発達障害のある人の「ものの見方・考え方」:「コミュニケーション」「感情の理解」「勉強」「仕事」に役立つヒント

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623092895

作品紹介・あらすじ

「発達障害だから」ですませないために、一人ひとりの「くせ」を理解する
私たちは身の回りにある様々なものごとを、頭の中でどのように処理しているのだろうか? 発達障害のある人が感じる生きづらさの背景には、「情報処理の仕方の独特さ」という具体的な要因がある。本書では、そのような独特な「くせ」に注目することで「その人ならではの特徴」を理解し、一人ひとりの日常生活の中でのつまずきに対処するためのヒントを示す。

感想・レビュー・書評

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  • 長らく自分でも言語化できなかった困りごとを平易な言葉で示してもらい、胸のつかえが下りる感覚が得られた1冊だった。

    「発達障害」や「HSP」という言葉が世の中に浸透し、沢山の書物が世に出回り、以前に比べると理解が進みつつあると思う。

    本著が既読のものと一線を画すのは、発達障害傾向の「情報処理の仕方のくせ」に焦点を合わせていること。
    それゆえの具体的なものの見方や考え方、行動パターン、生活の困難さにも論理的に言及し、平易で可能な解決策も提示されている。

    自分が普通とはどこか違う。
    だからダメなんだと自責の念や不全感で悶々としがちだが、どこがどの程度苦手なのかが査定できれば、生活の質が上がりそうだ。

    特に納得できた部分:
    ・全体像よりも「部分的な事柄」に目が向きやすい傾向(中枢性統合機能が弱い)
    局所に拘泥してしまい、全体を俯瞰するバランス感覚が欠けている。
    ・頭の中に様々な考えが次々と浮かび過ぎる傾向(頭の中の多動)

    さらに自分の感情に自身で気づきづらいのも傾向の1つであり、私自身感情を蓄積しやすいので爆発した時の落込みが物凄いことも理解できた。

    やらなければならないことを1人抱え込み、心と身体の疲れ具合にも目を向けず、やり切ることのみに焦点を合わせてしまう傾向があり、結局身体を壊す或いは、途中で投げ出すか、やる前に諦めて手放してしまう。

    読みながら、まるで私自身の取扱説明書のように感じる部分も多く、同様に夫や独立した息子たちへの理解も深まった。だからしんどかった。ここが辛かったのだと。

    文中繰り返し「発達障害か否か」の白黒判定は決して有効ではなく、苦手な部分を自分も周囲も理解をし、「やり方」を変えていくことが生活の質の向上に必要だと説かれている。「HSP」も同様。

    他人を優先し、自分のことは後からという美徳はあるが、まずは自分自身に向き合い、感情を程度も含め査定することが持続性には必要とのこと。

    何でもきっちりしっかりとやり切らないと不安で不満な自分がまだ存在するが、誰かに相談したり、プランBをひねり出す余裕を日常で持ちたいもの。

    とても有益で読み返したい1冊。出会ってよかった。

  • 世の中だれでも独自のものの見方、考え方がそれぞれ異なっている、ということがよく分かる本。発達の問題があろうとなかろうと、本人や周りが「なぜ自分はこうなのか」「あの人はこうなのか」という困り感を解消するには、自分や相手の物の捉え方、考え方を理解し、互いに尊重しあうことが必要になる。様々な分野で発達特性を正しく理解する人が増えれば、個人も社会も、より心地よいものになりそうだ。

  • 発達障害の特性をより具体的なレベルで解説している本だと思います。コミュニケーションのしづらさや、作業効率の悪さがどのような流れで起こるのかを当事者の内面の動きを含めて解説されていてとても良かったです。

  • 【書誌情報】
    『発達障害のある人の「ものの見方・考え方」――「コミュニケーション」「感情の理解」「勉強」「仕事」に役立つヒント』
    監修:下山 晴彦[しもやま・はるひこ](19-)
    監修:黒田 美保[くろだ・みほ](19-)
    著者:高岡 佑壮[たかおか・ゆうしょう](?-)
    イラスト:安川 ユキ子[やすかわ・ゆきこ](1991-)
    ジャンル 心理
    出版年月日 2021年11月刊行
    ISBN 9784623092895
    判型・ページ数 4-6・236ページ
    定価2,420円(本体2,200円+税)

    「発達障害だから」ですませないために、一人ひとりの「くせ」を理解する
     私たちは身の回りにある様々なものごとを、頭の中でどのように処理しているのだろうか? 発達障害のある人が感じる生きづらさの背景には、「情報処理の仕方の独特さ」という具体的な要因がある。本書では、そのような独特な「くせ」に注目することで「その人ならではの特徴」を理解し、一人ひとりの日常生活の中でのつまずきに対処するためのヒントを示す。

    [ここがポイント]
    ◎ あまり語られてこなかった「認知機能の特徴」という視点から、発達障害の特性を理解できる。
    ◎ 発達障害のある人が抱える困難の原因と、その対処法についてわかりやすく解説。
    https://www.minervashobo.co.jp/book/b592118.html

    【目次】
    監修者まえがき(二〇二一年 秋風の立つ日に 下山 晴彦) [i-iii]
    はじめに [v-vi]
    読者の皆様へのガイド [vii-ix]
      本書の構成
    目次 [xi-xviii]


    第1章 「コミュニケーション」の背景にある「ものの見方・考え方」
    第1節 コミュニケーションは難しい 002
      【解説】情報の同時処理の苦手さ
       「コミュニケーションが苦手」とはどういうことか?
       相手の期待を読み取るために必要なこと
       情報の同時処理は難しい
    「その人の性格の問題」という偏見
       第1節のまとめ

    第2節 「言葉にしなくてもわかってくれる」とは限らない
      【解説】大切なことは言葉にして教えてもらう
       様々な「言葉にされない期待」
       期待を察するのが苦手ならどうするとよいか
       第2節のまとめ

    第3節 悩みを言葉にしづらい理由
      【解説】「映像で考える傾向」が強い人のために
       考えが「映像」として浮かぶ
       人間の頭の中は未知の世界
       映像思考をどう伝えるか
       第3節のまとめ

    第4節 考えが「浮かびすぎる」という困難
      【解説】「しゃべりすぎを防ぐこと」も重要
       しゃべりすぎるとかえって伝わらない
       「頭の多動性」というもの
       しゃべりすぎを防ぐために
       第4節のまとめ


    第2章 「感情の理解」の背景にある「ものの見方・考え方」
    第1節 自分の感情に気づく
      【解説】感情に注意を向けやすくする方法
       感情に注意が向きやすいかどうか
       「他人の感情」だけではなく「自分の感情」も大切に
       自分の感情に気づくための練習法
       第1節のまとめ

    第2節 感情に振り回されないために
      【解説】自分の感情の「度合い」に注意する
       強い感情・中くらいの感情・弱い感情
       感情の度合いに気づけないと行動が極端になる
       即断即決の問題点
       「実害」を意識するのが重要
       第2節のまとめ

    【コラム】過剰なストレスが生じるパターンあれこれ

    第3節 体調に気づく
      【解説】感情をケアするためには身体のケアも必要
       身体と感情はつながっている
       体調は「目に見えない情報」
       体調に気づきにくい人のために
       第3節のまとめ

    第4節 助けを求めにくい理由
      【解説】「弱みを見せてはいけない」という思い込みについて
       助けが必要な場面は、あって当然
       「自分のことは自分で」という一般論への固執
       自力で頑張りすぎるとどうなるか
       第4節のまとめ


    第3章 「勉強の仕方」の背景にある「ものの見方・考え方」
    第1節「得意なこと」は一人ひとり違う
      【解説】一人ひとりの特徴に合った勉強法を考える
       聞こえ方・見え方の個人差
       「全員同じ勉強の仕方」で上手くいくわけがない
       「発達障害かどうか」ばかり気にする人の問題点
       第1節のまとめ

    第2節 簡単なことから一歩ずつ
      【解説】「漠然とした目標」を立ててはいけない
       「○年生なら普通は……」の圧力
       成果を味わいやすくする
       鍛えるべきは「ちょうどいいレベルを見積もる力」
       第2節のまとめ

    第3節 学習意欲が高まるほめ方
      【解説】客観的事実に基づいてほめる
       「事実として○○ができている」
       客観的事実の判定クイズ
       「観察できないこと」は客観的事実ではない
       第3節のまとめ

    第4節 「自由に学ぶ」のは難しい
      【解説】自由な学習環境が苦手な人はかなり多い
       学習環境の「自由度」の違い
       「自由な環境はストレスが少ない」という誤解
       「自分で考えをまとめる力」の個人差
       自由な環境に放り出されてしまったら?
       第4節のまとめ


    第4章 「仕事の仕方」の背景にある「ものの見方・考え方」
    第1節 なぜ仕事は大変なのか
      【解説】正解がはっきりしないから仕事は難しい
       仕事で求められる「ほどほど」
       「ほどほど」が苦手な人の対処法
       第1節のまとめ

    第2節 「ミスの原因」を考える
      【解説】「なぜミスするか」がわからないと対策はできない
       「ミスの原因になりうる自分のくせ」を知る
       代表的なミスの原因と対策
       くせは併存しうる
       第2節のまとめ

    第3節 「状況の変化」に備える
      【解説】「以前とは違う」ということ自体が苦痛の原因になる
       仕事につきものなのは状況変化
       「注意の切り替え」の苦手さ
       変化へのストレスにどう備えるか
       第3節のまとめ

    第4節 頑張りすぎを防ぐために
      【解説】「立派な社会人」という幻想にとらわれないように
       トラブルの原因は一つだけではない
       規範に対するこだわり
       引いて見る、ということ
       第4節のまとめ


    あとがき――全てを「発達障害だから」で済ませないために(二〇二一年 高岡佑壮) [207-210]
    監修者あとがき(二〇二一年 すべての人が自分らしく生きられる日々を願って 黒田美保) [211-213]
    著者・イラスト担当者紹介 [215]
    監修者紹介 [216]

  • とてもわかりやすい。
    発達障害の傾向は知られていても、その原因はそれぞれ、改めてそのことに気付かされた。
    自分だけでなく、周囲の人の行動に対しても考えるきっかけになった。

  • 発達障害当事者や、その身近な人だけではなく
    誰にとっても有意義な自己啓発本になると思う。
    発達障害か否かではなく、その人個人や
    自分自身の個性に合ったものの見方、考え方に
    意識を向けられるようにしたい。

  • 感情の数値化をすることによりゼロヒャク思考から抜け出せそうである。極端な考え方をしがちななので本当に辛かった時と比べてどうか?数値化は意識していきたい。
    これからは変化の少ないルーティンの仕事が自分には向いていそうだ。自分のキャパシティを知る良いきっかけになりました。
    定型の人でもミスはするし落ち込むことはある。全てを発達障害のせいにしてはいけない事は肝に銘じたい。

  • ふむ

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著者プロフィール

2021年11月現在
東京認知行動療法センター/東京発達・家族相談センター勤務

「2021年 『発達障害のある人の「ものの見方・考え方」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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