明治維新の敗者たち

  • みすず書房
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本棚登録 : 67
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622088110

作品紹介・あらすじ

歴史は勝者によって書かれる。維新史も例外ではない。本書は、幕閣罷免ののち官軍に斬首された小栗忠順という稀有な人物をめぐる語りを、膨大な一次史料、文学作品、大河ドラマ、映画、記念事業などから跡づけた大変な労作。勝者の「正史」に敗者が修正を要求し別の歴史語りが生成するさまを描き、歴史記述の恣意性を浮かび上がらせる。

感想・レビュー・書評

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  • 小栗上野介

  • 小栗上野介がどのように語られてきたのか、そして「逆臣」から「近代化の立役者」へと変貌する過程で何があったのかを描く。感想はブログに。
    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2019/11/13/222725

  • 2019/08/丸善

  • 東2法経図・6F開架:210.61A/W59m//K

  • 「敗者への公正さを要求した人びとが『勝てば官軍、負ければ賊軍』式の明治政府史観に、いかに抗ってきたかを跡づける。」

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    小栗上野介忠順(1827-68)は万延元年の使節団員として渡米し、勘定奉行や外国奉行を歴任、崩壊しつつある幕政を中枢で支えた人物だが、後世の評価は二分した。一方に、横須賀造船所を建設し、最初の株式会社「兵庫商社」を構想した合理主義者で、近代化の立役者という評価があり、もう一方に、薩長との主戦論を唱え無用な戦争に固執したという見方がある。その主戦論が原因で罷免され現在の群馬県に隠棲したが、謀反の容疑をかけられ新政府軍により斬首。以来、逆賊の謗りを受けてきた。
    歴史は勝者によって書かれる。幕末維新史も例外ではない。本書は小栗上野介という類稀な人物を敗者の代表として選び、敗者への公正さを要求した人びとが「勝てば官軍、負ければ賊軍」式の明治政府史観に、いかに抗ってきたかを跡づける。それは草の根的に地方で始まり、全国的な歴史観に影響を与えるに至った。本書はこの過程を豊富な一次史料、文学作品、映画、テレビドラマ、記念事業により実証的にたどった。さらに、明治以来何度となく起こった維新ブーム、「エキゾチック・ジャパン」「歴史街道」「ふるさとブーム」など昭和の地方振興との関係や、「失われた10年」打開の鍵を明治維新に求める時流の影響までを丹念に掘り起こした。
    小栗終焉の地に暮らしたアメリカ人研究者が幕末維新史にメモリー・スタディーズの手法を導入した意欲作。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08811.html

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著者プロフィール

マルケット大学(米ウィスコンシン州)歴史学准教授。専門は日本近世史。1997年ジョージ・ワシントン大学卒業(東アジア研究)。2007年カリフォルニア大学で博士号取得(東アジア史)。小栗上野介最期の地、群馬県の倉渕村(現在は群馬県高崎市の一部)の中学校で英語教員を務めたことをきっかけに小栗研究を開始。古武術の馬庭念流と弓道を嗜む。著書『明治維新の敗者たち――小栗上野介をめぐる記憶と歴史』(Meiji Restoration Losers: Memory and Tokugawa Supporters in Modern Japan, Harvard University Asia Center, 2013, 野口良平訳、みすず書房)。

「2019年 『明治維新の敗者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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