マタギ 矢口高雄 (ヤマケイ文庫)

著者 :
  • 山と渓谷社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (834ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635048415

感想・レビュー・書評

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  • 矢口高雄氏の傑作。言葉にならないほど感動してしまった。今では村の過疎化で激減してしまったマタギたちと大自然の物語。現在ではクマの被害が頻繁になっているがマタギたちがいなくなったのにも原因があるのかもしれない。自然に敬意を払い命をいただく。そこに崇高なるものを見ました。矢口氏の作品は「釣りキチ三平」しか知らなかったが、こんな大傑作を書かれていたとは!実はこの本、図書館で借りたもの。見る目ありますね!

    • ことぶきジローさん
      同じヤマケイ文庫から『羆風』『爪王』という分厚い作品が出ています。
      同じヤマケイ文庫から『羆風』『爪王』という分厚い作品が出ています。
      2018/08/03
  • 奥羽山脈の山里で、様々な野生動物と対峙するマタギたちの物語。

    これまでにアイヌの熊打ちに関する書籍はいくつか読んだことがあるんですけど、東北マタギのツキノワグマ狩りの事はほとんど何も知らなかったので、とても興味深く読みました。
    単なる狩猟技術の継承にとどまらず、「流派」や「信仰」の域にまで達しているマタギ独自の精神性……すごいなあ、もっと詳しく知りたいなあ。

    全9章が収録されていますが、やはり「野いちご落し」が圧巻。次いで「オコゼの祈り」が切なくて切なくて。そして「樹氷」に度肝を抜かれました。

    【目次】
    章之壱・野いちご落し
    章之弐・怜悧の果て
    章之参・オコゼの祈り
    章之肆・勢子の源五郎
    章之伍・アマッポ
    章之陸・行者返し
    章之漆・寒立ち
    終 章・樹氷
    別 章・最後の鷹匠

  • ああ、面白かった!

    『野いちご落し』『怜悧の果て』『オコゼの祈り』
    『勢子の源五郎』『アマッポ』『行者返し』『寒立ち』
    『樹氷』『最後の鷹匠』の9章を収録。
    特に『野イチゴ落し』はラストも含めて物語の完成度が高いと感じた。

    不条理とも思える大自然のルールの中で、
    狩人であるマタギたちは、
    自然への畏敬の心を持ちながら野生生物の狩猟を行う。

    秋田の雪山で熊を狩るマタギたちには厳しいルールがあり、
    言葉遣いから行動まで独特の文化があり、
    厳しい自然のなかを風や地形を読みながら、
    巧みに動き回る姿は現代の忍者のよう。

    西洋的な考え方だと、
    自然は「克服すべきもの」という宗教観があるが、
    マタギの世界では、山の神様に対して、
    人間を含めた生き物はすべて平等である、
    という考え方が根底にある。

    1975年から76年に書かれたものだが、
    それから40年以上たった現在の秋田の獣害の現状を
    予言するかのような内容に驚く。

  • 矢口高雄『マタギ』ヤマケイ文庫。

    よくぞやってくれました、ヤマケイ文庫!第5回日本漫画家協会賞大賞受賞作の復刊。復刊に際し、『最後の鷹匠』を収録。800ページを超えるボリュームは読み応えがあり、面白い。いずれの短編も、日本古来の伝統狩猟を継承して来た奥羽山脈の山里に暮らすマタギの独自文化と知恵、大自然への畏怖や敬愛がページの隅々にまで描かれている。

    『野いちご落し』『怜悧の果て』『オコゼの祈り』『勢子の源五郎』『アマッポ』『行者返し』『寒立ち』。『樹氷』『最後の鷹匠』の9編に、エッセイ『「マタギ」の想い出』と『あとがき』を収録。

  • リアルな話かと思って読んでいると、徐々にファンタジー色が濃くなり、最後はとんでもない展開に。

    自然の中での人間という存在について考えさせられる。サスティナビリティが叫ばれる今だからこそ読むべき一冊。

  • 1975年に打ち切りになった前作『マタギ列伝』。出版社を変えて新たに書きおろされたのが本書『マタギ』。前作の主人公や登場人物に加えて、新たな人物も登場する。前作『マタギ列伝』と比べて、人間や猟師の無知や欲、希少動物の絶滅、自然破壊、動物の親子愛や習性など、扱うテーマのさらなる拡がりを感じる。高度経済成長、近代化の波、過疎化といった連載当時の時代背景も関係していると思われる。また、どことなく椋鳩十氏も彷彿とさせられる動物たちに向けられる温かい眼差しも感じられる。昭和51(1976)年の第5回日本漫画家協会賞大賞(グランプリ)を受賞作品。

  • コミックながらズッシリとくる...!

    ただ楽しい、素晴らしい、ではなく残酷で切なかったり、複雑な思いなエピソードもあったりと、読者に色々考える機会を与えてくれる一冊でした。

    狩りとは何か、、、。物が溢れスーパーで普通に肉が売られている現代に生きていると、圧倒的人間が優位になる武器「銃器」使っての熊撃ちはひどく残酷であるといった錯覚に一瞬陥る。でもそれは重大な勘違いで当時の山の人間は普通に「生きる」という行動をしていただけで、自然に最大限の感謝を払い、自然の恵みをそれはそれはとても大切にしていた。

    マタギの文化、知恵、思想、北東北の自然を教えてくれる一冊でした。

  • 阿仁マタギの話

  • 野いちご落し
    怜悧の果て
    オコゼの祈り
    勢子の源五郎
    アマッポ
    行者返し
    寒立ち
    樹氷
    最後の鷹匠

    第5回日本漫画家協会賞大賞
    著者:矢口高雄(1939-、横手市、漫画家)

  • 20181210 マンガだから成り立つ話。ノンフィクションと思える力作。一編一編がきっちりとまとまってるので読み飛ばしができない。思ったより読み終わるのに時間がかかったのは一編のおもみのせいだとおもう。

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著者プロフィール

矢口高雄

昭和14年、秋田県雄勝郡西成瀬村(現・横手市)生まれ。高校卒業後、12年間の銀行員生活を経て、30歳で上京し、釣りをテーマにした「鮎」で漫画家デビュー。昭和49年、『釣りキチ三平』『幻の怪蛇バチヘビ』により講談社出版文化賞(児童まんが部門)を受賞。51年、『マタギ』により第5回日本漫画家協会賞大賞を受賞。主な作品に『おらが村』『ふるさと』『平成版釣りキチ三平』、またエッセイ集に『ボクの学校は山と川』『ボクの先生は山と川』など多数。平成7年、秋田県に矢口高雄全作品の原画を収蔵した横手市増田まんが美術館が開館される。令和2年11月死去。

「2021年 『ワイド版 マンガ日本の古典25 奥の細道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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