- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635320146
作品紹介・あらすじ
マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長年にわたって取材し、書き下ろした実話譚。
感想・レビュー・書評
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白神山地で熊を狩るマタギが体験した様々な不思議。
一話目がいきなり怖かったです…。
自然に畏敬を抱き、掟を作りそれらを守ることで共存する生き方はシンプルで力強く、様々な理由で失われていくのがとても残念に感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マタギはあまり地元では話を聞いたことがなくて、面白かった。白神山地の情景が浮かぶ。里山イニシアチブとか、SDGsなんて言葉のもっとずっと前から続く文化の話は、奥行きがあって良かった。
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最後の老マタギの話は、自然との共存共生という事について考えさせられた。古くからマタギのオキテは自然と共存していくための知恵だったのだろう。ただのハンターではなく、自然を知り敬意を払い、人間と自然の調整役として存在した。
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マタギの話そのものというより、マタギ間の怪談?の拾遺集。
民俗学として、または近代版遠野物語として良。
最終章のマタギが入らないと山が荒れる、の下りはレンジャー(自然保護)としての山岳文化として興味深い。 -
マタギ達と山の神さまについて書かれた内容で、あっという間に読み終えた。東北地方、特に馴染みのある白神山地や暗門の滝、鯵ヶ沢町といった地名も出てきて、以前訪れたときのことを思い出した。山や自然に対する感謝の気持ち、畏敬をあらためて感じた。
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熊を獲りすぎない、キノコを根こそぎ採ってしまわない、そうやって人間と山のバランスをとりながら生きる。のみならず、そうすることが山をメンテナンスすることにもなる、人を入れないようにしてしまうと逆に山が廃れる、という最後の章で語られていたことは印象的。
人間が自然の中で調整役を果たすということがあり得るのだろうか。いわば山と人間がお互いに頼りあう共存関係。ちょっと信じがたいが、マタギの歴史が先年も続く中でそのような特殊な関係が出来上がったのかも知れない。だとすればそれは人類の目指す先にもなり得る凄いことになのに、マタギ文化が消え行くのは残念。 -
やや散漫だけど面白く読んだ。
マタギの知り合いはいないけど、
やっぱり山を畏怖する気持ちは強いから
お手軽なアウトドアや山登りには
未だに違和感。
神様は確かにいるだろうな〜と思うし、
それを信じて真摯に生きる人が
長く続いてほしいんだけども。 -
マタギの山での考え方や言い伝えと、それらが生まれた謂われが紹介されている。 本の終わりで、白神山地の老マタギが、同地が世界遺産に指定されることへの不安を語っている。 国は誰も人を入れないことで自然を守れると考えているが、それでは動物が増え山が荒廃してしまうため、マタギの調整が必要である。それを知らず知ろうともせず、机の上で考えているから見当違いなことをするのだ、と。 マタギは山の調整役なのだ。 老マタギの話を聞き、マタギの営為を行政に結びつける調整役こそが、今求められるだろうと感じた。
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秋田や青森の猟師をマタギと言うのかな、日本に古くから伝わる伝統が絶えてしまったのは悲しい。それに自然を守ろうとしてやってることがかえって破壊に繋がるというか、白神山地はまさに人間と共存してたんだ。最初のホラーチックな話やクマの話とかも面白い。