大人のための社会科 -- 未来を語るために

  • 有斐閣
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本棚登録 : 448
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641149205

作品紹介・あらすじ

気鋭の社会科学者が,日本社会を12のキーワードから解きほぐし,未来への方向性を示す。「反知性主義」が幅をきかせる時代において,私たちがきちんと考え,将来を語り合うための共通の理解,土台となりうる「大人のための教科書」の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 大学教授等の専門家が、現代社会での事柄について、上から目線で述べたもの。本書作成の発想はとても良いと思うが、共著となっているので章によって、質にばらつきがあり、感動的な内容がある一方、読むに堪えない稚拙な部分もある。特に松沢氏の意見は、左翼的で賛同しかねる箇所が多く、また下から目線で本書作成方針に反すると思う。
    「シェアリングが広まれば、人生の生活水準は上がりますが、GDPは上がりません。物を大切に使うことや、再利用に努めることも、やはりGDPを上げません。エコロジカルな暮らし方はGDPの上昇には結びつきにくい傾向があります」p15
    「(勤労)まじめに労働にいそしむことを大切にする考え方は、日本人の伝統的な道徳観や倫理観とかかわていた」p31
    「伝統的な相互扶助(ムラ社会)に代わって国家が教育や社会保障を担い、個人を伝統的な社会的結びつきから解放し、自らの意志で職業を選択することを可能にした」p107
    「「社会問題の個人化」こそが、私たちの問題を、私たちの力で解決する民主主義を困難にしているように思えてなりません」p109
    「(トクヴィル)個人の抽象的「人権」という理念に基づく改革は、むしろ社会の解体をもたらす危険がある」p110

  • 高校生でも十分に読める易しい語り口で、論点がすっきりと整理されている本。学問を通じて「世の中をちょっとでもましなものにしたい」という思いが前面に表れていて、好感が持てる。
    表紙もgood。

  • 現代社会の抱える課題について、経済学・歴史学・政治学・社会学の視点から考えている作品です。

    経済成長の基準とされる「GDP」について、その数値が示すものの意味と、GDP値を上昇させることの意味。
    また、日本において根深く残る「勤労」感(働かざる者食うべからず、として貧困層をかれらの努力不足と断じる姿勢など)がどのように醸成されてきたのか。
    多数決で物事を決定してゆく民主主義が抱えているシステム的な「課題」や、また「社会福祉」として行われる弱者救済が「人びとのニーズ」に合致しなければならないことなど、「これから先の社会」を考える前提としての「現代の社会」について、どのような仕組みで動いているのか、その歴史的な変遷をも含めて解説されている前半部分はとてもわかりやすく、大きな学びとなりました。

    後半の記述の内、「11章 公」の章は少し議論が抽象的・概念的なものとなり、読みづらい印象ではありました。

    「希望」とは単純な楽観主義ではありませんが、現在の社会状況を正確に把握し、構成員の多くが納得できる形で「より良い社会」へと更新してゆくために何ができるのか、を考えるきっかけを与えてくれる書籍です。

  • 日本の大人として押さえておくべき現代社会のポイント、および、現代社会の形成に至る過程におけるポイントを、非常に平易な言葉でわかりやすく解説した本です。

    自分は、図書館で借りて読んだので、「ぐずぐず言わずに考えろ!」という帯は、このレビューを書く際に、初めて知りました。

    この本の中身は、決して高圧的なものではなく、「みんなで一緒に、これからの社会について考えていこうよ」という雰囲気であり、友好的で紳士的です。

    いわゆる社会科の勉強は、とっても大切なのですが、子供の頃は、知識も経験も少なく、世界も狭いので、ピンとこないことが多かった気がします。
    しかし、大人になってから、社会科の勉強を振り返ると、とっても役立つことが多いように思います。
    この本は、改めて、そのことに気付かせてくれる本だと思います。

  • 国が生まれた理由について、アリストテレスは、我々が生存するための必要によるものであったが、今やそれは我々の生活を良くすることにあると言いました
    歴史的な賃金の下落圧力
    技術革新やグローバル化の影響も大きなものでした。ITの発展は様々な仕事を陳腐化させました。

  • 社会の一員として、私たちの問題を私たちで考え、決め、動かして行く人が、大人だとわかった。

    ・情報を盲信せず、自分の頭で考え判断すること
    ・変化を捉えるためには過去を理解すること
    ・人は忘れ、解釈も変わる、だからこそ事実を記録に残すこと
    ・一分野に固執せず、視野を広く保つこと

    社会で生きていく上で大事なことぎゅっと詰まってた。

  • ポピュリズムに危機感を持つ「大衆」が読むのにちょうどよい本。
    答えを示してくれるわけではないが、それこそが答え。
    各人が考えるべし。それが「社会人」の本来の意味ではないか。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/688282

  • 勉強になる。
    わかりやすくしようという意図がとても感じられた。

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2022年 『財政社会学とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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