらにしてヘビが怖い。恐怖が人の脳をデカくしたという仮説。
    「恐怖」と「嫌悪」は違う。

    マスターへの道。昆虫園にいく。
    「虫好きの聖地」=「虫嫌いの地獄」

    マスター・古川沙織(飼育員)
    虫たちは仕事仲間。

    虫嫌いは治らなかったけど、近しいものに感じられるようになっておられた。
    私はゴキだけはムリなのだが、世界中からいなくなれば良いと思わないよう気をつけよう。そう、距離感が大切なのよ。たぶん。

  • 虫嫌い克服のため、虫とのより良い関係を探ります。虫と関わる専門家たちに、知らない事をいっぱい教えてもらえるおもしろい本です。
    (カウンター担当/bee)

  • 虫ぎらいについて考えることは、人間の認知について考えることだった。面白い。

  • 内容:
    「長いあいだ、心に蓋をして生きてきた。ときどき「虫が大好き」なんて人に会うと、羨ましいなぁと思いながらも、この問題に深入りしないよう気をつけた……。
    虫ぎらいを克服したいと願っている文筆家・イラストレーターの金井真紀さんが、昆虫館の飼育係、虫のアーティスト、ナチュラリスト、教育学者など、虫の達人にインタビューしながら、虫との付き合い方を模索する本。はたして、虫ぎらい歴四十年……は、なおるのか?

    河野通和さん(ほぼ日の学校長・「考える人」前編集長)推薦!「きらい」を打ち消すことはできなくても、識れば向こう側に「橋」を架けることはできるはず。

    おはなしを聞かせてくれた方々

    * 虫好きと虫ぎらいの分岐点を調査する教育学者 藤崎亜由子さん
    * NHKラジオ「子ども科学電話相談」の名物回答者 久留飛克明さん
    *『虫と遊ぶ12ヶ月』の著者で野遊びの達人 奥山英治さん
    * ツノゼミやゾウムシをモチーフにする芸術家 奥村巴菜さん
    *『害虫の誕生』の著者で科学史の専門家 瀬戸口明久さん
    *「こわい」の心理を分析する認知科学者 川合伸幸さん
    * 多摩動物公園の昆虫園ではたらく飼育員 古川紗織さん」

  • 金井さんの本は、いつもフラットで友だちの日記ようで楽しい。虫もともに暮らす隣人としてとらえて、差別しないぞという意志を感じるが、でもやっぱ7人色んな人に話し聞きに行ってもそう簡単に虫は好きになれないもんだな。
    虫好きなみなさんがこぞって観察を口にするのも興味深かった。観察するうちにだんだん好きになる。人もそうなんだろうか?いまいちピンとこないような気もするが。観察したいと思う何かがそもそもあるかどうかって感じだけど、ニワトリタマゴかも。

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著者プロフィール

1974年千葉県生まれ。文筆家・イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を任務とする。著書に『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)、『世界はフムフムで満ちている』(ちくま文庫)、『日本に住んでる世界のひと』(大和書房)、『おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行』(岩波書店)など。難民・移民フェス実行委員。

「2024年 『それはわたしが外国人だから?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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