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- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623044009
作品紹介・あらすじ
兼好(一二八三頃〜一三五二頃)鎌倉時代末期の二条派歌人。現実への違和感を持つ孤独な青年兼好は、いかにして人生の達人へと成熟したか。老成した人物という既成のイメージを吹き払い、変貌する精神のダイナミズムを『徒然草』から読み取る。今ここに清新な兼好像を提示する。
感想・レビュー・書評
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兼好の生涯と、『徒然草』からうかがうことのできる彼の思想について、後世への影響などにも幅広く目配りしつつ解説している評伝です。
兼好の生涯については、小川剛生『兼好法師―徒然草に記されなかった真実』(2017年、中公新書)などで従来の説の問いなおしがなされています。本書は兼好のかんする史実を掘り起こすことよりも、むしろ後世の人びとが兼好の人物像をどのようにえがいてきたのかということを、くわしく論じています。正徹によって歌人としての兼好が見いだされ、さらに近世以降の林家をはじめとする解釈史のなかで、こんにちまで引き継がれることになる兼好の見方が形成されてきたことを明らかにしています。
また『徒然草』にかんしても、各段を独立したものとして読むのではなく、連続したものとしてとらえることで、従来の解釈とは異なる見方を示すことができるという主張がなされています。もっとも本書は評伝であり、こうした著者の『徒然草』解釈が詳細に論じられているわけではないので、この点については他の著作を参照するべきなのかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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