墓石が語る江戸時代: 大名・庶民の墓事情 (歴史文化ライブラリー 464)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642058643

作品紹介・あらすじ

自らの想いや願いを石に刻むことが流行し、さまざまな石造物が作られた江戸時代。当時の墓(はか)石(いし)からは、いかなる社会が見えてくるのか。丹念なフィールドワークから、飢饉や疫病などの歴史災害、階層や家族など身分制社会の在り方、大名家の見栄と建前、海運によるヒト・モノ・情報の交流に迫る。墓の無縁化が進む現代に、墓石文化の重要性を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代に普及した、墓石から見えてくる生活や社会を考える。
    ・「石に刻まれた歴史」を読み解くープロローグ
    ・墓=墓石ではない!  ・墓石から何が分かるか?
    ・墓石からわかる歴史災害  ・墓石に見る社会構造
    ・大名墓に込められた思い
    ・墓石に現れたヒト・モノ・情報の交流
    ・「墓石文化」を考えるーエピローグ
    モノクロ画像有り。参考文献は文中に適宜あり。
    北海道から沖縄まで調査した墓石は悉皆調査だけで、約3万基。
    被供養者数にして、6万人以上。墓石には歴史が刻まれている。
    全国的に普及した墓石からわかった、歴史や災害、生活、
    大名家から庶民までの身分との関係等を語り、考察しています。
    墓石の登場は平安末期。高僧の五輪塔の出現が始まりとの事。
    戦国時代の頃から庶民の供養塔や石仏が出現し、
    墓石へと成った歴史。そして現代の墓事情についても。
    興味惹かれたのは、悉皆調査の方法。
    調査票や高照度の懐中電灯等の七つ道具。片栗粉使用には驚き。
    墓石の形状や材質等の非文字情報では、時期や地域による
    形の流行がわかります。代表的な墓石の一覧の図が嬉しい。
    戒名や死亡時期の文字情報では、庶民でも苗字を入れた墓石が
    あったり、海運の関連の地では出身地を入れたりすることが
    わかります。蝦夷地での埋葬事情も興味深い。
    そして、寺の過去帳と悉皆調査を付け合わすことで、
    飢饉や疫病、災害の死者数が浮かび上がることも。
    更に、参勤交代によって、大名は国元と江戸、高野山奥之院に
    墓がある・・・身分ある人の墓は規模も大きくて管理が大変そう。
    墓石にもいろいろな歴史や文化があるんだと、しみじみ。
    現代に先んじてある、個性的な墓や動物の墓は見てみたいなぁ。

  • 何の気なしに手に取ったがこれはおもしろい。
    古墳や墳墓ではなくて身近に見かける墓石も考古資料である、という発想がなかった。
    墓石に刻まれた文字はその性質からくずし文字ではないので読みやすい、とのことでまずなるほど!と思い、拓本ではなくて片栗粉で文字を浮かび上がらせる「片栗粉法」などにも、思わず「おお!」と感心。満足満足。

  • ふむ

  • 東2法経図・6F開架 385.6A/Se36h//K

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著者プロフィール

1965年 埼玉県に生まれる 1992年 東北大学大学院文学研究科博士後期三年の課程中退 現在 弘前大学教授(人文社会・教育学系)博士(文学) ※2022年6月現在
【主要著書】『墓石が語る江戸時代』(吉川弘文館、2018年)、『モノから見たアイヌ文化史』(吉川弘文館、2016年)、『中近世の蝦夷地と北方交易』(吉川弘文館、2014年)『週刊日本の歴史四九号(旧石器・縄文)』(朝日新聞出版、2014年)『松前の墓石から見た近世日本』(北海道出版企画センター、2012年)

「2022年 『アイヌ文化史辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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