- Amazon.co.jp ・本 (88ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622089124
作品紹介・あらすじ
詩人の没後五年を機会に、書き残しながら本にまとまらずに終わった断章の連作「誰も気づかなかった」と、「夜の散文詩」シリーズの5篇を小さな本として刊行。「本があった。/しかしそれが本だと、/ここにいる誰も、気づかなかった。/本は読まれなかったからである。」このように、リズムをそなえた箴言と、晩年の景色を記した散文詩。長田弘さんがぜひ伝えたかった思索の結晶を傍らに置いて、何度でも読みかえせるように。
感想・レビュー・書評
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悲しみがあった
それが悲しみだと
誰ひとり 考えなかった
悲しみは微笑んでいたから -
もう5年になるんだ、、、
誰も気づかなかった:みすず書房
https://www.msz.co.jp/book/detail/08912.html -
染みます。ハッとさせられます。涙が出ました。空白の奥行きが本当に深い。
読後、長田さん、ありがとうございますという気持ちでいっぱいになります。 -
ことばがあった。
しかしそれがことばだと、
ここにいる、誰もおもわなかった。
ことばは意味をもたなかったからである。
ページをめくるたびに、魂を揺さぶられる。
苦しんでいる微笑み。無言の苦しみ。飄々とした苦しみ。激怒している飄々とした人。悲しんでいる激怒、、、。次々と放たれる言葉に自分が確かに立っていたはずの地面が揺らぎ始める。誰も気づかなかった全てのことを、詩人は次々と問いかけてくる。今までの人生が出会った人やことどもが次々と立ち上がってくる。読み終わって本を閉じると、今までとは別の世界に私はいた。 -
深い。削ぎ落とされた、残された言葉だけでの表現の強さに驚く。わからない事もあるが、情景が浮かぶモノもあり詩の不思議な力に触れた気がする
橋と川の話が面白かった
すべてそう在るものはそう在るのだ。
何だって正しければ正しいのでない。
ニューヨーク 公立図書館の椅子を手に入れたらしく、羨ましいかぎり! -
目に見える状態が
そこにあるものすべてじゃないんだな
と気づかせてくれる詩集でした
注意深く、そこにある何か
を自分なりに 見いだす 行動が
大事 なのかなと
単純 なのに 深さがある
すごく怖い詩集でした -
長田弘『誰も気づかなかった』(みすず書房、2020年)
Twitterを通して知った作品。これは、問いかける詩集。感情、存在、真実、正解、幸福、わたし。
価値観や考え方がまるっきり変わってしまったコロナ禍の今だからこそ、ことばを求めたくなるのかもしれない。眠れない日にはこの本に傍に居て欲しい。
「たとえ誤りにみちていても、
世界は正解でできているのでなく、
競争でできているのでもなく、
こころを持ちこたえさせてゆくものは、
むしろ、躊躇や逡巡のなかにあるのでないか。
何だって正しければ正しいのでない。」
(P61-62) -
最後の詩が一番ハッとした。
わたしは水分や蛋白質やカルシウム…云々ではなく、どんな時、誰の記憶でできているのだろうか。