- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635330749
感想・レビュー・書評
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黒部源流の山小屋の、小屋開けから小屋閉めまでの日々を、
ほのぼのとしたイラストと共に描く、エッセイ。
・黒部源流概念図 ・薬師沢小屋見取り図
・はじめに
第一章 黒部源流のこと 第二章 薬師沢小屋開け
第三章 ハイシーズン到来 第四章 秋の源流と小屋閉め
・おわりに 参考文献有り。
著者によるイラストや写真多数掲載。
山小屋での暮らしは旅のようだと働く著者の日々。
小屋番、中期・長期の従業員の仕事と日常、ハイシーズン。
水、電気と電波、食事、布団、登山道整備など。
動物たちとの攻防戦は、特にクマとネズミが凄まじい。
経営者のバックアップや常連さん、居候の助力に感謝。
ヘリでの物資輸送やバイオトイレは現代の姿だなぁ。
そして自然の壮大さと気まぐれの激しさ。
山小屋で働く人たちの仕事に興味を持っての読書です。
言わば裏方さんたちの、大変さが伝わってきますが、
著者にとっては世界で一番好きな場所なのですね。
なんたって12回も働きに行っているんだもの。
イワナやヤマネの話、遭難事故と山岳救助隊など、
黒部源流という場所の様々な事が盛り沢山で良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黒部川源流といえば山深いエリアで魅力に溢れている。私も一度行ってみたいと思っているけどなかなか行く機会に恵まれず憧れている。
夏は薬師沢小屋とゆう山小屋で仕事して、冬は下界でイラストレーターをして暮らしているとか、なんとも羨ましくなるようなライフスタイル。
山小屋の仕事は大変そうだけど、ヤマネが鈍臭くって憎めない可愛いさがあるそうで見てみたい。 -
夏から秋の間だけ開く薬師沢小屋で働く著者は書く。「山小屋の暮らしはまるで旅のようだ。毎日、何が起こるかわからない。シーズンになれば、お客さんが入れ代わり立ち代わりやって来て、旅に出ずとも旅がやって来る、そんな感じだ。」
山小屋は自然に囲まれたのんびりした時間を味わえる場所ではあるが、働く人にとってはたくさんの登山客に忙殺され不便を工夫しながら狭い空間で少人数で過ごすところでもある。そこで必要とされるのは働く仲間とのささやかな積み重ねだという。
「自分のことよりも相手のことをまず考える気持ち。それを当たり前だと慣れてしまわない、ありがとう、という感謝の気持ち。人の悪口をいわないこと。朝の「おはよう」の挨拶。みんなでおいしいね、と一緒にご飯を食べる幸せ。」
自然の美しさと厳しさの中で多忙な夏を乗り越えて秋の終わりを迎える。濃密な時間を過ごしたのちに今年も小屋を閉めて山を降りる。そのときのさびしさと清々しさに想いを馳せた。
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イラストや漫画、文章が合わさったエッセイ。
北アルプスの黒部川側にある薬師沢小屋で働く著者。
そこには様々な人がやってきて色々なことが起こる。
そして何よりも大自然。
「旅に出ずとも旅がやってくる」その場所での暮らしとは。
自宅でGと闘うよりはるかに大変なようにも思えるが、それを上回る素晴らしさがあるのだろう。
ヨーグルトで溺れたヤマネがしばらくお腹を下していたというのが面白い。
自然は偉大で脅威。季節限定であってもそこで暮らせるのがすごい。
自分は行けないと思うからこそ、その様子が想像できる本は楽しい。 -
充実していて、そして人生を楽しんでいます。
イワナたちも、ヤマネさんもみなさんが一緒です。
「神様たちの遊ぶ庭」のあとに、これだ、と思って勢いで読みました。
自然に囲まれた暮らしに憧れます。
イラストがほのぼのしていて癒されます。 -
本書は、最近ヤマケイ文庫になったが、その際に一章追加されたらしい。
こちらは旧版。
山を好きのイラストレーターが、黒部源流部の山小屋で働く暮らしを、イラストとエッセイで綴る。
山に詳しい方ならこの場所の厳しさについて言及できるのだろうが、私が読み取れるのは、厳しくも美しい山小屋で過ごす濃密な時間。
私が山をやる人だったら、本書を読んだら彼女に会いに薬師寺小屋まで出かけていたかもしれない。
作者の名前は大和景子さん。
一文字足したら「やまとけいこ く」だななんてことを思った。 -
かわいいイラストと軽快な文章で、あっという間に読めました。
お食事が美味しそうで、山小屋に行ってみたくなった。 -
登山で宿泊をしたことはないけど、これを読んで山小屋に泊まってみたくなった。
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黒部源流にある薬師沢小屋。6月から9月まで12年連続この山小屋で働くイラストレーターが描く、情緒豊かな黒部源流の四季。
標高1920mの薬師沢小屋は山小屋としては珍しくすぐ横を黒部源流が流れる。小屋の開くのは毎年6月から9月の末まで。
黒部の風景に惚れ込んだイラストレーターがこの小屋で働くようになってから12年。山小屋を取り巻く自然環境と訪れる多くの登山者。多様なエピソードが楽しめる。
食材の輸送は歩荷(ボッカ)のほかヘリ輸送が年に3回。特に山開きの際の搬送は少ない人数で急いで荷物を片付けピストン輸送の次の便のスペースを開けなければならない。またハイシーズンに食材が不足しカレーが次第に薄まったり缶詰ばかりになったりすることもあるという。
なんと言っても山小屋は大自然の中にある。フトンにヤマネが入ってくることもあるし、食材を狙ったノネズミとの戦い。冬の間にテンやクマが小屋に入り込み、片っぱしから食料を漁っていくこともある。人の食材の味を覚えてしまったクマはヒトとは共存できない運命。
美しい自然を描く一方で時に悲しい事故もある。時に捜索に時間を要する山岳遭難。なぜか親族や親しい人が探すと出てくることがあるという。
薬師岳では1963年にサンパチ豪雪で愛知大山岳部学生13名全員が死亡した大量遭難があったという。
本書は何よりもイラストが魅力。筆者が惚れ込んだ土地を描くだけあって魅力的なイラストが満載。
よほどの山好きな人以外なかなか行けない小屋ではあるが、山の魅力を余す所なく伝えた楽しい1冊。読めば山に行きたくなること間違いなしです。 -
やまねがヨーグルトに落ちて溺れているのには笑ってしまった。かわいい。