- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622090878
作品紹介・あらすじ
かつては限られた語りしか許されなかった抗日戦争(日中戦争)の記憶が、国力を増す中国でいま甦っている。タブーだった蒋介石と国民党に対する再評価が進み、戦後の国際秩序形成に自国が果たした役割にも注目が集まる。オックスフォード大学で現代中国を研究する第一人者が、政界と学界の動向、映画、ソーシャル・メディア、日中関係までを多角的に分析し、『フォーリン・アフェアーズ』などで年間ベストブックに選ばれた話題作。
感想・レビュー・書評
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これ、あまり書かれなかった視点だな。面白いかも。蒋介石って、共産党の中では語られない?でも日本と戦って日本と共倒れ、で共産党が出来た?リアル漁夫の利?
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戦争の記憶と現代中国の関係性について。80年代以降、特に冷戦後の90年代以降、戦争の記憶が前面に押し出され、国内的にはアイデンティティ形成、対外的には地位と発言力の向上に使われてきたというのが著者の論だ。
この時期、抗日戦争紀念館建設のような「よい戦争」としての記憶の再構築と、世界戦争の一部としての位置づけ。当局だけでなく、ネットを含む民間の言説でも異なる原理で戦争記憶が扱われる。同時に国民党の役割、重慶など西南部の記憶を肯定的に再評価する傾向が強まるが、映画『八佰』や国粉現象への複雑な反応のように、この点では「不安定なバランス」。
世界との関係では、中国が戦後国際秩序形成の一部を担ってきたとのナラティブと、日本への牽制に使われる。著者が「カイロ症候群」と呼ぶナラティブでは、カイロ宣言とポツダム宣言が現在の東・南シナ海での領有権主張の根拠に繋げられる。
欧州の著者だからか、欧米特に欧州の視点が感じられるのも新鮮。欧米ではWWIIを欧州の物語として捉える傾向があり、中国は交戦国ではなく被害者という認識。戦後欧州(特に西欧)とアジアでの戦争ナラティブや国際秩序の比較。対日協力政権を仏ヴィシー政権に例える視点。 -
東2法経図・6F開架:222.07A/Mi66c//K
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222.075||Mi