哲学を回避するアメリカ知識人: プラグマティズムの系譜 (ポイエーシス叢書)

  • 未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624932626

作品紹介・あらすじ

原書は1989年刊。現在は人種問題や民主主義に積極的に発言する知識人として知られるウェストの、初期の学術的専門書。パース、ジェームズ、デューイ、ローティなどのアメリカを代表する知識人たちの言説を系譜学的に整理し、プラグマティズムに流れるヨーロッパ哲学回避の知的伝統がエマソンに由来することを明らかにする。エマソンやローティらの人種問題・政治参加への問題意識の希薄さを批判し、政治参加に積極的な哲学として「預言的プラグマティズム」を掲げるなど、ウェストの現在の知的関心が萌芽としてあらわれている著作。

感想・レビュー・書評

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  • 朝日の柄谷行人の書評から読んでみました。

    プラグマティズムというものがどんなものか理解できてそれは収穫だった。あまり期待していなかったけれど予想に反してかなりいい本だった。かなり興奮する内容です。

    哲学を回避するけれどプラグマティズムが反省(省みること)から自己と学問と世界を帰納的であり総合判断的である思考から改善への配慮を行うという革命思想であるという。それこそが真に哲学だろうと言う内容だった。アメリカの知識人と言えばチョムスキーとかハワード・ジンぐらいしか知らなかったけれどプラグマティズムと言う系譜があることに吃驚した。

    預言的プラグマティズムはマルクスなどにも親近性があるという。アメリカと言えば反共でマルクスなんていったら排除されるだけかと思っていたけれどちゃんと預言的プラグマティズムがあるんだなって知れてよかった。

    アントニオ・グラムシを高く評価している。読んでみようと思った。

    有機的知識人というものは哲学として反省から自己と学問と世界への改善の配慮ある世界を言っているということが書かれている。そういった配慮あるものが有機的であるという。例をあげればツリー構造などは無機的と言えるのかもしれない。僕は建築に縁が少しあって幾らか本を読んだ。フランク・ロイド・ライトと言う建築家が有機的建築と言っている。そういった有機的建築家とは有機的知識人としてあるといえる。それは反省からあると言える。その有機的建築と反省からの哲学の関わりをいくらか研究してみたいと思っている。建築は果たして有機的足り得るのか哲学足り得るのかと反省として有り得るのかいうことを課題としてみたい。

    預言的プラグマティズムとはいいことを知った。

  • 【選書者コメント】タイトルからして面白そうだと思ったから。
    [請求記号]1300:1944

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著者プロフィール

(Cornel West)
1953年生まれ。アメリカ・オクラホマ州出身。17歳でハーヴァード大学に進学、R. ノージック、S. カベルに師事し、卒業後、プリンストン大学大学院で博士号を取得。プリンストン大学時代にはR. ローティのプラグマティズム思想に強い影響を受けた。
ハーヴァード大学、プリンストン大学の教授を歴任し、現在ニューヨークにあるユニオン神学セミナリー教授。アメリカにおける人種問題を歴史学的分析を用いて論じ、また政治活動を活発に行なっていることでも知られる。専門は哲学・政治思想。
著書として『アメリカにおける哲学の回避』(The American Evasion of Philosophy: A Genealogy of Pragmatism, Madison, 1989)、『人種の問題』(Race Matters, Boston, 1993; 山下慶親訳、新教出版社、2008年)、『ブラザー・ウェスト──声を大にして生き、そして愛する』(Brother West: Living and Loving Out Loud, New York, 2009)ほか多数。

「2014年 『民主主義の問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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